東大生 vs. 陰謀論、どう論破する⁉  事実誤認や矛盾を許さない、常に漂う緊張感がもたらすもの

素人の事実と異なる言説

ぼくの尊敬する先輩が、「インボイス制度の登録が任意であることを政府は隠していたんじゃないか。パーティ券裏金問題が明らかになって、国民の目をそらすために、今になって任意ではないと言い出したんじゃないか」とぼくに確認の連絡をくれました。

こういうことはよくあります。おそらく、ぼくの愛してやまない先輩の友人が、事実確認もせず適当なことを吹聴したのでしょう。先輩は純粋だし、友人を信頼しているので全面的に信用します。

一方で、ぼくが論拠を持って説明をしてもすぐには信用してくれません。

 

このように最初に聞いた情報を強く信用する傾向は、誰にでもあるでしょう。これを「初頭効果」と言い、様々な研究が行われています。

さっそく東大生っぽく述べてみました。

「そういう傾向ってあるよね」と経験則だけで話すのではなく、こうやって「初頭効果」という名前を示すだけでも、その話の信用性は十分高まります。可能であれば、論文や研究の概要を話してもいいかもしれません。

 

さて、先輩に対し、「その話は間違っています」と否定することは簡単ではありません。先輩の尊厳を傷つけるし、先輩の友人の名誉が失墜します。

結局、かなり遠回しに、婉曲的に、曖昧に否定して、ぼくの信用が失墜してしまいました。

 

気になると思うので、インボイスに関する事実を述べておきます。

 

 

インボイス制度の登録は任意なのか

まず、インボイス制度に登録するかどうかは任意です。しかし、元々消費税の申告をしている法人や個人は、インボイスを登録しない理由がありません。登録しないと間接的に損をするからです。その点では「任意ではない」と言えます。

ぼくの大切な先輩は、税理士さんから任意である旨の説明を受けておらず、友人から任意であると聞いたため、矛盾を感じたのでしょう。しかし、税理士さんが正しい。

 

さて、消費税の申告をしていない人は、インボイスを登録するかしないか選ぶことができます。つまり、「任意」です。このことは、ほとんどの個人事業が認識しています。

だから、「任意である」とも言えるし、「任意でない」とも言える。そして、そのことを政府が隠していた事実はありません。

先輩の友人がしたであろう「インボイスは任意である。政府が裏金から目をそらすために、今頃発表した」という話は、事実誤認に端を発しています。そういう主張は、大学では軽蔑の対象となります。

 

 

【前編】では、経験則だけで根拠のない議論は東大生には通じないということ、フェイクニュースを信じている相手を説得するために東大生がとる説明方法の一例を教えていただきました。

▶つぎの【後編】では、東大生同士の議論はもちろん、普段のなにげない会話であっても事実誤認や論理の飛躍は許されない⁉ …についてお話いただきます。__▶▶▶▶▶

 

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