認知症の方を身体拘束するしか手段はない?「薬を断固拒否」「点滴の針を勝手に抜く」疲弊する介護現場、一体どうすれば【医師監修】

「点滴の針を抜いてしまう」「薬を拒否して飲んでくれない」認知症の方にどう接するべき?

―――それで、先生も実際にケアを学ぼうと?

本田:当時の医療現場では、「点滴を投与している際に針を抜かれてしまう」「服薬を拒否して口を開けてもらえない」など、認知症の方の対応に課題がありました。時には最終手段として、身体拘束をせざるを得ない状況も。

 

そこで、ユマニチュードの考案者であるイヴ・ジネスト先生に連絡を取り、直接ケアを学ばせてもらいたいとお願いしたんです。それが2011年10月、再び国立病院機構東京医療センターに内科医として着任する1ヶ月前のことでした。

 

ジネスト先生のケアを拝見し、とにかくスムーズな様子に驚きました。(前回の記事でもお伝えした)ユマニチュードの4つの柱「見る」「話す」「触れる」「立つ」の基本技術があることで、ケアを受けている方も笑顔で。その後、私も実践することになり、「フランス語ができないのに大丈夫かな」と少々不安もあったのですが、これが自分でもびっくりするほど上手くいったんです。

 

―――言葉は、大きな壁にならなかった! 「見る」「触れる」で相手に伝わったんですね。

本田:「相手との距離を近く」「長く見つめる」「優しく触れる」など、ユマニチュードの技術を組み合わせたことで、気持ちを届けられたのかもしれません。そういった経験からも、いち早く看護や介護の現場に取り入れたいと感じましたね。

 

帰国後、さっそく周囲にユマニチュードのことを伝えたら「ぜひ学びたい」と言ってくれたので、2ヶ月後にはジネスト先生に病院に来てもらうことが実現し、看護師さんたちも直接教わることができました。

 

―――看護師の皆さんは、その後現場でユマニチュードを実践されていますよね。何か変化はあったのでしょうか?

本田:日々実践する中で、確実に変化を感じていたようです。現場がスムーズにまわることで、自身の「手ごたえ」にもなっていると聞きます。

 

ある看護師さんが話していたのは、ユマニチュードを「心電図が読める」「点滴管理ができる」のと同じように「看護技術」と捉えたら、自身の気持ちに変化があった。「病院内でも、私(たち)にはユマニチュードという技術があるので、高齢者の方のケアは任せてください」と言えるようになり、それは自分にとってもうれしいことだったと!

 

それを聞き私が思ったのは、こういったケアは「やる気や思いやりだけではなく、学びと実践が大事」だということ。一度しっかりと学べば、それが良い結果をもたらしてくれます。実は今もジネスト先生にお願いし、年に数回ほど指導に来ていただいているんです。

 

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