
「もう私今度こそは死んじゃうのかな」。放射線治療の「前代未聞のしんどさ」はなぜ語られていない?#2
こんにちは、「電撃10日婚」で世継アンナになりました、梅宮アンナです。
前記事『梅宮アンナが語る「電撃婚の直前」の「もうダメかもと思った」壮絶闘病。「私にとって、夫は副作用のない薬のようなもの」』の続きです。
副作用に苦しむ姿にも引かないで「同じだなって安心するんだ」と言ってくれる
実はこの取材の直前、歯医者さんに行っていました。放射線の頃から唾液が出にくくなり、歯に舌が強く当たって傷がついて地味に痛いんです。抗がん剤の最中にも口が乾いてしんどいことがありましたが、2週間ほど前からまた喉が渇いたり口がカラカラになったりして。卵巣機能抑制の影響もあるかもしれないのですが、体が元に戻るのを待つしかなく、かみ合わせのマッサージやガムをかむことなど対策を指導されたところです。
でも、こういうトラブルをよっちゃんに話すと、驚かれたり引かれたりするどころか、「アンナの体は心配だけど、でもどこか安心するんだよね」と言われます。「だって俺も右半身しびれてるじゃん、同じだなって安心するんだ。俺の周囲には同じような人はいなかったから」。
ね、深刻度の近い病気をしたもの同士、やっぱりラクなんですよ。だからご病気の方はご病気の方同士の合コンを開いたほうがきっと通じ合うと思います。
ひとつ満たされると他が何もいらなくなりますね。「よっちゃんがいればそれでいいよ、プレゼントみたいな派手なものはなにもいらない、それよりメールのやりとりや電話で交わす言葉に重みがあるんだよ」という気持ちも、大病をして命が永遠ではないことを実感したもの同士ならば素直に受け取ってもらえるのです。
最後のダークホース、放射線治療。なんでこんなに辛い治療のことが語られていないの?
放射線16回、今思えば毎日毎日具合が悪くなっていき、最後の2回なんてもう行きたくなくて、行きたくなくて、記憶にありません。
あれは、例えていうなら人間電子レンジ? 放射線に携わる医療者の方には申し訳ない言い方ですが、日焼けのひどい状態、やけどだなって感じました。体の中が日焼けするなんて誰も経験ないでしょ?
放射線治療そのものはほんの10分で出られるんです。両手を上げて1か所に20秒くらいの照射で、私の場合は体の裏と表4か所。すぐ終わります。私、激痛に耐えて手術後のリハビリをものすごく頑張ったのは、この放射線治療で両腕が上がるようにトレーニングしてくださいって言われたからです。その甲斐あって腕も完璧に上がっていたから、1回目2回目のころは楽勝って思っていました。
5回目が終わった時にうっすら皮膚が赤くなってきました。このまま赤くなっちゃうのかな、皮膚溶けちゃうのかななんて怖い感じがしていたら、6回目以降は坂を転がるように痛くしんどくなっていきました。
そもそも1回目から、見えない放射線を当てるということが不気味で恐怖でした。私だけかな、最初からガタガタ震えてたの。見えない何かで体の中を焼かれている感覚で、見えないからこその言い知れない恐怖感があります。照射室も地下2階なので、エレベーターが下がっていくにつれて気持ちも鬱々と下がるんです。インテリアにはとても気を使って明るい色、ピンクなんかが使われているのに、それでも気分が落ちるんだもの。
照射中に寝ちゃう、痛くないという人もいるそうです。放射線の先生も「全然大丈夫ですよ!」って、嘘偽りなく本当にそう思っている明るさで言ってくれていましたが、私はダメでした。混雑したお会計がストレスだからなと私は15時40分の最終枠を選んでいたのですが、最後にはもう院内ががらーんとしていることすらイヤになっちゃった。
あの辛くて仕方ない抗がん剤のほうがまだましだったかもしれない、そのくらい「無理」
