父から学んだ「末期のがん患者にかけるべき言葉」とは?「大丈夫?」「痛くない?」「眠れてる?」「食欲は?」心配の声かけだけでは逆効果

「もう、コレしかない!」限られた父との時間に「今、何をすべきか?」で出した答え

訪問診療が始まってから、父の“悩み”は少しずつ解消されていきました。食事についても、おそらく医師や看護師と話し、心がラクになったのでしょう。私も少しずつ、父と他愛もない会話を交わせるようになりました父の幼少期の話など初めて聞くようなこともあり、「まだまだ知らないことがたくさんある。今のうちにいっぱい聞きたい」という想いが、私の中で日に日に強くなってゆきます。同時に「時間が足りない」と感じるように!

 

自宅と実家は、電車で往復2時間の距離。この時間があれば、もっと母のサポートもできるのに、という気持ちもあり、しばらく実家に滞在することを両親に提案しましたが「煩わしい」と却下される始末……(自分の時間も大事に、という2人の優しさもあると予想)。そんなある日、父から「毎日忙しそうだし、そのうちサポートの人もお願いできるから、もう少し来る頻度を減らしたら?」と言われます。そこで私ははっきりと、「今、何をすべきか?」の答えが分かったような気がしました。

 

「私が実家に通っているのは、お父さんやお母さんのサポートのためじゃない。お父さんとの残された時間を後悔のないように過ごしたいから、“自分のため”に来ている。でも忙しいのは事実で、それがお父さんにも分かってしまうほど。だからもう、コレしかない! 実家の近くに引っ越そう」。

 

1分1秒でも時間が惜しい今、「引っ越しなんて無謀」ともう1人の自分が説得に当たる中、夫と父、母に正直な気持ちを伝えると、3人ともが「賛成」してくれるまさかの展開に! お義母さんの住むマンションとの移動距離も考慮しながら、さっそく家探しが始まりました。

 

そんな中、少しずつ父の体は弱ってゆきます。体重は40㎏台となり、家の中での歩行が厳しくなっているようでした。週単位で変わる体調に戸惑っていると、父から「頼みたいことがあるから明日来てほしい」と連絡がくるのですが……。これはまた、次回お話ししたいと思います。

1 2 3

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク