否定され続けた日々の先で…「おかしかったのは私じゃなかった」気づいた妻が取り戻した自分の感覚
怒鳴られることもなく、手を上げられることもない。それなのに、なぜこんなにも苦しいのだろう。Fさんは長い間、夫から否定され続ける日々の中で、自分の感じている違和感を信じられなくなっていました。「そんなことで?」「気にしすぎじゃない?」そう言われ続けるうちに、怒りも悲しみも、そして違和感さえも、少しずつ心の奥に押し込めていくようになっていったのです。
やがてFさんは、自分が何を感じているのかさえ、わからなくなっていきました。感情そのものへのアクセスが失われてしまっている、それが、Fさんの置かれていた状態でした。そんなある日、Fさんの人生を変えるきっかけが、思いがけない形で訪れます。
<<この記事の前編:怒鳴られたことは一度もないのに苦しい。行動を否定され続けた妻の違和感、気づきにくい「サイレントモラハラ」の正体とは
夫の機嫌ばかりを気にする日々
夫が不機嫌な日は、家の空気が変わりました。何も言わない。ただため息をつく。冷たい視線でFさんを一瞥し、また視線を外す。独り言のように「はあ、まったく」とつぶやく。何が原因なのかわからない。けれど、夫の機嫌が悪いことは、空気で伝わってくるのです。夫の機嫌がいいか悪いか……そればかりを気にするようになりました。
食事のとき。テレビを見ているとき。ふとした瞬間。いつの間にか、夫の顔色を見ることが当たり前の日常になっていました。常に相手の反応を監視し、危険を回避しようとする状態は、モラハラ被害者によく見られます。安心できるはずの家庭が、緊張する場所になってしまう。そのせいで、心が休まる時間がなくなっていくのです。
この状態が続くと、神経は休む間がなくなっていきます。本来なら、家にいる時間は休息のはずです。けれどFさんの場合、帰宅してからの方が緊張し、仕事中よりも、家にいる方が疲れてしまうようになっていました。
眠れない。気力がわかない。理由もなく涙が出る。
Fさんが何度か病院を受診したのも、この頃でした。医師からは「ストレスですね」と言われるだけでした。こんなに辛いのに、病院でもわかってもらえない。Fさんは、この世に自分は一人しかいないような孤独感に襲われるようになっていきました。
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