なぜ更年期は太りやすい?「更年期の正月太りダイエット」合理的な方法を薬剤師がそっと教えます
年末年始のお休みで食生活が乱れ、体重が増加してしまったと悩む人も多いのではないでしょうか。基本的に体重は、食事による摂取量が消費量を上回っている時に増加します。
年末年始は食べ過ぎや飲み過ぎでカロリー摂取量が増加、運動不足で消費量が低下するダブルパンチの時期。
加えて、寒い時期特有の、冷えによる血液・リンパ液のめぐりの悪化も起きるため、トリプルパンチです。
水分や脂肪が溜まりやすく排出しにくくなるほか、便秘やむくみなどによっても体重が変動するんです。
「食べる量は変わっていないのに体重が減らなくなってしまった」と感じている人や、体重に変化がさほどなくても肉のつきかたは結構変わってきたという方に向け、漢方サブスクサービス「+kampo」の代表漢方薬剤師・笹森有起先生に、無理なく体型を整える効果的な対策を教えてもらいます。
「更年期になると正月太りしやすくなる」のは本当?それとも言い訳?
こんにちは、「+kampo」の笹森有起です。お正月太りに悩む方、まずは、20代の頃の身体と40代以上の身体では、何が違うのか? 太りはじめたその原因を理解しながら、精神的に無理ない範囲で対策を始めていきましょう。
青年期、壮年期などと同じような時期の呼び方として、女性の閉経の前後5年を更年期と呼びます。
日本人の閉経の平均は50歳のため、45~55歳は更年期にあたる人が多数。この時期に女性ホルモンの分泌が急激に減少するため、更年期障害と呼ばれる状態に至る人もいます。
この更年期になると太る原因は、大きく2つあります。
1・基礎代謝の低下
2・エストロゲンの減少
それぞれの特徴を理解することで、美しさを維持し、無理なく太りにくい身体を作ることができます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
加齢が引き起こす、避けようがない「基礎代謝の低下」
まずは、加齢によって基礎代謝の低下が起きることを認識してください。つまり、「これまでと同じ量を食べていたら太る」ということです。
基礎代謝とは、人が生きていくために最低限必要なエネルギー代謝量のことを言います。一般的に加齢に伴って筋肉量は低下しますが、この結果エネルギー代謝量が低くなります。
基礎代謝は「全く動かない状態で消費されるエネルギーの量」なので、基礎代謝が高ければ太りにくく、低ければ太りやすくなります。加齢とともに筋肉量などが減少すればその分だけ基礎代謝量も低くなり、その結果太りやすくなってしまうのです。
「自律神経の乱れ」も代謝低下の大きな原因になる
代謝には自律神経も大きく関係しています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、代謝だけでなく体温、血圧、呼吸、消化吸収、血糖、ホルモン分泌、排泄などを24時間自律的に調整しています。
この自律神経が整っていれば、食べすぎて脂肪が増えても自律神経が適切に指令を出し、食欲抑制ホルモンや脂肪の燃焼を促進するホルモンの分泌を調整します。
ですがホルモンバランスのゆらぎで自律神経のバランスが乱れやすい更年期は、食欲抑制が正常に働かない、体脂肪をうまく燃焼できない、エネルギー消費も代謝も低下するなどの悪影響が起こり得ます。
女性ホルモンの低下そのものも「太る」原因!?
閉経を前に、45歳前後から女性ホルモンの1つであるエストロゲンが急激な低下を始めます。実はエストロゲンは脂肪の燃焼にも深く関わっているため、エストロゲンの低下によって身体は脂肪が燃えにくい状態に変化してきます。
また、エストロゲンは脂質代謝にも関連し、コレステロールを適切に調節しています。エストロゲンが低下すればおのずと皮下脂肪だけでなく内臓脂肪もつきやすくなり、食生活や年齢因子とは別に内蔵型肥満を呼びやすい身体になると言われます。
これらが体型が変わりやすい原因の一つとも考えられます。
ちなみにまで、女性ホルモンは美容にも深く関わっています。エストロゲンは肌内部のコラーゲンの生成を促進し、肌のハリやツヤを生み出し、くすみのない元気な肌へと導く働きがあります。
それが減少することによって、肌の保水力が低下し、乾燥しやすい肌へと変化します。またコラーゲンが生成されなくなると、肌はハリや弾力を失い、頬のたるみやしわを引き起こすことにも関連してきます。
なんと、ホットフラッシュが改善される?更年期のダイエットに重要なのは「バランスの調整」だった!
更年期や加齢が原因で太った場合も、過食で太ったケースと同様、「エネルギー摂取量を減らすこと」と「エネルギー消費量を増やすこと」の2つがダイエットの柱になります。この2つの考え方をベースに自分で無理なく続けられる対策を見つけていくのですが、ここにポイントが1つ。
ホルモンバランスの乱れやすい更年期のダイエットでは、ホルモンバランスや自律神経を整えることも意識するとより効果的です。代謝低下、太りやすいといった悩みだけでなく、更年期に起こりやすい他の不調の調整も楽になっていきます。
例えば、更年期の症状として代表的なほてりやのぼせといったホットフラッシュは積極的な減量を6カ月間行うと軽減できるということが、無作為化研究によって示されています。
(参考文献:An Intensive Behavioral Weight Loss Intervention and Hot Flushes in Women)
自律神経系と女性ホルモンを制御する分野は、どちらも脳の視床下部に存在します。指令元が同じ場所にあるため、自律神経系と女性ホルモンは、互いに影響を受けやすいのです。
ここまでの記事で、更年期世代の女性のダイエットの「意外な盲点」について説明しました。後編では具体的な方法を解説しましょう。
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