
「妻とは別れる」既婚医師の甘い言葉にほだされ妊娠してしまった…。34歳看護師の転落劇とは(後編)
慰謝料の問題。このままでは二重に支払う必要が…
2つ目は慰謝料の問題です。戸籍の件で夫に協力を求める場合、夫はありのままの事実を知り、大きなショックを受けるでしょう。夫が望むのなら、莉子さんは精神的苦痛の対価として慰謝料を払わなければなりません(民法709条)。莉子さんは「そうなんですか…」と肩を落とします。
莉子さんは「でも、私だって1人の女性です。できることなら彼と結婚し、家庭を持ち、幸せになりたい」と言いますが、筆者は「二人が結婚するには、前もって離婚する必要があるんですよ」と苦言を呈しました。
もし莉子さんが夫と離婚できても、圭太が妻と離婚できる保証はありません。つまり、莉子さんが望んだからといって必ず、一緒になれるわけではないのです。
妊娠する前、莉子さんは圭太にとって自分が『彼女』なのか、それとも『愛人』なのか、彼の気持ちが分からなかったと言います。彼との愛が本物だという証、それが子どもの存在だと思い、いつも基礎体温をチェックして、チャンスをうかがっていたそうです。「好きな人の子どもが欲しいと思ったの」莉子さんはそう回顧します。
圭太のことが本気で好きだったの、何があっても彼と一緒になるつもりだから、浮気ではなく本気なの。子どもがたまたま出来たわけじゃなく、計画的に授かったの。これらの言い訳は莉子さんの事情であり、夫には関係ありません。むしろ夫の怒りを買って、慰謝料を増額される可能性もありますが、それだけではありません。
ドラマでは不倫相手の男性は未婚でしたが、今回は既婚です。
圭太の妻がこのことを知ったら、どうなるでしょうか?夫(圭太)が別の女性と肉体関係を持ち、子どもを作り、ただ今妊娠中。妻は泡を吹いて倒れるかもしれませんし、怒りに任せて慰謝料を請求してくるでしょう。つまり、莉子さんはこのまま出産した場合、慰謝料を二重に払わなければならないのです。
ドラマでは宏樹(演:田中圭)が美羽(演:松本若菜)の裏切りを知り、彼女を家から追い出しましたが、それ以上の制裁を加えていません。今後、慰謝料を請求する場面はあるのでしょうか?
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