更年期対策、最初から病院に行くべきか?【更年期ラウンドテーブルvol.4】

オトナサローネは更年期の10年間をよりよく過ごすための社会啓発「アフタヌーンエイジプロジェクト」をスタートしました。

口にしやすい「アフタヌーン」という言葉をご提案しつつ、「私の症状は更年期なの?他の病気?」「どうすればこの不調が軽減する?」「私の症状を相談する相手は?」など医学的知識をわかりやすく届け、最終的に「誰でも不調を口にしやすく休みやすい、脱落せず参加し続けられる社会」を実現するのが目的です。

この一環として、有識者らと読者が同じテーブルを囲んで率直な意見を口にする「ラウンドテーブル」を12月にスタートしました。

今回はオトナサローネ連載でもおなじみ、「婦人科&漢方の医療専門家」である医師・新見正則先生、薬剤師・笹森有起先生を囲んで更年期の疑問をトーク。

前回「更年期の治療。どこまでセルフケアでどこから薬?」に続く最終回は、更年期症状の治療方法の選び方について、2人の先生に教えてもらいます。

(全4回の1回目2回目3回目4回目

 

ドラッグストアの漢方薬?それとも医師に処方してもらうほうがいい?

井一

前回に出た質問「更年期の治療は、どこまでセルフケアして、どこから薬に頼るべき?」では、新見先生に「薬は悩んだら飲まない」「漢方は悩んだら飲む」「食事は悩まずに摂る」と3つの目安を教わり、スーッと腑に落ちました。最終回となる今回は、漢方や医療に頼る場合の、治療方法の選び方をお聞きしたいと思います。

 

力武

更年期の取材をしていると、多くの人が何年もかけていろいろな方法を試して、やっと自分に合う治療や薬を見つけている印象があります。3年、5年とかかった人も多い。

 

井一

私も43歳で漢方治療をスタートしてから51歳でHRTにたどり着くまで8年がかり。最近やっと落ちついた状況です。正直、もっと早く結論にたどり着けていたら楽だったろうと思っています。

 

新見

ですが、何年も探すという、その方法でいいのと思います。なぜなら、人それぞれ、体系も骨格も食生活もストレスも違うので、全員に当てはまる唯一の正解のようなものはないから。自分に合う治療方法は、自分の体で試して見つけ出すのがいちばんの近道です。

 

力武

私の場合、いきなり病院へ相談するのは敷居が高いから、まずはドラッグストアで手に入る漢方薬から始めました。いまのところ効果を感じています。でも、本当は自分で漢方薬を選ぶより、医師に処方してもらったほうがいいのでしょうか?

 

笹森

ファーストステップとして自分でドラッグストアのいわゆるOTC薬を選んでみるのは、いいことだと思います。それで手ごたえがあるのでしたら、わざわざ多忙な中に病院に行く時間を作らなくてももう十分ということですから。

 

井一

なるほど、どういう方法であれ症状が軽減されることがいちばん大切で、ここにも正解はないということですね。効果の面ではどうなのでしょう?

 

笹森

ドラッグストアで売られるOTC漢方薬は、消費者が自分で選んで飲んでも大丈夫なように作られていて、一般用医薬品(第2類医薬品)として売られています。それなりの効果が期待できます。

 

新見

最近はインターネットでも薬が買えますから、便利になりましたよね。笹森先生はまさにそのOTC漢方薬のオンラインカウンセリングサービスをなさっています。

 

力武

でも、「大丈夫なように」ということは、成分が少ないとか、弱いとか、そういうことなのではないのですか?

 

笹森

これはよくご質問いただくことで、量の部分はイエス、効能が弱いかというとノーです。漢方薬は、複数の生薬を煮込んでエキスを抽出して作ります。その際に使用できる生薬の上限は決まっています。生薬を上限いっぱいまで使っていることを満量処方といいますが、OTC漢方薬の多くは満量処方ではない、これは事実でイエスです。

 

ただ、満量処方はエキス抽出に使う生薬量の決まりで、抽出したエキス量のことではないので、同じ生薬量を使っていても、抽出したエキスの量は商品によって異なります。さらに、メーカーによって満量値のルールが違うので、満量ではないから効果が弱いとも言い切れません。

 

ただし、その点では、医師や薬剤師に相談して処方してもらうほうが、より合う薬を見つけやすいかもしれません。なにより、悩みを専門家に話して解決の道を聞けると、気持ちが楽になると思いますよ。

 

自分で漢方薬を選ぶときのコツは?

