パートナーが更年期かも? 症状を自覚する男女の約3割が我慢してしまう理由と対処法とは?

パートナーが最近、疲れやすい、眠れない、イライラしがち…なんて言っていたら、もしかしたらそれは男性更年期かも? 女性にとっても他人事ではない更年期症状ですが、実はミドル男性にも訪れるといいます。果たして多くの人はどんな症状を実感し、どんな思いを抱えているのでしょうか?

今回は、ツムラの男性更年期と女性更年期をテーマにした両方のアンケート結果から、みんなの本音と対処方法を探ります。

 

更年期の男性のホンネが明らかに!

株式会社ツムラは、2022年11月に更年期に関して20代〜60代の男性を対象に調査を行いました。主なトピックスをご紹介します。

 

1.男性は更年期症状について「言いにくい」 「認めたくない」「対処法がわからない」

男性更年期には「言いにくい」 「認めたくない」「対処法がわからない」の3つの特徴があることがわかりました。

自分の更年期の症状への「対処方法がわからない」  人は男性で84.3%。症状を自覚しながらも「周りに言いにくい」(63.0%)、「症状があっても認めたくない」(58.0%)という人が多い結果に。

しかし、更年期症状を自覚する男性の67.0%が「日常生活・社会生活に支障をきたしている」と深刻です。症状を自覚しているのに3人に1人は「何もせず我慢」(34.0%)しており、我慢する理由は「どのように対処すればいいかわからない」から(55.9%)という回答が多くなっていました。

 

 

 

 

2.男性の更年期症状はイメージと実態にギャップあり

 

男性の更年期症状、一般的なイメージは「イライラ」「疲れ」「発汗やほてり」ですが、自覚症状のある男性の約7割は「疲れ」 を感じており、「イライラ」より「頻尿」「不眠」を感じている人が多い結果に。イメージと実態でギャップが生じています。

 

3.更年期男性が言われて傷ついた言葉は?

更年期症状を自覚する男性の約4割が、周りの人から更年期症状について言われることに「抵抗あり」と回答。

更年期症状があるときに、周りに言われて傷ついた言葉には、次のものがありました。

  • 「イライラしている」と言われた(大阪府 41歳)
  • 「注意力散漫」と言われた(北海道 52歳)
  •  「怒りっぽくなった」と言われた(神奈川県 53歳)
  • 「異常な発汗を見られて、「気持ち悪い」と言われた(京都府 57歳)

男性更年期にある男性は、複雑な心境のようです。パートナーに対しては配慮を怠らず、進んで理解をしたいですね。

 

男性外来の医師のアドバイス

この調査結果に対して、日本初の男性外来「メンズヘルス外来」を立ち上げたという医師の堀江重郎先生がコメントを寄せていました。その中から、女性にとって勉強になる内容をピックアップしてお届けします。

「今回の調査結果から、男性の更年期症状を取り巻く環境には、『言いにくい』『認めたくない』『対処法がわからない』という3つの課題があることがわかりました。なぜ認めたくないのかといえば、男性は自分が更年期であることを認めてしまうと、加齢を受け入れて“現役”から遠ざかるような気がしてしまうからです」

「男性は、精神的な苦痛や肉体的な疲労を他人には訴えず、また自分でも認めないという傾向があり、その結果として対処法がわからない、という悪循環に陥りやすいのです。男性の性格的な傾向や更年期の持つイメージから、男性の更年期の症状には『3つの課題』が大きなハードルとなっていると考えられます」

「更年期とは人生の前半戦は終わったことを意味しますが、決してネガティブな時期ではなく、これから人生の後半戦に向けて準備をし、整える時期です。健康問題はオープンに話し合うことで、自分に合った解決策やサポートが見つけられる可能性が高まります。無理に打ち明ける必要はありませんが、症状を知ることは大切です。男性の更年期は社会的ストレスが要因となりやすいので、何が要因かを具体的に探り、ストレスから離れるために周囲のサポートが必要な場合は、そのことを伝えてみるのも良いでしょう」

更年期症状に悩むパートナーへ想いやりを持ちたい、と考えている人にとって、このコメントはとても参考になりますね。

 

女性も更年期症状に我慢しがち!

