海外女性は「更年期」の何に苦しむの?ニュージーランド売れっ子ジャーナリストの話が「共感しかない」

日本では「思春期」「老年期」などと同様の世代呼称として、閉経の前後5年を「更年期」と呼びます。日本人女性の閉経平均年齢は50.4歳とされるため、45~55歳の10年間が更年期に相当する人が多数。

でも、海外では「更年期」ってどうなっているのでしょうか?

ニュージーランドを訪問する機会を得た編集部が、「更年期と女性」の問題に取り組みベストセラーヒットを放った気鋭のジャーナリストに、ニュージーランド人にとっての更年期事情を取材しました。

(聞き手/オトナサローネ編集部 井一美穂)

 

Ms.Niki Bezzant

数々の受賞歴を持つニュージーランドのライター、ジャーナリスト、講演者、著者。52歳。 20 年以上に渡りニュージーランドで出版、オンラインメディア、放送メディアに携わる。ウェブサイト『Cuisine』を設立、売れっ子スタートアップ編集者を経て 『Healthy Food Guide』誌創刊編集長として「ニュージーランドで最も売れている料理誌」を10 年以上維持。 現在は『Thrive』誌編集者、 『Woman』 誌ヘルスケアエディターも務める。

近年は女性の更年期障害と中年期の健康に注力し、健康と科学の複雑な専門用語を理解しやすく紹介。閉経にまつわる2年もの研究をまとめた『This Changes Everything』(2022年・Penguin Random House刊)はNZ のベストセラーとなる。

https://www.nikibezzant.com/ インスタグラム https://www.instagram.com/nikibezzant/

 

メノポーズ=閉経そのものを指します。周閉経期の長さは人それぞれ

約束の時間よりちょっと早く、待ち合わせたホテルのロビーに現れたNikiさん。簡単な自己紹介ののち、さっそく通訳の女性を介してお話が始まりました。落ち着いた物腰とわかりやすい解説、さらには通訳のシーナさんも同世代の女性のため、まるで同世代女子トークのような暖かなムードに。

 

この日私が是非ともお伺いしたかったのは、「ニュージーランド人の女性も更年期障害を『悩み』として捉えているのか、それとももっとクールに『そういう時期もあるよね』と受け流しているのか、その捉え方」でした。

 

東洋だけがホルモンの変動をネガティブに捉えているのか、西洋も同じなのか?

 

最初に、ニュージーランド人にとっての「メノポーズ(閉経)」はどのようなものなのかを聞いてみました。すると……。

 

「メノポーズは『変化の時期』です。今まではニュージーランドでもそういう話を公にはしませんでしたが、この数年で急激に状況が変わりました。私の新刊『This Changes Everything』は1年前に出版されましたが、この本をきっかけに、52歳の私を中心にして、周囲の人が閉経について話すようになりました。メノポーズにまつわる環境も変化の時期を迎えています。メディアだけでなく、女性同士が閉経について話し始めました」

 

時代的な変化、個人の変化と、二つの意味で変化の時期ということですね。ちなみに、日本では閉経の前後5年を「更年期」と、思春期や老年期と同等のタームで呼びますが、閉経を指す「メノポーズ」という言葉は具体的にどういう状況を言うのでしょうか?

 

「ホルモンがアップダウンをしはじめるとペリメノポーズ、周閉経期と呼びます。最後の月経の日がメノポーズ。そのあとはポストメノポーズ、閉経後と呼ばれます」

 

ニュージーランドではペリメノポーズの前をプレメノポーズと呼ぶそうなのですが、国際更年期学会等での呼称はメノポーザルトランジション(閉経移行期)。どちらにせよ欧米では「10年間」というような固定的な時間軸ではなく、「どの時期が何年かは人それぞれの幅がある」と捉えるようです。

 

「閉経」にまつわるお話は、ニュージーランドでもまだ語られはじめたばかり

さて、Nikiさんの著書『This Changes Everything』がベストセラーとなり、閉経という事象への理解度がぐっと深まったニュージーランドですが、この数年でどのくらいカジュアルにメノポーズが人々の話題になるように?

 

「この3年ほどで、メディアを通してメノポーズにまつわる話題が爆発しました。セレブリティが自身のメノポーズを語り始め、同時期にイギリスなど先進国の働く女性たちもオープンに自分の話を始めました。ソーシャルメディアでも話題が出てきました。それらの場面の影響が大きかったと感じます

 

私は49歳ごろペリメノポーズに入り、自分自身のために情報を調べ始めました。でも、当時は探してもクオリティの高い情報はなく、世間的にもまだ話せるムードではなかったため、語る機会もありませんでした。自分がメノポーズに差し掛かったときにはじめて、自分はなんて無知なんだろうと気がついたんです。そういう女性がほとんどだと思います。

 

たとえば私たちの母の世代は、親しいお友達同士でもメノポーズの話はしなかったのではと思います。母は私にも話しませんでしたし、世間にはごくごく限られた情報しかなかったのでしょう」

 

つづき▶ニュージーランドでの「更年期じたく」は何をする?どんな「必殺技」があるのでしょう

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