
実は子宮頸がんより多い「卵巣がん」。どんな病気?予防法は?がん専門医に聞きました
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がんは、いまや日本人の2人に1人が診断される時代です。女性の場合、乳がんや子宮がんにかかる人も多く、婦人科検診を受ける人は年々増加しています*。一方で、厚生労働省が推進するがん検診の対象に入っていないことから、あまり意識されていない女性特有のがんがあります。それは、卵巣がん。下記のグラフにあるように、卵巣がんは近年、発症する人が増え続けています。
卵巣がんとは、いったいどんな病気なのでしょう?発見する方法は?予防できる? オトナサローネ編集部長の浅見が、がん研有明病院婦人科副部長の温泉川真由(ゆのかわ・まゆ)先生に聞きました。
*国民生活基礎調査による都道府県別がん検診受診率 2007年、2010年、2013年、2016年、2019年(厚生労働省)
乳がんや子宮がんに次いで多い女性特有のがんは「卵巣がん」
浅見:先生、今日はよろしくお願いいたします。まず、女性特有のがんは、主にどんな種類があるか教えてください。
温泉川:婦人科のがんは、主に乳がん、子宮がん、卵巣がんなどがあります。その他、まれに膣がん、外陰がんなどがあります。女性特有のがんで一番多い部位は乳房、二番目が子宮、三番目が卵巣です(下表「日本人女性の悪性新生物罹患数と死亡数」より)。子宮のがんは、子宮頸がんと子宮体がんがあります。子宮頸がんだけの罹患(りかん/病気になること)数を卵巣がんと比べると、実は卵巣がんのほうが多いのです。
浅見:え⁉ よく聞く子宮頸がんのほうが多いと思っていました。
温泉川:確かに、1990年代までは子宮頸がんのほうが多かったのですが、卵巣がんになる人が年々増え、2019年の調査では、卵巣がん患者の数が子宮頸がんを上回りました(上表「日本人女性の悪性新生物罹患数と死亡数」より)。子宮頸がんに関しては、現在ワクチンが承認されて、検診方法も確立しています。一方の卵巣がんは、国が推奨する検診がまだありません。
浅見:言われてみれば、職場の検診科目に乳がんや子宮頸がんは書かれていますが、卵巣がんは見かけないかも。私も、卵巣がん検診は受けたことがないです。なぜ卵巣がんの検診はないのでしょうか。
温泉川:実は、卵巣がんの検診は、有効性が認められたものがまだないのです。検診を国が推奨するには、早期発見や死亡率減少などへの明らかな有効性が認められないといけません。卵巣がんの検診についての検討は行われていますが、その結果、早期発見や死亡率減少につながっていません*。ですので、卵巣がん検診は行われていません。卵巣がんの進行は早く、1年に1回の検診では確実に発見できないのではないかと考えています。
* Reade CJ, et al. Gynecol Oncol 130: 674-681, 2013.
別名「サイレントキラー」と呼ばれる卵巣がん。どんな病気?初期症状は?遺伝する?
浅見:あらためて、卵巣がんがどのような病気か教えていただけますか。
温泉川:卵巣がんは、卵巣の細胞にできる悪性の腫瘍です。発症初期の段階では症状がほとんど現れず、気付いたときには進行していることが多いので「サイレントキラー(無言の殺人者)」と呼ばれています。2019年の1年間に、卵巣がんにかかった人は13,388人いました。亡くなった人は、2020年の統計で4,876人でした。(上表「日本人女性の悪性新生物罹患数と死亡数」より)
浅見:どんな症状が現れるのでしょうか。
温泉川:早期はほとんど症状が現れません。徐々に、お腹のハリ感、ウエストのサイズアップ、月経不順、不正出血などが現れますが、いずれも他の病気との違いが分かりにくい症状ですよね。この点も、早期発見を遅らせる理由になっています。進行すると、脚がむくんだり、腹水が溜まってお腹が前に張り出たりします。
浅見:お腹のハリは便秘かな?と思いますし、ウエストサイズが増えたからといって卵巣がんかもなんて思わないですね。そもそも、なぜ卵巣がんになるのでしょうか。
温泉川:さまざまな要因があると考えられていますが、排卵回数も関係していると言われています。排卵のとき卵巣の表面にできる傷が関連していると考えられていて、排卵回数が多いほど危険性が高まります。そのため、初経(初潮)が早かったり、閉経が遅かったり、妊娠・出産経験がなかったりするなど、排卵の機会が多い人にできやすい傾向があります*。もちろん、当てはまらない人でも発症する可能性はあります。なお、閉経後の55歳~59歳に発症する人がもっとも多いですが(上グラフ『卵巣がんの年齢別罹患率)、それ以下の世代も年々増えています。
*森満, 他. 産科と婦人科 77: 32-37, 2010
浅見:私は初経こそ人並みの年齢でしたが、50歳でまだ閉経は迎えてなく妊娠・出産経験もありません。3つのうち2つ該当するので気になります。ちなみに、乳がんなどは遺伝的要素も多いと聞きますが、卵巣がんは遺伝しますか?
