突発性難聴かと思ったら「更年期」。漢方治療への長い道【100人の更年期♯6】

一般に、閉経の前後5年を更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は50歳なので、45-55歳の世代は更年期に当たる人が多いもの。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。

初潮を迎えた人ならば必ず誰しも迎えるのが閉経、そして更年期。なのに、「更年期の具合はどう?」とはなかなか話せないものです。私は正常なの?みんなどんな経過なの?この症状、治るの?

主婦の友社オトナサローネ編集部は、ごく普通に日々を暮らす同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材していきます。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)

 

 

【100人100通りの更年期♯6 47歳・メーカー事務職】

プロフィール
47歳。5歳の娘と夫とともに東京都に在住。大学卒業後、1度転職、以降現在の会社に勤務。
42歳で体外受精を経て娘を出産。
主訴・耳が聞こえない、めまい、耳の詰まり感、頭痛、だるさ

 

病院で「更年期」と片付けられてしまう

私は42歳で高齢出産し、育休を1年取得して復帰しました。47歳で、いま子どもが5歳です。

 

のっけから突然の告白ですが、私の夫は発達障害を持っています。診断上はグレーで、本人にも病識がないのですが、自閉傾向が強く意思の疎通がよくできません。ネットを見ていても発達障害の育児の話はたくさんありますが、妻がその後どうなったという話がほぼないのは「みんな耐えかねて離婚するから(=あなたも抱え込まず離婚していいのよ)」だと精神科の先生に言われました。私が置かれた苦境をいちばん理解してくれるのは、皮肉なことに夫の母親です。彼女も自分の夫に同じ目にあわされたから。

 

さて、私は32歳のころ、仕事のストレスで突発性難聴になったことがあります。そのときは本当に「1日でも早く病院に行って服薬しないとそのまま耳が聞こえなくなる」と周囲にものすごく脅され、震えあがって治療しました。

 

強いストレスがかかるとその人の「いちばん弱い部分」に不調が出ると聞きますが、私の場合はそれが聴覚なのでしょう。

 

ここでやっと更年期障害の話になるんですが、というわけで、育休明けに職場復帰した43歳の私は、ワンオペどころか人生そのものに孤立する羽目になり、あっという間に耳が聞こえなくなりました。

 

原因は明らかにストレス。物理的な忙しさ、体力の消耗、分担を要求しても逆ギレされ、つらさを分かち合う相手もおらず、誰かに相談しようにも「でも穏やかないいご主人でしょう?」「うちだって似たようなものよ」と門前払い、一人で抱え込むしかない……人間にとっていちばんつらいのは「理解してもらえない」ことなんですね。そして10年前のあの難聴の恐怖が甦ります。

 

ところが、慌てて耳鼻科に行ってみると、どうやら様子が違います。実は私の耳は機能上は「聞こえている」のだそう。炎症がないので投薬治療もできず、「じゃあどうすれば……?」と困惑する私に医師が言った言葉が

 

「……更年期障害ですね」

 

いやいやいや、待って待って、私いま現実に左の耳が聞こえてないから。そもそも、そんな症状は更年期にないでしょ? これステロイド飲まないと失聴するんじゃないの?

 

でもやっぱり、炎症はなく、だから医師も投薬できません。西洋医学ではこれ以上どうしようもなく、「とりあえず漢方を出しますね」とツムラの顆粒、24番の加味逍遙散を処方されました。

 

とりあえずかよ。

 

このときから私の「更年期と東洋医学への旅」が始まりました。

 

更年期は「絶対に終わる」。医療の助けも昔より増えた

たまたまその頃、更年期向けサプリメントメーカー主催の、更年期に関する医師の講演会に当選したので参加しました。

 

