
5月「立夏」のころに「できていないと不調を呼ぶ」意外な備えって?【新連載/田野岡メソッド・二十四節気のかんたん養生】
こんにちは、再春館製薬所の田野岡亮太です。
私は研究開発部に属し、さまざまな商品に携わってきました。その過程で、たとえば漢方原料が土地土地で少しずつ性質を変えること、四季のうちでも変わることを知り、やがて人間の心身そのものが気候風土に大きく影響を受けていることに深い興味を持つようになりました。中医学を学び、国際薬膳調理師の資格も獲得、いまもまた新たな活動を続けています。
オトナサローネ編集部からのリクエストで、1年に二十四めぐる「節気」のありさまと養生について、隔週でここ熊本からメッセージをお送りします。よろしくお願いします。
【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】5月編(上)
立夏の時期。ここ熊本では「夏らしい」ものが旬を迎えています
5月のこの時期は「立夏」。今年は5月5日でした。夏が立つ、夏の兆しが見え始めるころです。熊本ではすでに夏になっている感覚があります。スイカが出てきたりして。
実は熊本のスイカの旬はGWで、いまはもう旬を過ぎかけています。全国的にはお盆に食べるイメージがあると思いますが、スイカの名産地である熊本では5月に旬を迎えるのです。
「土用の丑」は知っているけど……「土用」とはいったい何?
ちょっと前までは「春土用」でした。こちらのほうが全国では重要だったと思います。
区分をいうと、立春から春分が春、今年は5月5日の「立夏」からが夏ですが、この「立夏」で夏に入る前の約18日間が「土用」です。1年を見渡すと、立春、立夏、立秋、立冬に入る前の約18日間がすべて「土用」です。
この時期に気をつけたいことをお伝えしますね。
じつは春は、イライラが積もりやすい時期なんです。その影響を残していませんか?
「五臓六腑」という言葉があります。「五臓」とは肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)。「六腑」は胆(たん)・小腸(しょうちょう)・胃・大腸・膀胱(ぼうこう)・三焦(さんしょう)です。
この中で、「肝」はイライラを引き受ける担当です。春とは、寒い冬から暑い夏に季節が変わり、三寒四温と呼ばれるように気温が大きく上下する時期。年によって上下幅も違います。夏や冬は「暑い季節」「寒い季節」と過ごし方がイメージしやすい季節ですが、寒さが暑さへだんだん変わっていく春の経路は毎年違うため、体は「去年こうだったから今年こうすればいい」という適応がしにくい季節です。「こんなの経験したことない!」とイライラしがちなのが春なのです。また卒業入学、進級や転勤で人間関係も変わり、さらにイライラが増えます。
イライラはやっかいです。これは中医学独特のイメージではありますが、イライラを受け止める許容量を超えてしまうと、肝から煙が上がるとイメージします。その煙は頭部に充満して、煙なので、穴を探して抜ける場所を見つけます。その穴が耳であれば耳鳴りが、目であればめまいや疲れ目や、目が赤くなるなどが起きやすい。そうイメージします。前の季節のダメージを残したまま次の季節に進んでしまうと、体が整わないまま次の季節を迎えてしまうこととなり、不調を感じやすくなってしまいます。
夏は、気温が高く日差しも強い、植物の成長にとってはありがたい季節ですが、暑さがあまりにもひどいと汗をかきすぎる厳しい季節にもなります。これから暑い季節がきますので、できるだけ前の季節の影響は持ち越さない方がよい。そう思いますので、目や耳に疲れのサインが出ているようでしたら、対策をして夏を迎えましょう。前の季節の影響は持ち越さないほうがいいのです。目が赤くなる、目に抜ける状態は顕著に見えるので、気づいたらすぐに対策をします。
春から夏に季節が移っていくこの時期に、肝の機能のサポートをしてくれるオススメの食べ物は、たとえばイワシ。旬は5月から12月と言われていますが、産地が変わりますのでほぼ1年中手に入ります。イワシは肝の機能をサポートして、目の調子を整える働きをすると言われます。PC仕事を頑張って目が少し疲れ気味だな……と思った時にはイワシを思い出してみてください。実は野菜のししとうにも同じような働きが期待されるので、TOP画像の「イワシの甘露煮しし唐添え」が最強にオススメです。
「土用」は年に4回ある。「春の土用」に気をつけるべきこととは
「土用」とは夏の土用が有名ですね。春夏秋冬、季節の変わり目の直前約18日間を指します。「季節の変わり目で体調が崩れやすい時期」が土用なので、体調を支える「おなか=消化機能」を整えて次の季節を迎えましょう。
春の土用期間は「春から夏にかけての季節の移り変わり」なので、少しずつ気温が上がったり日差しが増したり、でも数日すると寒さが戻ってきたりと、自然の変化に振り回されやすい時期です。夏土用と言われる夏から秋への季節の移り変わりでは、夏の暑い日が続いていたかと思っていたら、急に寒さが体に入り込んできたりします。
同様に、秋土用・冬土用も人を包み込んでいる自然が変化する時なので、変化を受け入れる準備が体にできていないとバランスが崩れやすくなってしまう。そんな時期なので、体の調子の根本を支える「おなか=消化機能」を特にケアしたい時期と言えます。
影響を受けるのは、体に栄養を摂り入れる「脾の機能」。胃を含めた消化機能のことです。毎日寒暖が入れ替わるような不安定な気温環境だと、消化機能に影響が出やすくなります。そんな時に限って歓送迎会が入ってしまうと、肝と脾の機能はますます大変な状況に……。体に栄養を摂り入れる脾の機能(=消化機能)のケアをして、夏に負けない体づくりを意識してみませんか。
次回はこの土用のタイミングで気をつけることをさらに詳しくお話しますね。
お話/田野岡亮太さん
2003年、再春館製薬所に入社。化粧品の開発に10年間従事した後、再春館食品ブランド”Lashiku(ラシク)”の商品開発の担当へ。「お客様のイキイキを食からも応援したい」という想いから国際薬膳調理師を取得。「人生100年キレイ」を支える食の充実を目指して中医学を学び続けながら日々商品開発を続けている。
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