ツムラは、20代〜60代の女性にも更年期に関する調査を行いました。女性の更年期症状の実態と対処法をご紹介します。

 

1.更年期症状の実態は?

女性の更年期症状は、一般的には「イライラ」「ほてり」「発汗」がイメージされますが、更年期症状を自覚する女性の訴えは「疲れやすさ」「肩こり」「気分の落ち込み」等が多く、実際の症状とはギャップがあるようです。

また更年期症状を自覚する女性の約3人に1人は「我慢したまま何もしない」と回答しつつも、更年期症状を自覚する女性の54.0%が「日常生活・社会生活に支障をきたしている」と回答しました。

更年期症状を自覚する女性のうち、人に相談する人は30.0%、病院に行った人は22.0%と少なく、約3人に1人は「我慢」(32.0%)したまま何もしていない現状があります。

我慢する理由は「対処するほどではない」(46.9%)、「年のせいだと諦め」(43.8%)、「自分にあった対処方法がわからない」(37.5%)の順に多い結果となりました。

大人世代なので、ちょっと体調が悪い程度だと我慢しがちですよね。でも、放置せずに対処することで、周りへの影響も少なくて済むこともあるのではないでしょうか。

 

 

目黒西口クリニック院長 漢方医学専門医 南雲久美子先生によると、

「更年期というといまだにネガティブなイメージを持つ人が多いという結果でしたが、その意識が正しい知識を持ちにくくし、対処や治療の遅れにつながっていると考えられます。更年期の年代の女性はとても多忙です。家族のこと、子どものこと、親の介護、自分の仕事、夫の仕事、将来のこと…、考えなければならないことが山ほどあって、自分のことは二の次、三の次になってしまう。

また、更年期の症状はいつかは終わるからと我慢を重ね、結果、不調に慣れ、諦め、受け入れている女性も少なくないでしょう。

確かに、かつては諦めるしかない時代もありましたが、今は違います。たくさんの情報を得て、しっかりと正しい対処ができるようになっています。人生100年時代。その中の10年もの長い時間を、不調に何も手を打たず、諦めて生きるのは、あまりにももったいない。

普段当たり前と思って慣れてしまった不調の中に、実は改善できるものがあるかもしれません。不調が少しでもない日々に、私たちが貢献できれば幸いです」ということ。

 

我慢せずに気になることがあれば婦人科に相談してみるのもいいのではないでしょうか。パートナーと自分が、お互い更年期なら、互いにオープンに話し合うのも対処法の一つかもしれませんね。

 

【お話を伺ったのは…】

堀江 重郎(ほりえ・しげお)先生 

泌尿器科医、医学博士

順天堂大学医学部 泌尿器外科学講座・遺伝子疾患先端情報学講座・デジタルセラピューティクス講座  主任教授

日米で医師免許を持ち、手術ロボット ダヴィンチを駆使した前立腺、腎臓手術のトップランナー。
男性ホルモンの低下に起因する様々な疾患の診断と治療を行う日本初の「メンズヘルス外来」の立ち上げなど、日本の男性医療や科学的アンチエイジングをリードする。発足から22年目を迎える日本メンズヘルス医学会の理事長。日本抗加齢協会 理事長。
著書に「男性の病気の手術と治療」(かまくら春秋社)、男性更年期障害(LOH症候群)について解説した「LOH症候群」(角川新書)など多数。

 

南雲久美子(なぐも・くみこ)先生


目黒西口クリニック院長 漢方医学専門医

杏林大学医学部卒業。北里研究所附属東洋医学総合研究所で東洋医学を学び、1996年に東洋医学と西洋医学を融合した治療を行う現クリニックを開業。「新版冷え症・貧血・低血圧」(主婦の友社)、「タイプ別・冷え症改善ブック」(家の光協会)など著書多数

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