市川海老蔵、スターが抱える宿命。彼を取り巻く三人のオンナたち
源氏物語の娘たちの運命とは……
源氏物語といえば、エッセイスト・酒井順子は「紫式部の欲望」(集英社文庫)で、「源氏物語とは、作者である紫式部が、自身の秘めた欲望を吐き出すために書いた物語なのではないか?」と仮定しています。「男に連れ去られたい」「ブスを笑いたい」「モテ男に復讐したい」などの欲望のなかに「娘には幸せになってほしい」という気持ちが紫式部の中にあったのではないかと予想するのです。
瀬戸内寂聴はそれを裏付けるように「やりたい放題の源氏も、血のつながった母娘には手を出さない」と指摘していますし、実際、源氏の元カノの娘たち(秋好匂宮、玉鬘)は、安定した人生を生きています。これは自身も娘の母親であった紫式部の母心からだと思います。
海老蔵には麗禾ちゃんというお嬢さんがいます。歌舞伎の家に生まれた女の子は、舞台に上がれない疎外感を味わって成長するそうです。お母さんを亡くした影響だってないとは言えないでしょう。しかし、それでも、スターの血をうけついだ彼女は、それを乗り越えて幸せになる能力を持っていると私は信じてやみません。
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