46歳、子宮頸がん異形成で「睡眠と回復」の大切さに気づく【100人の更年期#7】
一般に、閉経の前後5年を更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は50歳なので、45-55歳の世代は更年期に当たる人が多いもの。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。
初潮を迎えた人ならば必ず誰しも迎えるのが閉経、そして更年期。なのに、親しい友人と生理の話はできても、「更年期の具合はどう?」とはなかなか話せないものです。私は正常なの?みんなどんな経過なの?この状態、治るの?
主婦の友社オトナサローネ編集部は、ごく普通に日々を暮らす同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材していきます。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)
【100人100通りの更年期♯7 46歳・フリー編集者】
プロフィール
46歳。夫、8歳の娘、4歳の息子と都内に暮らす。 会社員だった30代までは相当無理な働き方を重ねてきたが、 38歳で第一子を出産した直後から急激に身体に不調が出始め、 42歳で第二子を出産するとガタガタ状態に。その後フリーに転向し現在に至る。
なまじ体力があったおかげで、38歳から半端ない故障
小さいころから病気らしい病気もせず、健康そのもので暮らしてきましたが、35歳のころ、周囲に大病をした人が出て、それをきっかけに自分の人生を急激に考えるようになりました。婚活も始め、縁あって夫と出会って結婚し、38歳のとき第一子を出産しました。
初産はすでに高齢でリスク1と医師に言われましたが、経験のつもりで普通分娩を選び、1年後に育休復帰。ここからあとが大変でした。
保育園に通い始めた子どもが病気をもらいまくり、私も風邪を移され、仕事は猛烈に忙しい。寝る時間もなく、すべてのストレスが重なって副鼻腔炎をこじらせ、鼻から匂いがまったく嗅げない状態に陥りました。CTを撮ると顔面全部にびっしり膿が映る始末で、大学病院の専門外来に通い、1年間抗生物質を飲み続けました。
私は粘膜、そして子宮にトラブルが出るみたい。ちょうどそのころ、健康診断で子宮頸部異形成が見つかりました。39歳のときです。
異形成は子宮頸がんの前段階の状態とされます。私の場合はその中でも初期の軽度異形成だったのですが、そのまま消失する場合もある一方、がんになる可能性もあります。
この「自分の人生がここで終わるのかもしれない」というストレス、恐怖感を味わったことのある人は、人生に対する考え方が大きく変わるのではないかと思います。私の人生観もまた変わり、ワークライフバランスを引いた目線で見つめるようになりました。
これまでは生まれ持っての体力に助けられて、相当無理な働き方をしても大丈夫だった。むしろ、なまじ体力があったから無理をしてきてしまった。でも、この先はこうはいかない。
折しも、年齢的には2人目を産むならぎりぎりの時期。ですが、こんなストレスの強すぎる、忙しすぎる仕事と育児を同時にこなそうだなんて、体が休まらずどんどん免疫力が下がってしまう。
免疫力が下がると、すごろくのコマのように1つずつ悪いほうに進んでいってしまう。
悩んだ末、私は仕事をセーブするようになりました。
万全の準備で2人目出産、だが身体はさらにボロボロに
幸い、その後異形成は進行せず、経過を診てくれていた医師からも大丈夫と言われたので、41歳のとき2人目を妊娠。産休に入るタイミングで会社を退職し、42歳で出産しました。
1人目の経験から筋肉は大事と痛感し、2人目の妊娠中は6か月目からマタニティトレーニングに週1回通いました。大きなお腹でもスクワットを50回こなせるようになり、産前よりはるかに健康になってラクラク出産したのですが、しかし42歳での産後は、身体のトラブルがすごかった。
産後1か月くらいで急に痔になって激痛に苦しみ、軽めとはいえ子宮脱になり、1人目にはなかった産後の尿漏れも経験。産前の筋トレ貯金はまったくなくなっていました。
極めつけに、ちょっと顎をぶつけた程度のことで前歯が折れてしまいました。
知り合いの年上のライターさんからも「更年期に入るとホルモンの関係でカルシウムが減って歯ももろくなる、私は奥歯が割れた」と聞いていたので「これはさすがに出産だけではないな、更年期も原因だな」と感じ始めました。
40代ではじめて生理が「悪化」。そしてイライラの始まり
もう一つ、2人目出産後に生理がものすごく悪化しました。私は小5の初潮後すぐに28日周期で安定し、痛みもそれほどなく、ごく順調に生理と付き合ってきたのですが、急に常に夜用ウルトラを1時間おきに交換するようなひどい出血量になってしまったんです。排便痛も出て、ガスが腸に回ったときの激痛は一瞬気が遠くなるレベルです。筋腫も持っていたので、貧血症状も。