温泉川:遺伝する場合もあります。卵巣がんは、親から遺伝する「遺伝性卵巣がん」と、食生活や肥満、子宮内膜症などがきっかけと考えられている「非遺伝性卵巣がん」があります。80%以上が「非遺伝性卵巣がん」です。**
**Hirasawa A, et al. Oncotarget 2017; 8: 112258-112267
浅見:年齢や家族のがん歴に関係なく、卵巣がんになる可能性はあるんですね。国が推奨する検診項目でないとすると、医師に診てもらいたいときはどうすればいいですか?
温泉川:超音波(エコー)などで調べることができますので、医師に相談してみてください。子宮がん検診のときに、オプションで経膣超音波を受けられる場合がありますし、婦人科を受診していただいたら、調べることもできますので、違和感を覚えたらなるべく早めに診てもらうことをお勧めします。内膜症関連の卵巣がんは、超音波やMRIで異常所見を見つけることもできますので、気にある症状があれば検診を受けてほしいです。
がんは月単位で進行する場合も…だからこそ定期的な検診を欠かさずに
浅見:子宮がんを調べる検診では卵巣がんを見つけられないのですか? 場所が近いからできそうに思えますが……。
温泉川:子宮がんと卵巣がんは見つける方法が異なるので、残念ながら子宮がん検診で卵巣がんが見つかる可能性は低いです。一般的な「子宮がん検診」は子宮頸部細胞診といって、子宮頸部から採取した細胞で判断します。卵巣がんは、超音波のほか、お腹の触診や内診、血液検査、CTやMRIなどの画像検査で判断します。卵巣は骨盤内の深いところにあるので、お腹から針を刺しても届かず、組織や細胞を採取できないんです。
浅見:卵巣がある場所も、がんがなかなか見つけられない理由の一つなのですね。
温泉川:はい。超音波やMRI(体の内部の断面を撮影する)の画像に卵巣がんの疑いがあると判断した場合には、まず手術をして、切除した卵巣や卵管の組織をを調べてから診断します。
浅見:初期の段階で見つけるためにも、次回の検診からは、超音波検査も受けてみようと思います。
温泉川:なお、卵巣がんの多くは、月単位で病状が変化する場合があります。毎年検診している人でも、昨年は異常なしだったのに今年は卵巣がんが見つかるということがあり得ます。また、超音波で卵巣がん以外の異変に気付けることもありますので、定期的に検診を受けてほしいと思います。
⇒卵巣がんの治療と生活に関する総合情報サイト(卵巣がん.jp
温泉川 真由(ゆのかわ・まゆ)先生
広島大学医学部卒業。がん研有明病院婦人科副部長。30代で産婦人科から腫瘍内科への転科を決断し、現在は産婦人科と腫瘍内科の専門医として、婦人科がんの薬物治療に関して第一線で取り組んでいる。
浅見 悦子(あさみ・えつこ)
主婦の友社ウェルネス事業部部長。「自分らしく自由に自立して生きる」をコンセプトに『OTONA SALONE』を2016年5月に立ち上げ、編集長に就任。2021年4月より現職。自らカラダを張った本音とリアルな記事を執筆することを得意とし「40代編集長の婚活記」がリアルで共感する、と話題に。著書に『恋ができない40代が運命の人を見つける17の方法』(主婦の友社)、『40代ご無沙汰女子のざんねんな婚活』(小学館)がある。美容編集者歴27年、香りと感触にこだわる美容健康マニアで化粧品やアロマテラピーの資格も持つ。
取材・文/力武亜矢 撮影/畠山あかり
【提供】アストラゼネカ株式会社
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