46歳「長く仕事を続けたい。演奏活動に集中したい」その一心で、子宮の摘出手術を受け入れた結果は

「まだ手術を100%受け入れられていませんでしたが、数カ月ぶりの生理痛のつらさや経血量の異常さに、これがあと何年も毎月続くのは我慢できないと思い、気持ちが固まり始めました」

 

手術は開腹か腹腔鏡の二択。私が開腹手術を選んだ理由

2月の手術を控え、気持ちが固まったシノブさん。現在の年齢(46歳)から考えると、一般的には閉経はまだ先です。その間も演奏家として活動していく上で、生理のたびに心配したり無理をしたりするよりは、演奏に完全に集中できる環境を手に入れたほうがいい、そう思うようになりました。

 

また、看護師の友人から「急に倒れて緊急搬送されれば、まったく知らない先生に手術をされることになる。だったら、自分の意思で医師を選んで手術できる選択肢があるなら、絶対にそうしたほうがいいよ」とアドバイスを受けたことも、シノブさんの背中を押しました。あらかじめ決まった手術であればスケジュール調整ができるので、仕事に穴をあけることもありません。

 

手術は、開腹か腹腔鏡の二択でした。開腹手術は腹腔鏡手術より入院期間が数日長く、術後の回復も時間がかかり、傷跡が大きくなります。腹腔鏡手術は、術後の回復が早く傷跡が小さく目立ちません。一方で、手術中の体勢変化により眼圧が上がるため、緑内障を患っているシノブさんにとっては、視力が低下する危険性があります。また、子宮を膣から少しずつ切りながら取り出すため、開腹手術より1時間ほど手術時間が長くなります。

 

「視力が低下すれば譜面が読みづらくなるため、演奏家としては死活問題です。また、47年間ずっと一緒に生きた子宮を、赤ちゃんを宿すことなく私の意思で取り出して切り刻んでしまうなんて、どうにも耐え難いと思いました。いずれ病理検査で切り刻まれるのかもしれませんが、せめて、きれいな形のまま取り出してほしかったのです」

 

そして、シノブさんは2月17日から10日間、手術のため入院しました。これまで10日間も楽器を触らないことは今までになかったため、手術よりも演奏力が落ちないか、その不安のほうが大きかったといいます。

 

ついに迎えた手術の日、そして退院。

入院の翌日。シノブさんの仕事を知った麻酔科の先生が病室へ来て「腕のどこに点滴を刺したくないとかありますか?」と聞いてくれました。その気づかいが、シノブさんの気持ちを安らかにしてくれました。

 

そして手術当日。全身麻酔での長時間手術に向け、腸内洗浄剤の服用と浣腸を済ませて麻酔を受け――気付いたときには手術は終わり、切った箇所の激痛にうなされていました。初めて傷跡を見たのは、手術の3日後。このときやっと「本当に子宮がいなくなってしまったんだ」と実感したそうです。

 

「手術の数日後に、手術中の説明を受けました。自分のお腹を開腹した状態を見た時は自分のお腹とは思えず、思わず見入ってしまいました。取り出された子宮は筋腫でボコボコに形が崩れていて、とても痛々しく見えました。ただ、そのままの形で取り出してくださったことに感謝をお伝えしました」

 

手術後は順調に回復し、予定通り10日後に退院しました。帰宅する道中、通い慣れている風景が新鮮に映り、街を歩いている人を見て、その中に戻れたことに感謝の気持ちがあふれたシノブさん。

 

「翌日から楽器を弾き始めました。なんだか音が以前と違って聞こえ、身体の中に空洞があるように感じました。焦らずゆっくり、自分の音に戻す練習をしました」

 

他にも出てくるマイナートラブルの数々。1日を健やかに過ごせるありがたさを感じています

手術後の経過は順調なシノブさんですが、実はここ10年間に、薬の副作用とは違うじんましんにも悩まされていました。皮膚科で血液検査したところ、海産物に寄生する線虫、アニサキスに反応していることが分かり、海産物すべてを食べられなくなってしまいました。

 

「海産物を食べなくなったら、じんましんは見事に治まりました。これ以外にも、2年前に左足小指の付け根に腫瘍ができて手術をしたり、大腸ポリープが見つかって切除したりと、ここ10年間は本当にさまざまな病気になり、悩まされました。子宮筋腫の影響だったのか年齢的なものかは定かではありませんが、この経験を通して改めて、1日を健やかに過ごせるありがたさを感じました」

 

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※ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです

※写真はイメージです

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