更年期世代、20時過ぎはメールに返事をしないこと!【100人の更年期#4】
一般に、閉経の前後5年を更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は50歳なので、45-55歳の世代は更年期に当たる人が多いもの。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。
初潮を迎えた人ならば必ず誰しも迎えるのが閉経、そして更年期。なのに、親しい友人と生理の話はできても、「更年期の具合はどう?」とはなかなか話せないものです。私は正常なの?みんなどんな経過なの?この状態、治るの?
主婦の友社オトナサローネ編集部は、ごく普通に日々を暮らす同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材していきます。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)
【100人100通りの更年期♯4 51歳・出版社勤務】
プロフィール
51歳、東京都在住。夫、10歳の犬と暮らす。 79歳の母は脊柱菅狭窄症を患い、先日手術を受けた。同じ暮らしをしてきて、体型が似ている親子ということで、 更年期症状はもちろん、病気なども母と同じようなところに不調が出ることを実感している。
35歳で始まったホットフラッシュのような発汗
大きな仕事を任されるようになった35歳ぐらいから、ホットフラッシュのようなものが出て、それ以降ずっと続いています。頻度は年々増えていますが、もう15年つきあっているから、実はこれが更年期症状かどうかわからないんです。
取材に遅れそうになって走っていって、着いてから5分10分すると急に滝のように汗が出る。大丈夫?あなたは更年期にしては早いんじゃない?と、タレントさんなどからも心配されました。私は老眼も早めで、38歳ごろに始まったから、何でも早いのかも。
もともと平熱が36.8くらいと高めで、汗かき。代謝がいいので手も常に暖かく、冷え知らずです。下痢や便秘になったこともなく、強靭な肉体と言われてました。
それもあって、全体的に私の更年期の症状は、それほどひどくないと思うのですが、汗は嫌ですね。
電車に乗ってるときとか、突然髪の毛から額にワーッと汗が流れてきて、ポトッポトッとメガネの下にたまって……。「この人すごく汗かいてるけど大丈夫……?」と知らない人も心配させるほどです。また、緊張すると手のひら、足裏、ワキなど全身に汗をかくのも困りものです、これは小さなころからですが。
ここしばらくは「めまい」でボワーっとしています
ここ1、2年くらい、朝、めまいで起きられないことがあります。起きあがると頭のまわりに、「かすみ」みたいなものがかかっていて、ボワーっとしていて。飲みすぎたときの二日酔いとはまた違う、なんとも言えないボワーっとさです。耳から上、頭の上半分が何かに包まれているようで、目の焦点が定まらず、起き上がれません。
婦人科の先生に話したら、まあ更年期だし、ホルモンバランスが崩れてるんじゃないの、そういうときは休んじゃえばいいんじゃない、と言われています。
投薬治療はしていません。職業柄、心配事があるとすぐ婦人科に行きますが、私のかかりつけの先生は「もっとつらくなったらおいで」と言ってくれるので逆に行かない(笑)。身近に気軽に行ける病院があると安心するので、すぐ投薬をとも思わないんですね。
50になったらナプキンは常備してくださいね!
生理は50歳過ぎて突然毎月ではなくなりました。それまで28日周期でとてもきっちりしていましたが、突然定期的にはこなくなったんです。忙しい時期だから、あまり気にしていなかったんですが、よく考えたら3カ月ぐらい生理がなかった。
母に話したら、「50過ぎたら、生理がこなくなったなと思っても、あるとき突然ドバっとくるから、いつでも必ずナプキンを持っておきなさい。心配だったらアテておきなさい」と言われました。
確かに、予想もつかない時期に突然くるんですよ。この1年は、あれ全然ないな、3か月たってあれまたきた?みたいなのが結構あります。本当に突然ドバっとなので、みなさん絶対毎日ナプキンを持ち歩いたほうがいいですよ。
そのころ、ちょうど職場が50才以上の女性だけだったことがありました。男性も若い子もいないから、とにかく話のほとんどが更年期で(笑)。「いまホットフラッシュきたかも!」「生理きちゃったかも!ナプキン持ってる?」とか。
それと、部屋の中はすごく涼しいのに、突然パタパタ顔をあおぎはじめた人がいると「もしかして、いま『ヤツ』がきたのでは…?」「そうかも~!! ごめん、ちょっと温度下げていい?」って言えたりしました。(注・ヤツとは、更年期症状のこと!)
男性がいるところで一人で大汗かいてると、気を使われるし、詳しく話せないしで、嫌じゃないですか。だから、更年期のときは特に、何でも話せる同い年の女性がそばにいると気がラクですね。
女性の更年期は「自分でも制御できない怒り」がつきまとう?
