いつまで続く? こなれ感あるシンプルおしゃれ服の流行
世代やテイストで流行はまったく異世界だった
実は2000年代、ファッションの流行は世代によってまったく異なっていた。さらにいえば、世代が同じでもテイストによって異なっていたのだ。
2003年から2004年、私はアラサーOL雑誌からギャル誌へと異動したとき、愕然としたことを覚えている。ファッション誌というカテゴリーでありながら、流行が全く違っていることだった。
アラサーOL誌ではノーカラージャケットやサブリナパンツといったものが流行っており、色は基本、ベーシックカラーだった。しかし、ギャル誌ではマイクロミニやニーハイブーツ、キャラTなどがトレンドになっている。色も、ベーシックカラーはありつつも、ビビッドカラーあり、ネオンカラーありとカラフルだった。
登場するブランドだってそうだ。OL誌ではセオリー、アンタイトル、ICB、23区などを掲載していたが、ギャル誌にはMOUSSY(当時はmoussy)、EGOISTといった渋谷109に拠点を置くブランドや、L.A.ブランドのVon Dutch(ボンダッチ)などが当時は流行っていて、まったく異世界だった。異動したばかりの私は、ギャルの流行やブランドの特徴を覚えるのに必死だった。
つまり、各世代、各テイストごとのファッション誌の流行に個性があり、多少重なるポイントはありつつも、まったく別のトレンドが流れていたのだ。自分はこういうスタイルが好きという、自己表現のファッションだった。
SeventeenとSTORYに似たコーデが載る時代
ところが2016年のいま、OL誌でもギャル誌でもキラキラ女誌でも、さらにいえば40代、50代をターゲットとした女性誌でも、表紙にユニクロ、GUといった文字が踊っている。アイテムだけでなく、ブランドまで一緒。10代向け雑誌の『Seventeen』と40代向け雑誌の『STORY』に、ディテールなどは多少違うものの、似たようなシンプル&ベーシックコーディネートが掲載されているのだ。
各アパレルメーカーも、多くのブランドをシンプル、ベーシックに寄せてしまった。それは、そのほうが全体的な顧客需要がある=売れそうだからゆえの戦略なのだろうが、それによって各ブランドが没個性になってしまった。タグを見なければ、どこのブランドかがほぼわからない。
2000年代は服のデザイン、色、柄をパッとみれば、だいたいどこのブランドのものかがわかるくらい個性があった。現在、そのようなブランドさえもシンプル&ベーシック化が著しい。どうしてこのような時代になったのだろうか? ここでファッション誌に登場する女性アイコンに注目していきたい。
2000年代は女性ソロアーティストの時代
2000年代、時代を牽引していた女性はソロアーティストたちだった。オリコンのヒットチャートで上位を獲得していたのは、安室奈美恵、浜崎あゆみ、宇多田ヒカル、椎名林檎……etc. アイドルグループとしてはモーニング娘。も人気だったが、ソロアーティストの活躍のほうが目立った。
そして彼女たちはそれぞれ際立った個性を発揮し、音楽性はもちろんのこと、ファッションやメイクの方向性も違っていた。
ターニングポイントは、AKB48の台頭
2009年AKB48は、第1回選抜総選挙を行い、「RIVER」でオリコンチャートでグループ初の初登場1位を獲得する。その後、2010年に「ヘビーローテーション」をリリースし、国民的アイドルの地位を獲得する。また派生グループとしてSKE48 、NMB48が誕生し、さらに2011年には乃木坂46が結成されるなど、グループアイドル全盛期となる。
彼女たちの衣装は制服をベースにしたもので、似たような髪型、似たようなメイクをしている。ごく一部に個性を持ったメンバーもいるが、一般的な視点で見ると、9割がた似たような印象になる。
アイコン女性とファッショントレンドの関係性
2000年代、個性の際立つ女性が活躍した時代には、ファッションに個性があった。
2010年代、制服風衣装を着たグループが活躍すると、ファッションも制服化。
このように、その時代に注目される女性たちと、女性ファッションの流行には確実に共通するものがある。
流行は10年周期で変わると言われている。なので、2010年代はシンプル&ベーシック傾向は続くかもしれない。ただ、新しい兆しは2010年代後半に始まるはず。実はもうどこかで芽が出ているの可能性もある。なぜなら2010年代を牽引しているAKB48は2005年には結成していたのだから……。
シンプルおしゃれの流行、私服の制服化の終焉はいつか? 次のファッションの流行がどうなるか? それを牽引する女性は誰なのか? 2020年に向けて女性とファッションの流行のがどう変わっていくのか、とても楽しみである。
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