つよつよなチームは「3つのキーワード」の共有でできていく。メリット、共感、もう1つは

2022.07.07 WORK

元NHKドキュメンタリー番組ディレクター、IT大手のサイボウズを経て、現在はベンチャー企業で取締役を務める三木佳世子さん。異色の経歴ではありますが、素顔はごくごく普通の世話好き、お話好きなママです。そんな彼女のチームビルディング技術とは?

前半『男性社会で生きてきた私は「つよつよなチーム」のベースをシンプルな3原則で作る』に続く後半です。

 

男性社会で生きてきた私は「つよつよなチーム」のベースをシンプルな3原則で作る

前提として、チームとグループの違い、分かりますか?チームは、同じ目標に向かって行動する集団。例えば、甲子園出場を目指す野球部とか、受験合格を目指して頑張る家族&塾の先生とか。それに対して、グループは、同じバスに乗り合わせた人とか同じ町内に住んでいるだけの近所の人同士とかの集団を指します。

 

強いチーム運営のために私が心がけていることは、実は男性だらけのNHKディレクター時代に培った3原則でした。メリット、共感、使命感。

 

メリットが重なるところを見つける。
②自分の思いの強さを伝え、共感で巻き込む。
③社会的な意義を伝え、使命感を醸成する。

 

①メリットが重なるところを伝える。

ディレクター時代、ある病気で亡くなった子の親を取材したいと、患者団体に取材を申し込んだことがあります。大体の場合、カメラの前で、当時の辛い話をするのは嫌だと断られるのが普通です。ただ、私自身は、きっと番組の放送が相手にとってプラスになる部分があると信じていました。だからこそできるだけ相手の立場になって考え、番組に出ることにどんなメリットがあるかを伝えるようにしていました。「番組を通して世の中の多くの人に知ってもらうことで、その病気を予防しようと考える人が増えます」と、伝えます。同じ悲しい思いをする人を増やしたくない。と考えて患者団体を立ち上げている人なので、テレビという影響力のあるメディアの力を借りることのメリットを感じていただけると、取材に応じて下さることも。

 

②自分の思いの強さを伝え、共感で巻き込む。

なぜ、あなたを取材したいと思ったのか? 他の誰かではダメで、どうしてもあなたに話を聞きたい理由はこうなんだ。と、自分自身の思いの強さを伝えます。時に、同じような辛い経験をした過去があれば、自分自身の過去も曝け出し、自己開示をする中で「だからこの番組を、なんとしてでも作りたいのです」と伝えます。そうしていくことで、共感で巻き込むことができました。

 

③社会的な意義を伝え、使命感を醸成する。

人というのは結局のところ、利己ではなく利他の生き物だと思います。自分のためにというよりも、誰かのために。人のために。と思った方が、底力が発揮される気がするんです。なので、どんな個人レベルの話でも、それが世の中にとってどんな意味があるのか。どれだけ意義のあることなのかを伝え、「やらねば!」という使命感を醸成することを常に意識しています。

使命だなんて大それた……と思うかもしれませんが、どんな身近なことでも「これが私の使命だ!」と思えば、みるみるヒーローのようなパワーが湧いてくるもの(笑)。

家の周りの雑草とりも、「さぁ!これが私たち家族の今日の使命・ミッションよ!雑草を取ることで私たちのスウィートホームを守りましょう!!」と声がけをすると、いつも以上にみんなやる気になってくれますよ。

 

 

倒すべき敵なんていない。みんな、お互いを助け合える味方

この3原則が培われた背景のお話をしますね。

 

大学卒業後、NHKに入局した私が最初に配属されたのは、首都圏放送センターでした。関東甲信越向けに放送される夕方のニュース番組や朝のニュース番組を制作する部署でした。

 

NHKでは、AD(アシスタントディレクター)という役割がなく、新卒でも1本目の企画から自分がディレクターとして取材からロケ、編集、放送までを行います。大学を卒業したばかりのキャピキャピな若い女性が、百戦錬磨の外部プロダクションのカメラマンさんや照明さんを束ねてロケを行うところを想像してみてください。

 

毎回違うスタッフとの初顔合わせ。緊張で始まるロケ。番組の構成表を元に、ロケ車に乗り込み「初めまして!どうぞ宜しくお願いします!今回の番組はこういう趣旨で……今日撮影するのは……で、どうしても狙いたいのは……なシーンなんですけど」と現場到着までにいくら話しても、しっかり聞いてもらえないこともあります。

 

最初のうちは本当はもっと撮ってもらいたいのに、すぐにカメラを床に置いて休憩しちゃうカメラマンさんを相手にどうしたら良いかと悩んでばかりでした。

 

そんな私が、「三木とロケにいきたい」とご指名をいただくまでになり、「一緒に番組を作ろう」と言ってもらえるようになったんです。

 

そして、制作側スタッフのワンチーム化だけでなく、取材したい人・企業に取材を受けていただく中でのワンチーム化、どちらもしっかりとチーム化できるようになっていったことで、どんどん良い番組、社会的にもインパクトのある番組を作れるようになっていきました。

2014年、菊池寛賞 受賞式での写真

 

ここでのチーム作りの特徴ひとつは「お金が介在しない」ということでした。

 

もちろん、撮影スタッフに対しては給与や報酬が発生はします。でも法外な高額ギャラで言うことを聞いてもらうような業界ではありません。「お金をもっとはずむからもっとカメラを回して欲しい」「インタビューの時間がかかるけど一緒に耐えて欲しい」とお願いすることもできないのです。取材先にも「お金を払うからカメラの前で話して欲しい」と口説くこともできません。報道はお金を払って取材先を見つけてきたら「利益供与」で問題になってしまうのです。

 

そんな、お金が介在しない関係性の中でいかにチームとして同じ目的に向かって、能動的に動いてもらうか?は、ボランティアの現場やPTA、趣味のサークルなど、お金が介在しないけれど一緒に何かをやろうとしている集団のチームビルディングにつながる部分があるでしょう。

 

私の勝手な持論ですが、特に女性は、お金で動くというよりも感情で動くことが多い気もします。これは私自身も例外ではなく、いくらお金をたくさんもらえるとしても、自分の心が動かない仕事はできなくて。

 

チーム作りにおいて大事なのは、同じ目標・理想が認識できているかどうか?だなと痛感します。次からは、番組制作の現場で試行錯誤しながら行ってきた、目標・理想の共有の方法、制作スタッフ・取材相手全員の巻き込み方をお伝えしていきます。

 

 

▶【この記事の前半はこちら】『男性社会で生きてきた私は「つよつよなチーム」のベースをシンプルな3原則で作る

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この記事を書いたのは
株式会社LITA 取締役 三木佳世子

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