
「エラが張っている」「あごに梅干しがある」それ歯を噛み割るリスクあり?「噛む力が強すぎる人のための治療」を受けると?
こんにちは、オトナサローネ井一です。私は小学生の頃から就寝中にポリポリと大きな音の歯ぎしりをしており、20代ですでに犬歯(切歯)が摩耗して角が取れていました。30代以降「いつか奥歯を嚙み割るよ」と歯科医師に注意をいただき続けています。
でも、リスクはわかっていても、自分でできることがないんですよね、噛みしめって。マウスピースを入れて寝るべきなのだろうけれど、私は歯列矯正後なので夜はあと戻り防止用のマウスピースを利用せねばならないし、それですらめんどくさくて忘れがちです。
そんな中、前歯の黒ずみの「ウォーキング・ブリーチ」と「歯のホワイトニング」で(びっくりするお手頃プライスで!)お世話になったテクノポートデンタルクリニック・倉治(くらじ)ななえ先生からご指摘をいただきました。
「イノイチさん、歯を食いしばってますよね? あごの先のところに梅干しがありますが、これってオトガイ筋が緊張しすぎているせい。放置して何一ついいことはないのよ。私はこの治療も得意なの!」
(ホワイトニングをお探しなら!前回記事>>>歯列矯正終了後、ホワイトニングをしても「茶色い治療済歯」が目立って悲しい。「ウォーキング・ブリーチ」してみたら?)
どんな歯の状態の人に「どんなリスクがある」のか?
【こんなトラブルがありませんか?】
・エラが張っている。
・ふと気づくと歯を噛みしめている、奥歯に摩耗面がある。
・あごに梅干しがある、舌に圧痕(舌のわきに歯のあとがついている)がある。
・顎関節やあごの周辺が痛い、頭痛がある。
・しょっちゅう歯の詰め物が外れる、マウスピースが割れる。
・朝起きると肩や首、あごに痛みや疲労感がある。
「どれか1つでも当てはまるようなら、咬筋・側頭筋など噛む筋肉が過剰に働いている可能性があります。この状態を放置していると歯を噛み割ったり、エラが余計に張ったりと、いいことは一つもありませんよ!」
と倉治先生。私は「ふと気づくと歯を噛みしめている」「奥歯に摩耗面がある」「あごに梅干しがある」「舌に圧痕がある」「マウスピースが割れる」、なんと5つも当てはまってしまいました。
咬筋・側頭筋・オトガイ筋とは? なぜ「強すぎるとダメ」なの?
これら噛み合わせに関連する3つの筋肉について、簡単に説明を。
「咬筋」はあごから頬の位置に広がる強大な筋肉。文字通り咬むための筋肉で、テレビに出てくる「歯でトラックを引っ張る人」はこの咬筋がとても発達した人なのだそう。咬筋が強すぎる人は過剰に噛みしめているため、歯を噛み割るリスクが上がるほか、歯周病や顎関節症のリスクも上がります。
「側頭筋」は頭蓋骨と下顎をつなぐ扇形の筋肉で、こめかみ上の側頭部に分布します。下顎を閉じ顎関節の動きに関連し、側頭筋が持つ噛みしめ力が過剰な方では頭痛の原因となる場合があります。
もうひとつの「オトガイ筋」とは?
「唇を閉じる際、唇の周囲をドーナツ状にぐるりと囲む口輪筋だけを使っていれば、あご先はふわふわの、マシュマロのような柔らかさのままのはずです。ところが口を閉じるとき、あご先のオトガイ筋もいっしょに使ってしまう人がいるのです」
あご先に梅干しのある私は「使っている」ということですよね、使った覚えはないのですが。それはどんな筋肉なのでしょう……?
「オトガイ筋は唇を閉じて上前方に突き出すための筋肉で、試しに唇をチューっと突き出すとあご先が硬くなり、梅干しが現れるはずです。噛む力が過剰な方では、オトガイ筋の過緊張が同時に見られるケースが多いのです。これら3つの筋肉の働きが過剰に強いと前述のトラブルの原因になります。百害あって一利なしです」
3つの筋肉が作り出す過剰な噛みしめ力をゆるめるのが「咬筋ボツリヌス治療」。ボツリヌストキシンを有効成分とする薬を筋肉内に注射することで筋肉が過剰に緊張することを抑え結果、緊張をやわらげます。ボトックス注射※と呼ばれることも。
※ボトックスは、米国アラガン社が有する登録商標です。日本において歯科では使用出来ないため、歯科医院ではアラガン社以外の安全なボツリヌス製剤を使用します。
「私のクリニックでは注射さえ打てば解決というアメリカ型の治療ではなく、予防指導を中心としたセルフトレーニングを並行して行います。いちどボツリヌス製剤を打つと一生打ち続けることになるのではと感じるかもしれませんが、そうならないように自己努力もしていただくというのが私の提唱するいわゆる予防歯科のスタイルです」
自分で舌の力をコントロールする方法とは?
注射だのみではなく、予防指導もあるのですね。どのようなトレーニングをすれば過剰に噛みしめる力を軽減できるのでしょうか?
「今すぐ始めてもらいたいのが『べろ上げトレーニング』です。
①舌の先端を前歯の裏に当て、舌全体を上あごに吸い上げる。
②そのまま口を大きく開けていく。
③下の裏すじがピンと張るまで舌全体を上あごに吸い上げる
④上下の歯が当たらないようにして唇を閉じる。
この状態であご先を触ると、柔らかくなっているのがわかると思います。舌を上あごにくっつけている間は噛みしめられませんから、この正しい位置に舌を置くことが大切なのです」
やってみました。なるほど、普段の舌の位置とはずいぶん違います。たぶん普段はもっと前の下のほうにあるというか。この状態をキープするのですね。
「そのうえで就寝中は、歯ぎしりや噛みしめによる歯やあごへの負担を減らすマウスピースを装着、これらをを行っても改善できない場合にボツリヌス治療を行う、というのが私のスタンスです」
ボツリヌス治療は2つのアプローチに分かれます。1つは咬筋・オトガイ筋をゆるめるもの、もう1つは頭痛のある方ではさらに側頭筋をゆるめるもの。咬筋とオトガイ筋は独立して施術できますが、8割ほどの人は両方セットにする必要があるそうで、検査結果によって倉治先生から助言を受けて決定します。注射そのものは数分で完了、痛みもゼロではないものの、注射が嫌いな人でない限り心配する必要はないでしょう。
「咬筋へのボツリヌス注射は、美容整形外科ではエラボトックスと呼んで提供している場合もあります。ですが私は歯科医ですので、同じ注射でも顔をほっそりさせることは目的にせず、歯とあごを守るために行います。過剰に緊張していた咬筋がゆるみますので、結果的にはほっそりする方が多く、口と歯の機能のアンチエイジングと同時に外見のアンチエイジングもかないます」
ここまでの前編記事では治療法に関するお話を伺いました。この治療を受けてみた感想は後編記事に詳しく説明します。
次ページ>>>「あご先の赤いぼつぼつはニキビ跡かと思っていましたが、筋肉の緊張だったんですね」
お話/倉治(くらじ)ななえ先生
テクノポートデンタルクリニック
東京都大田区南蒲田 2-16-1 テクノポートカマタ センタービル別館2F
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