頬に出てきたシミのような影。これって肝斑?【皮膚科医に聞く♯2】

ニキビに悩んだ10代から始まり、年々深刻になっていくお肌の悩み。40代を越えるとシミ、シワなどのお悩みに加えて「これは病気なの?」と心配になるような肌トラブルも…。そこで美容皮膚科医の友利新先生にお悩みを直撃。原因から対処法まで教えてもらいました。今回のお悩みは『肝斑について』。

【質問】これって肝斑?閉経すると消えるって本当ですか?

 

46歳、肌はどちらかというと白いほうです。ずっと両ほほに広めのシミがあると思っていたのですが、どうやら肝斑ではと気が付き始めました。ファンデーションで隠れるのでそれほど気にしていないのですが、紫外線対策をしていても夏場に濃くなってしまう感じがあります。いっぽう、閉経すると肝斑は消えるという話も聞きました。私は何か治療をしたほうがベターでしょうか? (東京都 会社員 46歳)

シミには4種類あり、原因の大半は紫外線

まず「シミじゃなくて肝斑では?」というのが間違っています。シミには4種類あり「老人性色素班」「そばかす」「炎症性の色素沈着」そして「肝斑」の4つです。ですので肝斑はシミの一種。すべて紫外線を浴びることでメラニン色素が異常増殖したものです。まずはそれぞれの特徴を説明します。「老人性色素斑」というのは一般的にシミと呼ばれるもの。ここからここまでがシミですという境界が鮮明でフェイスラインや手の甲などに多く見られ、その名の通り30代後半から出てきます。紫外線を浴びることでメラニンが異常増殖することによりできるものです。「そばかす」は別名雀卵斑と呼ばれるように細かいシミが広範囲に広がったもの。これは比較的若いときからある人が多く、紫外線によって年々濃くなってきます。そして「炎症性色素沈着」とはにきび跡や日焼け跡、レーザー治療跡の炎症のことをいいますが、これもその部分に紫外線があたってしまうと濃くなってしまいます。

唯一、女性ホルモンが関係しているのが肝斑

そして最後のひとつ「肝斑」ですが、これは頬の高いところからフェイスラインにかけて、両サイドに浮かび上がってくるもの。老人性色素斑と違ってここからここまでという境界線が鮮明じゃなく、なんとなくベターッと浮かび上がってきます。これは30代以降の女性に多く、唯一女性ホルモンが関係していると言われていますので、妊娠や出産、更年期と言った女性ホルモンの増減で変わってきます。とは言え閉経しても消えることはありません。ただ薄くなる可能性はありますが、紫外線を浴びるとまた浮かび上がってきますので、ほかのシミと同様紫外線対策を怠らないことが大事です。

レーザー治療、光治療、内服薬。シミの状態によってアプローチ法は変わる

老人性色素斑は誰にでも出ますが、肝斑は人によって差があります。肝斑だと思っていても老人性色素斑と混在していることがほとんどですが、難しいのは肝斑と老人性色素斑では治療法が違うこと。老人性色素斑の場合、レーザー治療が一般的。照射した部分がかさぶたとなり、その後に色素沈着がおこってだんだんとシミが薄くなるという流れで、小さなものなら1回の治療で終わります。肝斑の場合、レーザーだと1回では終わらず、範囲も広範囲になるので肝斑用のレーザーもしくは別の光治療を行うことになります。それと同時にトラネキサム酸やビタミンCを内服するのもひとつの手です。ただトラネキサム酸やビタミンCは肝斑には有効ですが、老人性色素斑には効きません。最近は肝斑に聞くという内服薬も市販されていますが、肝斑を消そうと思って飲んでいるのに消えない場合、それは老人性色素斑の場合があります。シミの状態は人それぞれですし、大半の人が数種類のシミが混在しているのでどのアプローチが最善かを見極めるのはとても困難。素人判断せずにまずは相談するのが賢明です。

メリット、デメリットを理解した上で治療法を選んで

そばかすを含め、顔全体に治療を施す場合、レーザー治療か光治療を選ぶことになります。レーザーは1、2回の治療で終わりますが、かさぶたにもなるし、その後色素沈着を起こしてから治癒ということになるのでダウンタイムが長くなります。ですから来月結婚式なのでシミを取りたいという人にはとてもリスキー。最低でも2〜3ヶ月前に治療を始めると安心です。また術後の紫外線は厳禁なので,夏場よりも秋や冬の治療がオススメ。また長期的な休みを利用して治療するのもいいでしょう。かさぶたも作りたくないし、ダウンタイムもない方がいいという人は光治療が向いています。光治療は顔全体に照射することで肌色のトーンをあげる治療ですので、1回で効果がでることはありません。1ヶ月に1回のペースで半年から1年。長期的な治療となりますがその分ダウンタイムはありません。料金はレーザーの場合、1回あたり1〜3万円、光治療なら1回あたり3〜5万円が相場。美容医療になるので保険は効きませんが、肝斑治療で内服薬を利用する場合や炎症性色素沈着の場合は保険適用になることもあります。どちらの治療もそれぞれメリット、デメリットがあるのでライフスタイルやかけられる時間、費用に合わせて医師に相談してください。

 

「老人性色素斑」という名前に衝撃を隠せなかった今回の取材。追い打ちをかけるように年々ターンオーバーが長くなるので、一度できたシミは戻りにくくなるのだそう。もう加齢とともに訪れる老化に抗うことができないのかと落ち込んでいましたが、先生から「しっかりケアすれば必ず治る」と心強いお言葉が。まずはこまめに日焼け止めを塗り、紫外線は極力浴びないこと! 「今日は曇りだからいっか」なんて怠けてた自分に喝を入れ、今日からケアを徹底したいと思いました。オトナサローネでは今後も友利生に肌トラブルについてのお悩みを相談していきます。

 

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お話・友利新先生

皮膚科医・内科医

日本内科学会会員、日本糖尿病学会会員、日本皮膚化学会会員、抗加齢学会会員

沖縄県宮古島出身。東京女子医科大学卒業。同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。現在、都内2か所のクリニックに勤務の傍ら、医師という立場から美容と健康を医療として追求し、美しく生きる為の啓蒙活動を雑誌・TV などで展開中。2004年第36回準ミス日本という経歴をもつ、美貌の新進医師。美と健康に関する著書も多数あり、近著に『0歳からのスキンケア』(イースト・プレス)がある。

(取材・文/根本聡子)

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