介護するときに「言ってはいけない」5つのNGワード。「ごめんなさい、すぐ終わりますからね」も実は逆効果だった【医師に聞く】
「お父さん、亡くなったのね……」と泣き出す義母も笑顔になれそう。「意外と簡単」だと感じたある方法
―――ポジティブな言葉を意識して会話をしていても、ケアをする相手から「負の感情」につながる話題や質問が出るケースもあります。私の例でいうと、義母から「お父さん(義父)は亡くなった? いつのこと?」と聞かれたので事実を伝えると、急に泣き出したり感情的になったりしたことがあって。話題を変えるべきでしょうか?
ジネスト:まず、亡くなったことや時期などは一度ちゃんとお伝えするべきですね。でも、それを何度も繰り返す必要はありません。もしかして、会話の中心が亡くなる間際のことや、悲しいことになっていませんか? そうではなくて、話題を良い感情が生まれるものにします。たとえば、家族で出かけたときのことや、子どもの行事に参加したときのことなど楽しい話をするんです。
そうするうちに、「お義父さんとの思い出話なら、この話題が良さそうだな」ということが分かります。だから、お義母さんから次に同じような質問があったときは、この「笑顔になる話題」へと流れを変えるのがよいでしょう。
―――”鉄板ネタ“をストックしておく感じですね。それなら意外と簡単にできそうです。
本田:懐かしいと感じる楽しい思い出は、ご家族しか知りえない大事なものです。そういう意味でも、本書でお伝えしている「『生活史』ノート」(ご本人の人生を知るための「生活史」)を作って活用することで、お義母さまもネガティブな感情を引きずらず、笑顔になれると思いますよ。
<「生活史」ノートを作る>
介護をするとき、私たちが頼りにできるのはご本人のこれまでの人生の出来事です。ご本人からだけでなく、ご本人のことをよく知っている親しい方にお話を聞いておくとたくさんの情報が集められます。ご本人の経験を知り、その経験を活用することでご本人が安心する状況を創り出すことができます。
①ご本人のことを知るための基本的な情報をノートに書く
●出身地やお仕事について ●ご本人の旧姓
●好きな食べ物、嫌いな食べ物 ●大好きな思い出の品
●家族について。家族のお名前 ●特に親密な関係にある家族や友人
●余暇の過ごし方や趣味 ●好きな歌や音楽
●ご本人が不安になる状況、言わない方がよい言葉(NGワード)
②ご本人の人生でのイベントについて尋ねる
●ご本人がよくお話しになる、人生の中で楽しかったこと、うれしかったこと、誇りに思っていること、悲しかったことなどの思い出やイベントを書き出す。
●年表として古いものから順番に並べる。
●楽しかった思い出、悲しかった思い出をそれぞれ表にまとめる。
いかがでしたか? 「ユマニチュード式」についてもっと知りたい方は、書籍をぜひ読んでみてくださいね。
◆「介護」の捉え方が180度変わる!行き詰まっている方にぜひ一度読んでいただきたい一冊


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■『認知症の方と意思疎通が取れる 介護シーン別 ユマニチュード式「話し方・行動」実践編』講談社刊(税込2,200円)

本書はわたしたちが見ている「今」ではなく認知症の方が見ている「今」に飛び込み、ご本人の不安な気持ちを取り除く技術を「介護シーン別」に徹底解説。パラパラとページをめくるだけでも、見出しやイラストで「困っていること&解決策」がすぐに分かる構成。現在、介護をしている方はもちろん、これから介護をする方にも、ぜひ手に取っていただきたい一冊。
認知症ケアの新しい技法として注目を集める「ユマニチュード」。わたしたちが介護をするときに困ってしまう認知症の周辺症状(妄想・暴言・不安・幻覚・不眠・徘徊・・・etc)は認知症の方の不安な気持ちがきっかけになって発症します。
「お風呂に入ってくれない」
「食事を食べてくれない」
「20年前に定年退職した会社に出勤しようとする」
「同じ質問をなんどもしてくる」
など、今困っていることをピンポイントで調べ、対処法がわかる事典的な構成。困ったときにすぐ調べられて、忙しい介護シーンでも使いやすい!
認知症になってから全く意思疎通が取れなかったお相手が、かつての大好きだったご家族の姿を取り戻す。それが「ユマニチュード」のケア技法です。
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【ユマニチュードとは何か】
●フランスで50年近く実践されてきた、“人間らしさ”を尊重するケア技法
認知症である前に尊厳のある人間に対する敬意を最重要視することを前提に、「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの技術を大きな柱に、誰もが再現可能な技法としてまとめられました。寝たきりだった認知症の方がユマニチュードによって立ち上がることができるようになるケースもあり、それは「まるで魔法」と表現されるほどです。
●効果が科学的に実証された
日本では2012年ごろから紹介されはじめ、NHK「あさイチ」など多くの番組で取り上げられました。全国の医療施設・介護施設や地方自治体(福岡市)で導入され、効果が検証されました(ユマニチュードで認知症の行動・心理症状が改善し、介護者の負担感が軽減することが証明された)。
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■お話・著者:本田 美和子 東京医療センター医師
国立病院機構東京医療センター 総合内科医長/医療経営情報・高齢者ケア研究室 室長。1993年筑波大学医学専門学群卒業。内科医。亀田総合病院、米国コーネル大学老年医学科などを経て、2011年より日本でのユマニチュードの導入、実践、教育、研究に携わり、その普及・浸透活動を牽引する。
■お話・監修:イヴ・ジネスト 「ユマニチュード」の考案者
ジネスト‐マレスコッティ研究所長。フランスのトゥールーズ大学卒業(体育学)。1979年にフランス国民教育・高等教育・研究省から病院職員教育担当者として派遣され、病院職員の腰痛対策に取り組んだことを契機に、看護・介護の分野に関わることとなった。
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