『豊臣兄弟!』で解き放たれる坂井真紀の俳優としての魅力。「あんたは きっと 私たちにええことを運んでくれる 弁天様なんじゃわ」。なかが慶に伝えた言葉があらわすこと【NHK大河『豊臣兄弟!』14話】 

2026.04.15 LIFE

なかは理想の母親

『豊臣兄弟!』では今をときめく若手俳優や日本を代表するベテラン俳優がすばらしい演技で視聴者を魅了していますが、筆者が初回からもっとも印象に残っているのは、なかを演じる坂井真紀です。豊臣兄弟の母であるなかは、夫の死後、女手一つで4人の子どもたちを育ててきました。苦しい状況にあっても、常に笑顔で、ポジティブに生きる姿、そして嘘を繰り返す藤吉郎(池松壮亮)も含めて我が子をどんなときも信じています。本作が描く乱世の中で、なかは豊臣家の太陽のような存在であり、誠の愛があることを視聴者にも教えてくれているようにも思います。坂井自身も「なかは本当に温かくて強く、そして優しい女性。『こんなお母さんがいたらいいな』と自然と思える人物です」とコメントしていましたが、筆者も“こんなお母さんがいたら”とふと思ったことが何度かあります。

 

 

2話には、藤吉郎が自慢していた侍大将の話も禄の話も嘘だったと、小一郎(仲野太賀)がとも(宮澤エマ)とあさひ(倉沢杏菜)に明かした場面があります。なかはこの話をそばで聞き、「そんなことじゃろうと思ったわ」とあたたかく受け止めていました。そして、「戦で手柄を立てるっちゅうんは 大勢人を殺すっちゅうことだで。あの子にそんなまね できるわけないがね」と言いながら、満面の笑みを浮かべていました。6話では、藤吉郎は鵜沼城に人質として残りましたが、心配する寧々(浜辺美波)に対し、なかは「あの子は 不死身じゃ」と励まし、息子が生きて戻ってくると信じ続けていました。また、11話では、小一郎が家族や仲間が集うにぎやかな宴の席で、直(白石聖)を思い、一人ふさぎ込んでいましたが、なかは息子のそんな思いを瞬時に汲み取り、不安な表情を浮かべていました。宴のあと、小一郎の着物のほつれを修繕し、手渡す際に「でも ず~っとはしてやれないよ」「人の命は繕えないからね」と、息子に生死についてさりげなくも力強く教え説いていました。

 

 

本放送回では、小一郎と藤吉郎が絶体絶命の危機に瀕している間、指のとげが抜けませんでした。二人が危機を脱したのと同じ頃、慶(吉岡里帆)に話しかけられた瞬間、指のとげが抜けました。なかは「あんたは きっと 私たちにええことを運んでくれる 弁天様なんじゃわ」と、慶に感謝を伝えていました。慶の本心はまだ分からない部分もありますが、なかがそう言うのであれば、慶は小一郎にとっても“ええこと”を運んでくれる存在のように思えてきます。

 

 

思い返すと、過去の大河ドラマにおいても、なかは秀吉をあたたかく見守っていました。例えば、2002年のNHK大河『利家とまつ〜加賀百万石物語〜』(NHK総合ほか)では、なかを草笛光子が演じ、秀吉を香川照之が演じていました。本作におけるなかは住まいも着物も秀吉の出世とともに豪華絢爛になっていきましたが、心は農村で暮らしていたときと変わりませんでした。出世した秀吉にも母として厳しく接し続けていましたし、野菜作りも続けていました。『豊臣兄弟!』でもなかを取り巻く環境はこれから大きく変わっていくはずですが、彼女の心は変わらないと信じています。

 

 

◆坂井真紀が演じてきた役と、なかの共通点とは

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