朝起きると指に痛みがあります。更年期症状でしょうか?放っておいて大丈夫か不安です
青年期、壮年期などと同じような時期の呼び方として、女性の閉経の前後5年を更年期と呼びます。
日本人の閉経の平均は50歳のため、45~55歳は更年期にあたる人が多数。この時期に女性ホルモンの分泌が急激に減少するため、更年期障害と呼ばれる状態に至る人もいます。
乳がんのセカンドオピニオンを中心に診察する医師の新見正則先生は、丁寧に私たちの訴えに耳を傾けながら、「だいじょうぶ!更年期は絶対終わるから!」と太鼓判を押してくれる力強い味方。そんな新見先生に「医師に聞いていいのか迷うこと」をまとめて聞くシリーズです。
【Dr.新見の更年期あかるい相談室】#16
Q 指の痛みが出ています。生理が止まればこの痛みも止まりますか?忙しくて検査できず…
先生、こんにちは。いつも連載を読んでいます。私にもアドバイスをお願いします。もともと私の生理周期は30日くらいでしたが、50歳になった去年からきっちり20日周期でくるようになりました。そして、先月からはイライラやお腹の張りがずっとあるのに生理がきていません。もう私の生理は止まったのでしょうか。
去年からホットフラッシュはありましたが、今年の6月から急に朝起きたときに両指がこわばり痛みがでるようになりました。今まで指の関節がこわばることはなかったので初めは気のせいかと思ったのですが、毎朝両指がカクンカクンと開くのも辛いです。それでも、ベッドを離れて朝のしたくでだんだん身体を動かし始めると、違和感はありますが指も動くようになるので、それを待ってリモートのパソコンでのお仕事を始めます。ただ、マウスを持つのも以前より辛くなりました。
生理が止まればこの指も違和感を感じなくなるのでしょうか。だるさやイライラ感は、波はありますがずっと続いてます。婦人科に行けば検査でホルモンの数値や必要なお薬もいただけるのでしょうか。いま休日は一人暮らしの実家の父の介護があり、なかなか自分の通院時間がとれないので不安です。
(ショコラさん・51歳 更年期症状の度合い/不調が出ることもあるが、なんとか乗り切れそう)
A 「これは更年期障害なのか」、その判定は実はとっても難しいんです
ショコラさん、こんにちは。お仕事と並行して介護もなさっているのですね、お忙しい日々ですね。ぼくが日ごろ更年期世代の女性から聞く愚痴がまさに「自分の通院時間がとれない」なのですが、コロナ禍でオンライン診療も進みましたので、多忙な世代こそぜひ活用してもらいたいです。
さて、今回は更年期障害なのか、病気なのか、そして閉経なのかというご質問ですね。
まず、更年期障害とは「時間がたてば自然に治る」症状です。逆に言うと、ある程度時間がたって振り返って、はじめて「あのとき更年期だったんだな」とわかる症状です。人によって実に多彩な症状が出ますので、全部を更年期症状かどうかを鑑別するのは大変難しい。ですから、取返しのつかないがんや脳梗塞を急いでルールアウトして、他はゆるゆると、ある意味場当たりの対応をしていくしかありません。
ですから、ショコラさんがいま急いですべきことは、怖い病気が潜んでいないかを確かめること。なので、忙しくても頑張って自分のために時間をやりくりして検査に行ってください。
でもね、怖い病気がなくて更年期障害であったとしても、あとは医師にできることって漢方かHRTの投薬くらいなのです。
非常に面倒ですが、不調に応じた専門科に一つ一つ行って調べてもらう必要があります
さて、ショコラさんは指の痛みでお悩みですが、この痛みは関節リウマチとの鑑別が必要です。更年期を過ぎても治らないかを待っていると手遅れですから、急いで専門の科へ行ってください。関節リウマチは外科ではなく、整形外科です。できれば検索して関節リウマチが得意だと書いている医院がいいでしょう。
同様に、婦人がんのチェックを子宮体がん・子宮頸がんだけで終了する人がいますが、特にHRTを考えている人は乳がんのチェックを確実に受けてください。乳がんは婦人科ではなく乳腺外科です。外科の中に乳腺を見る医師がいる場合もあります。また、医療とは点ではなく線で行うので、40代に入ったら同じ病院で画像診断を続け、画像蓄積して時系列の線で比較できるように意識するとベターです。
最近は婦人科も「ルナルナオンライン診療」のように遠隔診療を行っています。忙しい人はまず遠隔診療を受けて、不安があればお近くのリアルの医院へ行くという手があります。大丈夫かなと悩んで1か月2か月たってしまうくらいなら「リアルの医療にかかるべきか」のトリアージ(治療緊急度に応じた傷病者の振り分け)として受けてみてください。整形外科もオンライン診療がありますから、どんな時間にどのように痛いということを説明すれば、どういう医院にかかってどんな治療を受けるべきかを教えてもらえます。
ぼくは今後は初診は全部オンラインにしてトリアージを進めたほうがいいのではと思っています。治らない人だけリアル診療を行えば、患者さんは長時間待つ必要がなく、医師も重症度に応じた適切な治療が行えます。だから、みなさんもオンライン診療を活用してください。
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■新見正則医院 院長 新見正則先生
1985年 慶應義塾大学医学部卒業。98年 英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)。2008年より帝京大学医学部博士課程指導教授。20代は外科医、30代は免疫学者、40代は漢方医として研鑽を積む。現在は乳がん患者に対するセカンドオピニオンを中心に、漢方、肥満、運動、更年期など女性の悩みに幅広く寄り添う自由診療のクリニックで診察を続ける。がん治療に於いては、明確な抗がんエビデンスを有する生薬、フアイアの普及も行う。
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