井一

薬には、鎮痛剤のようにいま感じている痛みをすぐ緩和させるために飲むとんぷく的な薬と、血圧の薬のように飲み続けてじわじわと効く薬がありますよね。漢方薬にも、そのような種別がありますか?

 

笹森

はい、あります。目安として、使っている生薬の種類が少ないものはとんぷく的で、ピンポイントにすぐ作用します。生薬をたくさん使っているものは、幅広い作用がおだやかに効いていくため、長期で飲むタイプが多いです。

 

井一

辛さを感じたらコレ!みたいなお勧め漢方薬はありますか? 例えば、ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり、発汗などが起きる更年期症状の一種)になったとき、飲めば汗がピタッと止まるような薬があったらありがたいです。

 

女性一同

それ、聞きたいです!

 

笹森

ホットフラッシュは、体を冷やす作用がある白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)が、とんぷく的な役割になります。飲んだ瞬間にピタッと発汗が止まるほどではないですが、しばらくすると症状が落ち着くと思います。おだやかに長く作用するなら、加味逍遥散(かみしょうようさん)もいいですね。

 

井一

でも、飲んですぐピタッと止まるほどではないんですね。ちょっと残念。

 

新見

そんな魔法の薬が作れるなら、とっくに大手メーカーから出てますよ(笑)。

 

井一

たしかにそうですね。新見先生、笹森先生、ありがとうございました。ここまで4回に分けていろいろな質問に答えていただきました。今後ともさまざまな質問にぜひお答えください!

 

 

◆ラウンドテーブルに参加して有識者に質問してみたい方、ご登録ください。次回開催時ご連絡差し上げます。こちらから

更年期、あなたと同じ悩みを持つ人はどうやって切り抜けたの?

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■参加者のご紹介

新見正則先生

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。98年移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)。2002年より帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。20代は外科医、30代は免疫学者、40代は漢方医として研鑽を積む。現在は、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙普及のために自由診療のクリニックでがん、難病・難症の治療を行っている。最新刊『フローチャートコロナ後遺症漢方薬』はAmazonでベストセラーに

 

笹森有起先生

pluskampo株式会社代表薬剤師。青森県出身。東北医科薬科大学を卒業し薬剤師免許を取得。調剤薬局での勤務を6年経験。薬剤師として働く中で漢方薬に出会い、自身の自然治癒力を最大限に引き出し、結果として症状が緩和する漢方薬の効果や考え方、哲学に感銘を受け、フリーランス薬剤師を経て起業。新見先生が普及する生薬フアイアと注目のエクオールを組み合わせた画期的なサプリメント「エクオールバランスビューティ」を開発。

 

 

鈴木里砂さん(52歳)夫、息子(高2)と都内在住。東京都からの受託事業運営とZIPARTISTのパラレルキャリア。趣味はおひとりさま活動、アクセサリー作り、美味しいお酒を飲むこと、車いすラグビーボランティア、神社巡り、ダイエット。

 

前川祐美子さん(55歳) 夫、長男(23歳)、ミニチュアダックスと都内在住。フリーランスのWEB編集者。趣味はクラシックバレエ、ヨガ。

(左)オトナサローネ編集部・井一美穂(51歳)(右)ライター・力武亜矢(51歳)
井一は45歳ごろから抑うつ、不眠など精神神経症状に相当深く長く苦しめられたものの、煎じの漢方で更年期前半を何とか乗り切った。51歳からHRTをスタートしたところ驚くほどに著効、人生が変わる勢い。同じ年齢の力武は性格の前向きさもあってかほぼ自覚症状がないままここまで過ごしてきた。

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