
もしかして私、ちゃんと【対話】できてない!? 自分の「コミュ力」が不安な人、もっと世界を広げたい人にやってみてほしいこと
2022年にフジテレビで放送されたドラマ「silent(サイレント)」。人気アイドルグループSnow Manの目黒 蓮さんが中途失聴者の佐倉 想を演じ、話題になりました。川口春奈さんが演じる、高校時代の同級生・青羽 紬と再会することで、再び動き出す二人のせつないラブストーリー。恋の行方だけでなく、聴覚障害の人が抱える苦悩や日常生活、そして「手話」も注目を集めました。
ふだん私たちは「言葉」で相手とコミュニケーションをとっています。実際に会って話をしたり、メールやSNSなどの文字で言葉を伝えたり……。それらのコミュニケーション方法は当たり前になりすぎていて、言葉なしでの対話というのはすぐには想像しづらいですよね。
もしも、耳が聞こえない人と身ひとつで対話をすることになった場合。どのようにしてコミュニケーションをとればいいでしょうか?
身ひとつですから、筆記用具もなく筆談もできません。携帯やPCもないので翻訳アプリや画像を表示して伝えることもできません。
ドラマ「silent(サイレント)」で想が用いていた手話も、手指を使って視覚的に表現する「言葉」なので、ここでは使用NGとします。
このような状況で、あなたならどのように相手と意思疎通をはかりますか?
音のない世界で言葉の壁を超えると、対話が楽しくなる!?
常設の、“照度ゼロ”の暗闇で楽しむ『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』と隣り合った施設内。
編集部の諏訪はこの問いに、「身振り手振りで伝えるとか?」とフワッとした方法しか思い浮かばず……。「聞こえない経験」をしてみるとヒントが見つかるということで、東京・竹芝にある『ダイアログ・イン・サイレンス』のイベント体験に行ってきました!
参加者は音を遮断するヘッドセットを装着して、言葉を使ったおしゃべり禁止。聴覚障害のあるアテンドスタッフと他の参加者とともに、いくつかの部屋をめぐっていくエンターテイメントプログラムです。
まったく音のない世界というのは日常生活では体験することがない環境。音がない、それだけでなんだか不安でソワソワします……。
スマホも時計も全部ロッカーにあずけて、手ぶらでサイレンスの世界へ!
言葉なしで相手になにか伝えるための武器は2つ!
それぞれの部屋で、アテンドスタッフから与えられるミッションをクリアしていくのですが、全貌はこれから参加する人のお楽しみを奪ってしまうので、いくつか抜粋してご紹介。
◆アイコンタクトと表情
「顔のギャラリー」の部屋の様子。
画像提供/一般社団法人 ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ
「顔のギャラリー」の部屋では、表情で相手に気持ちを伝えるということをフレームから顔を出し、ゲーム感覚で行います。これが結構難しい! 私ってふだんの生活で無表情に会話していたのかも…と再認識しました。
音のない世界では「話を聞いているよ」「なるほどね」「おもしろいね」ということを、常にアイコンタクトと表情で伝えなければならないのです。相手に全集中しないと会話が成立しないという事実は衝撃でした。
◆ジェスチャー

アテンドスタッフのかりんさん。「サインで遊ぶ」の部屋の様子。
「サインで遊ぶ」の部屋では、私が来場前にイメージしていた身振り手振りがミッション。でも、指さしで「これ」「あれ」のような簡単な身振り手振りだけでは伝えられないお題で、ひと苦労! 椅子に座っていたのに、思わず立ち上がって体全体でパントマイムのように表現してみたり、必死で自分の伝えたいことを表しました。
伝わると、他の参加者さんやアテンドスタッフが、「わかったよ」「いいね」を手のサインで教えてくれて、自分が言いたいことをわかってもらえるってこんなに嬉しかったっけ?と、喜びと達成感でいっぱいに。
初対面の他の参加者さんとも、連携が取れてチームワークのようなものが生まれてきたのも不思議でした。
音のある世界でも、本当の対話を楽しむためには?

「手のダンス」という部屋の様子。
画像提供/一般社団法人 ダイアグローグ・ジャパン・ソサエティ
あっという間にいくつかの部屋をめぐる音のない対話体験は終了。
実際に経験してみて感じたことは、音の聞こえる人は聞こえない人よりも対話に集中できていないのかもしれないということです。
スタッフの方のお話で印象的だったのは、聴覚障害者のご夫婦はケンカするときもプイっとそっぽを向いた相手を振り返らせて、目をみてアイコンタクトをとりながら怒った表情、悲しい表情をしながら手話で気持ちを伝えるんだそうです。
アイコンタクトと表情というものは大切で、「音の聞こえない人にとっては、程度をあらわすのに顔の表情も活用するという独特の文法」のようなものだとおっしゃっていました。
聴覚障害者が対話をするときにお互いの目を見ることは欠かせないことなんだとか。

簡単な手話を教えてくれるパートも。「ありがとう」(胸の前に水平においた左手の甲を、右手でトンと手刀をきる)や「大丈夫?」(首をかしげながら、右手で左→右と胸のあたりにふれる)などを覚えておくと、街で聴覚障害者と出会ったときの会話に用いやすくなりそうですね。
これは音が聞こえる私たちができていない場合が多いのでは、と考えさせられました。
もちろんちゃんとできている人もいると思うのですが、私の場合はドキリとさせられました。
家事をしているときに小学生の息子に話しかけられても、ちゃんと子どものほうを振り返って目をみて話を聞いていただろうか? 適当に「へぇ~」「そうなんだ~」と家事をする手元から視線をあげずに相槌をうっていたのではないか?……思い返すと、子どもに謝りたい気持ちになりました。
目をみて話を聞くこと、感じたことを表情で伝えることは、話している相手の存在に敬意を払うことでもあるんだ、と今回の体験を通して痛感しました。これからはもっと相手の話を聞くことに集中して、敬意と愛情を表現しながら対話できる人間になりたいと思った1日でした。
ご自身の対人関係の振り返りのきっかけのために、言葉の壁を超えて広い世界の人々とつながるために……ぜひ、1度遊びにいってみてください。子どもと一緒に体験するのもいいなと思いました!
ダイアログ・イン・サイレンス「LOVE IN SILENCE」
●開催期間:2024年1月13日(土)~2月25日(日)
●開催場所:ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」
(アトレ竹芝 シアター棟1階)
●体験費用:大人3,850円、学生2,750円、小学生1,650円
「ちがいを超えて、その先へ」という目標を掲げて、障害や年齢、文化や育った環境などにとらわれることなく、対等な関係で対話を楽しむことができるソーシャル・エンターテイメント・プログラム。聞こえない経験の「ダイアログ・イン・サイレンス」は期間限定開催ですが、見えない経験の「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は常設開催。

学校や団体向けの子ども5,000人無料体験プロジェクトを実施中。体験したことで、子どもたちの自己肯定感の向上、異文化の人々との関係性にポジティブな変化があったという声が届いているそうです。
取材協力/一般社団法人 ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ
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