また、44歳くらいから、これも急に、どうしようもなく止まらないイライラが始まりました。
きたな。更年期。
原因の一つはストレスだと思います。会社は退職したものの仕事は続けていたので、仕事と子どもの世話のやりくりが想像以上に大変で。
仕事は子どもが家にいない間だけにして、子どもが家にいる間は子どもと向き合おうと区切りをつけていましたが、送迎の必要な私立幼小に進んだので、来る日も来る日も朝晩45分ずつ送迎。そのあとは習い事への送迎。
自分の時間を取られ続け、日々のルーチンを維持するのが精いっぱいのストレスは本当にすごい。フリーランスなのでスケジュールにも波があり、うまく時間のやりくりができるとも限りません。
子どもがかわいいこととはまた別に、子どもに「これはホルモンのせいだから!」と言いながら大声でイライラを隠さず出してしまうことが増えてきたんです。
過去経験したことのなかった「腰の異常」、ケア不足で焦る
46歳のある日、朝起きたら急に背中がばーんと痛くて起き上がれなくなり、生まれて始めて「腰痛」になりました。普通の人なら腰痛だねで済むかもしれませんが、これまで子宮系・粘膜系のトラブルに悩まされてきた私はどうしてもお腹の周囲の痛みに恐怖があります。
子どもにかまけて健康診断をサボっていたこともあり、大慌てで婦人科、泌尿器科と、可能性のある科に1つずつかかりました。微熱もあり、なにかしら炎症はあるようなのですが、子宮内膜症や卵巣の腫れも示唆されたものの、結局は否定されて「原因不明」に。
もしかして、今から10年たって振り返ると「あれも更年期症状だった」とわかるのかもしれませんが、現状の私はこの「原因不明」の恐怖とともに暮らしています。
いま、首や肩も痛いんですが、そういう痛みはなんとか治せるとわかっているから大丈夫です。でも、内臓は外から見えず、専門家と機械に頼らないと異常がわかりません。それが怖い。いや、むしろ開腹してみるまで異常がわからないくらいですよね。
痛みとか不調の原因がわかることってすごく重要で、どんな病気でも原因がわかれば前向きに対応できるんじゃないかと思うんです。もし、今の私の身体のだるさ、元気の出なさは自分の実力が足りないせいではなく、病気のせいなんだ、何かの数値が低いせいなんだとわかれば、安心できると思います。
なのですが、今回私はホルモン値を測定していません。矛盾しますよね、どうしてか?うーん。どちらにせよ更年期の時期には入っているから、どうであれ閉経まで向かい合っていくしかないよねと医師にも言われて、敢えて測ることもないなと思ったから。あと、私にとっては不定愁訴はやりすごせることだけど、子宮頸がんや内膜症は歴然とした命に関わる病気で、そちらに問題がないということが現実、その他はそれほど気にならないから。
栄養より何より「寝る」。更年期は「回復アイテム」が大量に必要
周囲の人たちを見ていても、あらゆる不調はまず不眠から始まると感じています。多忙での寝不足、心の不安定さからくる不眠。とにかく睡眠が足りず、免疫力や体力の回復ができなくなると、心身ともにおかしくなり始める。
特に粘膜なんて回復する余裕がなくなって血流が悪くなったらてきめんに悪くなりますから、まず寝ることが大事。最近はもう仕事が終わっていなくても、ごはんが食べれていなくても明日にしようと覚悟を決めて12時には寝ています。体調が悪ければ10時には寝る。
また、個人的にですが、執着が強いタイプは子宮に病気を作りがちだとも思います。他人を許せない、怒りを貯め込むタイプ。だから、なるべく達観できるよう、いろんなことを心にとどめすぎないよう、自分の心を整えています。
最近、ライターさんに「アミノ酸もいいわよ」とアドバイスされて、筋肉系に関心のある私はBCAAを飲み始めました。寝起きがよくなったような気がします。ドラッグストアで売っている食品メーカーのものです。
それと、私の母が昔からローヤルゼリーを飲んでいて、私はこのせいで病気知らずと豪語しているので、それもわけてもらっています。効果があったのかどうか、この冬は特に風邪をひきませんでした。
また、腰の痛みで婦人科にかかったときツムラの漢方の25番、桂枝茯苓丸を処方してもらいました。1カ月以上飲み続けてみた実感ですが、生理がちょっと楽になったようにも感じます。このほか、「命の母」はお守りとしてかなり前から飲んでいます。
こういう「回復系アイテム」をたくさん揃えるのって、更年期に必要なことだと思います。栄養をとって改善といっても限界があるから、まずは食べるより寝る。食べなくてもすぐには死なないけど寝ないと死ぬと思って(笑)。
これからはそれほど大きな山はもう訪れず、低山を縦走していくように更年期を迎えるのだと思いますが、それはそれで静かに向かい合っていこうと思っています。
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