ほうほうのていで16回回終わったあと、看護師さんに「ここから2週間がマックスきついですよ」って言われました。勘弁してよ、これ以上はないでしょうって思ったけれど、この言葉は本当でした。肺炎も手術も乗り越えた私ですが、もう今度こそは死んじゃうのかなと思ったくらい、本当にマックスきつかったのです。
だって、腕は上がらない、ひっぱられる、縮んでる。このためにアニメ『はたらく細胞』を見て勉強しましたが、人間は再生するんですね。そして放射線のあとは本当に再生を待つしかないんですね。
毎回17時ごろに帰宅するともう倒れ込む感じです。症状は日々どんどん強くなっていきます。痛みも、ひっぱられる痛さ、焦げる痛さ、得体の知れない未知の痛さなど、さまざまな痛みが折り重なっていて、下着なんて着けられない。皮膚はいまも黒くなっています。背中側からも照射するから裏も黒いの。毎日毎日娘の百々果にクリームを塗ってもらって保湿するのですが、皮膚はやけど状態だからそれもビリビリと痛い。寝返りをうちたいけれど痛いからできない、固まって寝ているから熟睡なんてできない。体の内側が熱を持っているんです。不気味としか言いようのない感覚。
傷ついている体が少しでも治るようにと、良質なたんぱく質、お肉をたくさん食べて、翌日の放射線のために少しでも体を休めて、そして毎朝ママが「アンナ、大丈夫……?」って心配そうに起こしにくるの。
私が照射を受けたのは「リニアック」という最新の高エネルギー放射線治療装置。「……おいくらくらいなんですか?」とつい聞いてしまいましたが、10億円くらいとのこと。隣には「サイバーナイフ」というこれも最新の定位放射線治療装置がありました。脳腫瘍などに使うそうで、これを使うと髪の毛は生えないとのこと。私たちの命を助けてくれるものすごい科学なんですが、でもつらいものはつらい。
「終了から2週間後が最悪につらい」のは本当にその通りだった。放射線は究極にしんどい
私、最初の抗がん剤、AC療法があまりにつらくて、その後の手術も術後が本当にしんどくて、だから2回目の抗がん剤はこれが最後のピークだろうと思って耐えました。放射線なんてもう全部終わったあとのオマケくらいの認識で、楽勝だと油断していたの。
そこに訪れた不意打ちだったせいもあるけれど、振り返るといちばんつらかったのが放射線でした。ここまでフルコース治療のすべてを乗り越えてきたけれど、放射線だけはもう1回やれと言われたら正直逃げるかもしれません。なのに放射線のことがほとんど語られていないのはいったいどういうことなのか、私はそれも不思議です。
2週間後のマックス時は、もうね、自分が人間じゃない感じがした。蝕まれてしまって、廃人かな?ってくらいでした。痛み、だるさ、むかむかもしていたし、手術でのむくみに加えて放射線でもむくみがひどくなる。むくみんだ痛み、だるさもある。1日にほんのわずか、お風呂に入っている時間だけは重力から解き放たれて痛みから少し逃げられるので、朝夜2階、日によっては3回お風呂に入っていました。12月に続いてまた水道代が恐ろしいことになっていると思います。
放射線の最中は、ママと娘の百々果、そしてママ友の夕美さんが送り迎えしてくれました。夕美さんは東横学園女子高校時代の先輩で、娘の幼稚園ではママ友でした。送迎だけでなく、帰宅するともう身動きもとれない私に代わってご飯を作ってくれました。こうしたみんなの助けがあってやっと乗り越えられたなと心から感謝しています。
ここまでの記事では放射線治療について語ってもらいました。続く記事では解き放たれて気づいた「足かせ」について実感を教えてもらいます。
つづき>>>梅宮アンナ、いざ病気になってみたら「支え合って通院しているご夫婦」を見かけるたびうらやましくてしかたなかったと独白
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