
倉田真由美さん夫、森永卓郎さんも闘病「すい臓がん」実は40代後半からリスクがドンと上がる!知らないと本当に怖い「真相」
「乳がん、子宮がんなど女性がんの啓蒙はたくさん行われていますが、40代50代女性が絶対に知っておいてもらいたいのが『すい臓がん』です。実は女性のがんの全死亡因の3位で、肺がんに次ぐ脅威です」
こう語るのは、免疫研究者、外科医、漢方医のトリプルメジャー医である新見正則医院 院長の新見正則先生。
「経済アナリストの森永卓郎さんが23年暮れにすい臓がんステージ4と発表しました。23年のお正月にTVの生放送で森永さんとご一緒し、健康やお金のことをお話しました。お若くて元気な方だなと感じていたのに、それからわずか1年。これがすい臓がんの怖いところなのです」
多くは見つかった時点でステージ4。40代後半からは女性もどんどん増えていく
出典・国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」
「ぼくはがんの治療にエビデンスを持つ漢方『フアイア』の普及活動をしているので、手を尽くして治療を探す患者さんがお見えになります。最近は40代後半の、若いすい臓がん患者の女性が増えたという実感があります」
すい臓がんは見つかった時点でステージ4、つまり遠隔転移があり切除も不能の状態がほとんどだそう。
「医学部時代の同級生100人ほどのうち3人がすでに亡くなり、うち2人がすい臓がんでした。医者の命もとる病気です。また、ぼくの周囲には40代後半で亡くなった方が実はすい臓がんでしたというケースが多い。もっと啓蒙が必要な病気だと思っています」
がんの年齢階級別罹患率 2015年女性 出典・国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)
上図の女性のがん罹患数を見ると、乳がんは30歳で跳ね上がって40代後半で横ばい、子宮頸がんも20代からじわりと上がったまま生涯横ばいです。50歳ごろから大腸・胃・肺が生涯じりじりと右肩上がりで推移しますが、それらの次に右肩上がりなのがすい臓がんです。
「すい臓がんは閉経前後で子宮頸がんの発症数を抜き、50代後半では子宮体がんも抜き去ります。更年期世代の皆さんはこれから耳にする機会がどんどん増える、知られざるがんと言えます」
なぜすい臓がんは「見つからない」のか? 原因は大きくわけて2つ
出典・がん情報サービス https://ganjoho.jp/public/cancer/pancreas/about.html
すい臓はタラコのような小さな臓器で、みぞおちの胃の裏、背骨の手前という深い位置にあります。小さいのに外分泌と内分泌の両方に重要な役割を果たす臓器で、外分泌では消化液の膵液、内分泌では重要なホルモンであるインシュリンなどを作り出します。膵液はさまざまな消化酵素、分解酵素を含む重要な消化液です。インシュリンは体内で唯一血糖を下げる働きを持つホルモンで、糖尿病と深く関連します。
では、なぜすい臓がんは見つかりにくいのでしょうか。原因の1つめは、自覚症状の乏しさ。
「がんが背骨の神経叢を浸潤すると痛み始めるため、痛みが出てはじめてがんが判明する人が多いのですが、すでにステージが進んでいます。すい臓の周囲には小さくて大事な血管が集中しており、たとえばすい臓の下、背骨の前の上腸管膜動脈にがんがかかってしまうと手術が不可能なステージ3です。すい臓は小さいのですぐに周囲の浸潤を始めてしまい、遠隔転移がなくても血管に食い込んだら手術が不可能という判断なのです。ぼくは血管外科で執刀していた時期もあり、昔ならばこの血管も取りにいきましたが、手術が大きくなるだけで生命予後をあまり伸ばせませんでした」
この痛みは背中方向に出るため、腰痛だと思いこんでマッサージに通ったがどうも治らず、念のため検査したら実はすい臓がんですでに転移していたという例がよく起きるそう。
「3㎝4㎝の大きな腫瘍ができても残された部分が正常に働くため数値異常も出にくいのですが、唯一初期でわかるのが十二指腸乳頭部分にできた場合です。すい臓は十二指腸へと膵液を分泌しますが、同じ位置に胆汁の出口があります。運よくこの周囲にがんができれば胆汁が詰まり、便が白くなり黄疸症状も出るため気づけます。でも、大抵はもうかなり広がった状態ではじめて黄疸が出るのです。これが原因の2つ目です」
でも、私の定期健康診断のメニューには腹部エコーが入っています。昨今のエコーは非常に精度が高いですよね、3㎝もの腫瘍がなぜ見つからないのでしょう?
「検査には向き不向きがあります。エコーはソナーですから、水に強いけれど空気に弱い。すい臓は胃の後ろにありますが、つまりすい臓は胃を越えて見ないとなりません。子宮、肝臓、甲状腺、膀胱、腎臓などは中に空気がないのでエコーが強いのですが、中に空気が入る大腸や胃、肺は見ええないのです。ましてやすい臓は、胃を通して見ないとならないため、運が悪いと全然見えません。これが見つけにくさの2つめの原因です」
もうひとつ、健康診断のミッションの問題もあるそうです。
「検査をする人たちも、それほど必死ですい臓をチェックしません。健康診断や人間ドッグは治療すれば長生きできるがんを見つけるためのものであり、見つかったほうが治療ができて生命予後がよいがんは限られているのです。すい臓がんは予後があまりよいとは言えないがんで、見つかってもできることがない場合があり、医師本人ですら必死には自分の身体をチェックしないのが現状です」
前編では「なぜすい臓がんの予後が悪いのか」見つけにくさについて伺いました。後編ではその治療について伺います。
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