センスよくなるにはどうすればいい?「 自分らしいセンス」の磨き方って?
センスをはぐくむ「収集すること」
A:なるほどー!センス良いって、まわりが感じることだからひとりよがりにならないことでもありますよね。その話、納得です。あと、センスを磨いて良くなるには、どうしたらいいでしょう。みんなそこをすごく知りたいと思うのです。
I:センスはイコール「自分の尺度」だとすると、まず自分を知るのが第一歩かと思うんですよね。これは美大とか美術系スクールでまず生徒が最初にやることなんですが、気に入ったものをとにかく集める!
A:あ、そうなんですね。
I:たとえば私の場合ですが、美大生の頃から写真を撮るのが好きだったので、京都市内を自転車で廻って、色々な写真を撮っていました。それを壁に貼って眺めるってことをやりました。センスの視覚化って言えると思うのですが、それを半年とか1年くらい課題としてやるんです。好きなものを集めて、眺めてると、自分の好みが見えてくるじゃないですか。
A:それよくわかります! 女性ファッション誌の編集者って、みんな自分のお気に入りのページをスクラップして参考にしてましたし、自分もずっとやっていました。自分がいいなーって思ったページの写真や構成、展開を眺めているといろいろ気づきますし、すごく勉強になるんですよね。
I:同じですよね。テーマはビジュアルでも、ことばでも、何でもいいと思うんです。半年でもいいし1年でもいい。わたしは写真を撮って、壁に貼って眺めることを20数年続けていますけど、こうしたことを続けると、方向性が見えてきて、点が線になってきます。その中には、必ず共通項があると思うんです。
A:自分がどういうのが好きなのか、自分がいいと思っているものかがわからないと、何も生み出せませんしね。
I:で、次にたくさん集めたものを分析してみるんですよ。分析のコツですが、好きなものを集めた時点で見た目で、かなり好き嫌いがハッキリ出ていると思いますので、自分に嘘をつかずにフラットに。「自分はこれが好きなんだ」という好きなものに気づく。
そして、カテゴライズしてみたり、「どうしてこれが好きなんだろう」をすこし考えてみる。あと、嫌いなものも当然見えてくるので、それについてもどうして嫌いなのか考えてみたり。
A::わたし、小学生の頃からオタ活というか、推し活していますが好きなアイドルの人たちの方向性はまったくぶれてないんです笑 好みの方向がはっきりしてるんですよ笑 あと、猫の動画や写真を毎日チェックしていますが、すきな猫のポイントもハッキリ共通しているんです。「もふもふ、短足、口元ピンク」!
I:それが自分のセンスの「気づき」ですよね。こうして自分を客観的に見つめて、知ることがセンスをはぐくむ近道なのかなと思うんです。
さらに上級向けの「実践編」とは?
I:あとはちょっと大胆なんですが、そのさらに上の分析フェーズは、それを人に見てもらうんです。
A:えーー!、それは照れますね笑
I:人に見てもらうことでより客観視する、と。もちろんその場合、親友など自分が信頼している人に見てもらうのがいいですけど。 それは、自分の「思い込みを外す」ってことで、それって要素としてすごく大きんです。
A:自分の勝手な思い込みはいろいろありそうですよね~。
I :SNSで人に見てもらうのもいいですよね。そのとき『SNS用』と、『自分しか見ないバージョン』に分けるとさらにいいですよ。SNS用は、「世間から自分はこう見られたい」が解ります。それがたとえ恥ずかしい部分であったとしても「わたしはこんなドジです」というような面白い部分や人間臭さのアピールかもしれないので。
SNS用はビジネスにも使えますし、うまくすれば婚活にも使えるので、それは自分を演出する手段として上手く利用するといいと思います。それと、嫌いなもの、嫌いと思いこんでいるものを知って、その理由を考えてみるんです。
A:ふむふむ
I:たとえばなんですが、わたしは昔から、「ピンク色」がどうも好きになれなかったんです。どうして自分はピンクを好きになれないんだろう?どうして周りのひとはみんなピンクが大好きなんだろう?って考えたり、いろいろ調べたりしました。
そうしたら、ピンクが「女性らしい色」とされたのは50年代、戦勝国であった憧れのアメリカ。アイゼンハワー大統領のファーストレディであるマミー・アイゼンハワーが愛用していた洋服はピンク一色。豪邸のインテリアもパステルカラーで固められ、「新しい専業主婦像=豪邸で育児に専念できるのは、裕福で幸福な女性の象徴」と一気にクローズアップされたようでして。ピンクは「女性の幸せの象徴」というパブリックイメージからファンがたくさん増えていったところもあるようなんです。それが日本にも輸入されました。
A:わかります! 女子が好きなキャラクターもたいていピンクの服を着てたりしますしね。
I:わたしの場合は、「ピンクという色が苦手」なのではなくて、「ピンクに付きまとうイメージ」が好きではない、というだけのことでした。さらに実は「女性的=依存的な自分の弱さが恥ずかしい」という自分がそこに現れていただけだったんです。それが解ってからは、「依存的で弱い自分でもいい」と思うようになってから、ピンクから解放されました。
A:思い込みとか悩みみたいなものから解放された感じですかね。いやぁ、センスって奥深いなー。もっといろいろ知りたくなってきました。ぜひまた別の機会に続きお願いします。本日はありがとうございました。
Profile 井上 陽子(いのうえようこ)
コラージュ・アーティスト。京都造形芸術大学・洋画コース卒業。偶然性や自然にできるリズ ムを大事にして、紙とドローイ ングを組み合わせ、コラージュ 作品を制作。
井上陽子さん10年ぶりとなる作品集が発売!
『Ça Va, Ça Vient』(サヴァ,サヴィアン)
『Ça Va, Ça Vient』(サヴァ,サヴィアン)古紙の染めペイントから始まり、それを切ったり破いたり、ドローイングを加え重層的に作られたコラージュ作品。そのイメージソースとなった静謐な風景写真とコラージュ作品の人気 作、代表作、直筆エッセイとともにお届します。
2022年3月17 日発売予定 B5サイズ 160ページ 4,290円(税込)
YOKO INOUE Exhibition 開催中!
■2022年3月4日(金)~ 3月28日(月)
イデーショップ 自由が丘店 3F IDÉE GALLERY & BOOKS
https://www.idee.co.jp/shop/news/202202/yoko-inoue.html■2022年4月8日(金)~5月9日(月) イデーショップ 梅田店
■2022年4月25日(月)~5月22日(日)
代官山 蔦屋書店 2号館1階 建築・デザインフロア
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