「オミクロンに感染するとどうなる?」いま宿泊療養ホテルの看護師が見ている意外な現実

突如として猛威をふるい始めた新型コロナウイルスのオミクロン株。「どんな症状が起き得るのか」まだまだ情報も少なく、不安は尽きません。

 

関東近県の宿泊療養ホテルでコロナ陽性者の健康観察を担う看護師、山下麻衣子さん(仮名・35歳)にこの1年の流れを聞きました。

 

(個人特定を避けるため一部を編集していますが、コロナの病状にまつわる部分はご本人の体験通りです。また、体験を可能な限りそのまま迅速に伝えることを目的とするため、内容は生の声をそのまま納め、感染症専門家の査読を経ていません。趣旨ご理解の上お読みください)

 

軽症とされるオミクロン。でも「ただの風邪」からは程遠いです

19年に勤務先の病院を退職、留学準備をしていた山下さん。しかし20年春はコロナで渡航できず、いったんは断念、昨年2月に健康観察業務につきました。

 

「ちょうど1年に渡って宿泊療養者の健康観察を担務してきました。現在の第6波、オミクロン株は比較的症状が軽いと言われていますが、それは医療関係者にとっては第5波のデルタ株があまりにも地獄だったせい。比べれば軽いという感覚に過ぎず、オミクロンも感染した方はみなさん等しくお辛いですよ」

 

山下さんが現在担当するホテルは約150室。

 

「年末に夜勤に入った時点ではほぼ空室でしたが、正月明けから徐々に入所者が増え、連休が明けた11日にはほぼ満室に。同僚と、これはもう抑え込みは無理だねとため息をつきました。いま、全国の自治体はいちどクローズしたホテルを全力で開けているところです」

 

あまりの急激な感染増加に、すでに保健所はパンク状態にあると考えたほうがよさそう。ですが、朗報もなくはありません。

 

「もともと宿泊療養は軽症かつ低リスクの方向けである点を勘案しても、第6波の症状は軽いんです。第5波ではいったん症状が治まったあと、10日目ごろに坂を転げ落ちるように症状が悪化する方が続出。一晩に3回4回は要救急搬送者が出るものの、受け入れ先がなくて6時間待つ、そんなことが毎日起きていました。でもいま、あの悪夢が再びという雰囲気は現場にはありません

 

第6波の熱は低め、解熱剤で下がる。ですが、とにかく喉が痛い!

第6波の中心であるオミクロン株にはどんな症状の特徴を感じますか?

 

「オミクロン株と特定されている人ばかりではないので、あくまでもいま入所中の皆さんの症状の特徴ですが、皆さんのどの痛みを訴えて、トローチがみるみるなくなります。宿泊療養に入る方はのど飴を4袋5袋用意してきてほしい(笑)。のどの痛みに比べて咳は軽いのも特徴。第5波ではみなさん、常に咳がこみ上げて会話にならないレベルでしたが、第6波は咳が出る人の割合自体が全体の1割2割程度です」

 

また、高熱に苦しむ割合が少ないのも特徴です。発熱がないまま、例えば腰痛で受診した際に受けたPCR検査で陽性が判明などという例もあるくらい。自分の感染に気付くチャンスがないからこそ、ここまで市中感染が広がったと感じるそうです。

 

「熱は1回は出る方が多いものの、2日3日で下がります。高くて39℃台で、37℃台後半にとどまる方も多数。また、デルタ株では解熱剤で熱を下げても切れればまた上がる繰り返しでしたが、第6波は一度解熱剤を飲んだらもう熱が上がらないのが特徴です」

 

家族1人感染すれば全員感染します。ピークは節分ごろになりそう?

家族が全滅しがちなのも第6波ならでは。第5波まではパパだけが陽性で宿泊療養、家族は濃厚接触で自宅隔離というケースがよくありましたが、今回は家族全員が感染する例が多いそう。

 

「家族の誰が持ち込んだのかもわかりにくい。例えば最初にパパ、数時間後に子ども、翌日ママの順で発熱しましたが、子どもは連休で家にいたしパパもママも在宅勤務だったし……?こんなふうに、どこで感染したのか見当もつかない例ばかりなんです。家族が熱を出すスパンが1日2日と極めて短いことから潜伏期間がごく短いことは推定できます。そして、みなさん家の中で部屋を分けたり手を洗ったりと感染回避の努力を最大限していますが、やっぱり感染しています」

 

現在よく見られるのは一家全員が陽性となり、パパと息子が宿泊療養、ママと娘が自宅というパターンだそう。

 

「PCR検査を受けた日が違うと隔離日数も変わるため、第5波の知識を生かして先に陽性判定を受けたパパが入所したけれど、翌日家族全員陽性の判定が出たのでやっぱり帰りますというパターンもあります」

 

保健所がOKを出せばそれでもいいのですが、問題は公共交通機関では帰れない点。民間救急車などコロナ専用移送手段を使わないとならず、家族も家から出られないため迎えに来ることもできません。

 

「民間救急車も自治体によって費用負担の有無が違います。宿泊療養に入るなら、期間満了する予定で準備をしてきたほうがいいかもしれません」

 

こうした家庭内感染のほか、家の外でも、複数人がいる場でマスクを一瞬はずしたら全員感染というのは典型例。中にはコーラスグループの7人がずっとマスクをしていたにも関わらず感染という例すらあったそう。

 

「あまりに感染力が強いため、南アフリカのように国民の7割が感染して自然にピークアウトということもあり得るかも。ちなみに、いま私たちのいる現場では、感染のピークは節分ごろではないかと感じています」

 

後編に続きます>>>ワクチン接種者と未接種、効果の差は?現場の看護師が見た現実とは

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