そんなover50の女だけの職場では、お昼、よく更年期話で盛り上がりました。でも、こんなに仲良しの職場でも、突然怒ってキレて帰っちゃう人がいたんです。
更年期の怒りって、いったんこぶしを振りかざしちゃうと、なんだか自分ではおさめられないじゃないですか。だから、その人が帰っちゃったあと、残ったみんなで「あんなに怒っちゃったのは、きっと更年期のせいだよね~。もう許してあげよう!」って話してました。
女の私たちがそんなこと言うのも何ですけど(笑)、同性の同世代だからこそ許せるんですよね。
理不尽なキレは、取材先の先生でもありました。夕方18時くらいに、書籍の帯の作りが気に入らないと言って「なんで私の言うことを聞いてくれないの!!」って、突然電話がかかってきて激怒されたあげく、ガシャン!と電話を切られてしまい……。
事前にしっかり説明もしていて、おわかりいただけてたはずなのに?なぜ?普段は優しくて、穏やかな先生なのに。
もう一度ご説明しようと、20時すぎにこちらから電話をかけたら、今度は「私のいないところで、みんなで決めて、私をないがしろにして……勝手にすればいいわよ……」って、しくしく泣いてるんです。
「先生、そんなことないですよ。もちろん先生のご意見が最優先です。ないがしろになんかするわけないじゃないですか!お電話じゃなく、直接伺ってお話ししたいので、明日朝お時間いただけないでしょうか」となだめて、電話を切りました。
すると、次の日の早朝、「あなたがおっしゃることはよくわかりました。もう大丈夫です。お越しいただくほどのことではありません、ごめんなさい」って、何事もなかったかのようなメールが入ってるんです。
電話しても、「もうごめーん。本当に」って別人のようにケロッとしてる……昨日のあの激昂はなんだったの・・・??と。先生の当時のご年齢は50才を少し過ぎたころ。今思うと、もしかして更年期症状だったのかな……。その後その先生とは、変わらず仲よくさせていただいています。
更年期世代は20時過ぎにメールを見ない、返事もしないこと
思い起こせば、かつて50を過ぎたくらいの会社の大先輩たちから20時過ぎに、恐ろしいメールがくることがよくありました。
みんな編集者だから文章が超上手。ナイフのようにとがった言葉をちりばめて、人をすぐに傷つけることができる長文が飛んでくるんです。本当におそろしい。普段はそんな人じゃないのに。メールがきたのを確認しただけで、心臓がドキドキしました。
私は、こうした更年期が引き起こすいろいろな症状のことを「ヤツ」と呼んでるんですが、あの恐ろしいメールは、きっと「ヤツ」のせいです。やさしい先輩がそんなこと書くわけがないと。それを反面教師にして、今私は20時以降のメールには返信しないか、そもそも見ないことにしています。
私の経験では、40代後半以降になると、女の人は20時を過ぎる頃、気分が鬱鬱としちゃうから、メールを見ちゃダメなんです。ささいなことが気になって気になって、すごく怒ったメールを返してしまうから。
だから、自分はできるだけそうならないようにと気を付けています。
私自身も20時過ぎるとなぜか鬱々と気分がふさぎます
私自身の更年期の問題も、ホットフラッシュよりこの「気分」の問題のほうが大きいです。
「私はないがしろにされてるんじゃないか」「なんで私だけこの件を知らなかったの?なんで私に言わないんだろう?」「なんでみんなで勝手に進めてるんだろう?」と、どんどん悪い方に考えて、深みにはまって、卑屈になっていくんです。
特に夜一人でいるときは、どんどん悪く悪く考えます。で、もう知らん、お酒飲んで寝ちゃおうってふて寝する。で、翌朝起きると、全然怒りの気持ちがない。あれ?私なんでそんなことで怒ってたんだろう?って不思議に思うんです。
よかったー、こわいメール送らなくて。
50歳より前にはこんなことはなかったので、先輩たちのおかげで、私はこの変化に気付くことができました。
人の性格は「変わる」のではなく「煮詰まって」いくもの
そもそも、更年期も男女も関係なく、人間は年をとるほどその性格が濃く煮詰まっていくんだと個人的には思っています。性格の特徴が凝縮されていくんです。だから、被害妄想が出る人は、もともとそういう要素を持っていたんですよね。怒りっぽい人はもともと怒る要素のある人。
でも、こういうのはPMSと同じで、「これは本来の自分ではなく、『ヤツ』のせいだ」と自分で気づけさえすれば、コントロールできるかなと思うんです。
あなたがいま怒っているその気持ちは、きっと「ヤツ」のせい。私は、洗面台のドアの内側とか、机の引き出しに「それはヤツのせいだよ」と書いて貼っておいて、怒っている自分にハッと気づきたい。
この「ヤツ」を抑えるための魔法の言葉2つは
こうした無限の自己否定ループにはまったら、とっておきの言葉があります。ある本で読んだ方法なのですが、仮にあなたの名前が田中恵子さんなら、
「田中恵子としたことが、どうした。そんなことで怒って」
と5回くらい心の中で自分に問いかけるんです。自分の名前をフルネームで言うことと、「としたことが」、この2つが私にはすごく効くんです。急に冷静になれる。どうした、そんなことでイライラしてと。そもそもがそんな怒る必要のあることじゃないので、イライラや鬱鬱に気付いたときもこれを言います。
もう一つ、とあるママタレントさんが教えてくれたのが、行き詰まったら「ま、いっか」と口に出して、考えるのをストップさせること。
敢えて口に出します。何度も何度も、気持ちが収まるまで続けて「まいっか、まいっか、まいっか」と口に出します。このリズム感がいいんです。
特に、家の中ではよく言ってます。大きい声でも言えるから、夜中に洗濯しながら、なんでこんな夜中に一人で干してるんだよ!「まいっか」。犬が夫の靴下を咥えてもってきてくれたけど、なんで靴下が落ちてるんだよ!「まいっか」。会社でも、何かイライラしちゃったらまず「まいっか」と唱えるようにしています。それでゲームオーバー。けっこう気分が切り替わって次にすすめますよ。
この先にこういうことが起きると若い人にこそ知ってほしい
私が若かったころ、その先の女性としての人生に、いろんなステージがくるっていうことは、誰も教えてくれなかったし、自分も先を知ろうとしなかった。結婚のこと、子どものこと(結局いませんが)、年を取ると体形や体重が変わること、そして更年期のこと。つねに走りながら学んでました。
あとから思えば、若いころにこうなると知っていれば、こっちのルートを選んだかもというようなことがあります。だから、最近は若手に、私の人生には何が起きてきたのかをできるかぎり話すようにしています。人生の先輩としての役割でもあるのかな、なんて。
女性の身体の変化も、気持ちの変化も、あっけらかんと話していける世の中になるといいなと思います。
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【100人の更年期】隔週日曜20時連載です。
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