・更年期は誰もが必ず通る道。

・「月経異常」、ほてり・のぼせなどの「自律神経失調症状」、さらに私のような不眠・イライラ・物忘れの「精神神経症状」などが出る。

・「自律神経失調症状」は6割以上が経験して、2~5年間続くけれど、閉経5~10年で4割、10年以上たてば4%まで低下する。「この不快な状態がずっと続くわけではない」。

・昔よりはるかにホルモン補充療法の薬が増え、治療がしやすくなった。

・私のような「精神神経症状」には漢方が効く場合が多い。

 

いまノートを見返すと、こんなことを教わりました。この時点で「我慢しないで病院に行っていいんだ!」と心構えができた気がします。

 

さっそく、近所の漢方が得意な内科にかかりなおし、ここでツムラの顆粒67番、女神散に処方が変わりました。

 

この時点でまだ耳はストレスがかかると頭に血が上ったようになって聞こえなくなっていましたが、でも自分の中では「本当は聞こえてるんだけど聞きたくないから脳が情報を遮断してるんだな」ということも理解し始めました。

 

「ちょうどいい医師」に出会うには専門家を頼るべし

私はもともと妊娠中から便秘の薬を飲んでいました。便秘は漢方の得意分野の一つだそうで、67番を飲んでお通じがよくなったことで「何かが効いている」と実感できました。

 

が、肝心の耳の聞こえの部分は「よくわからない、効いているような、いないような」の状態でした。

 

67番を2か月ほど服用したある日、近所の調剤薬局の棚に漢方の生薬が並んでいることに気づきました。聞くと、保険内の漢方生薬の処方ができるとのこと。

 

この薬局に病院を教えてもらい、病院の受付によく相談して予約を取ってもらいました。この先生が私にとってとてもいい先生だったので、更年期に向き合う気持ちを削がれずに済んだなと思います。

 

漢方は「薄皮を1枚ずつはいでいくように効く」

 

もし自分で普通に同じ病院に予約を入れたら、漢方科や婦人科の先生を予約したと思うのですが、受付に「どなたでも、更年期の漢方がお得意な先生で」とお任せして選んでいただいた先生なので循環器内科でした。

 

漢方は全身の状態を診るので、西洋医学的な専門科はきっと皮膚科でも眼科でも何でもいいのだと思います。

 

現在、私は45日に1回ペースで診察を受けています。先生は西洋医学の薬は基本的に処方せず、聴診器ではなく舌と脈で診断します。最初の1回は30分以上かけて、これまでのこと、普段のことをじっくり聞かれましたが、それ以降は「調子はどう?」程度です。

 

かかり始めて半年は「調子はどう?」「……いや悪いです」だったのですが、生薬を飲み始めて半年くらいたったある日、

 

「……あれ、先生、そういえば今気づきましたが、耳の詰まり感が消えています」

 

「よかった。漢方は一枚一枚薄皮をはぐように効いていきます」

 

このころからぐっと「効いてる」感が強くなり、それまで失礼ながら「おまじないや気休めの類かな、それでもいいや」と思っていた生薬を「手ごたえのある、確かな治療法だ」と思うようになりました。

 

生薬か顆粒、ライススタイルで選べばいい

調剤薬局で生薬の「刻み」を担当してくれる薬剤師さんによれば、コーヒーで言えば顆粒はフリーズドライ、刻みは豆からのドリップで、どちらがあなたの生活に合っているかですとのこと。

 

ただ、生薬はとりわけ匙加減というものががあって、同じような処方に見えて先生ごとにちょっとずつ違い、不思議とこの匙加減が上手な先生がだんだんと病院の中でも上に上がり、やがて名医と呼ばれる先生になるのだそうです。

 

私の場合、刻みの生薬は1日分ずつがパックにされているので、それを鍋に入れて弱火で火にかけ、タイマーを40分にセットします。煮出し専用の電気ポットもありますが、火のかけっぱなしはそれほど気にしなくていいかも。それより、生薬は鍋にものすごく渋がつくので、1000円のホーロー鍋を買って使い捨てにしたほうがいいと思います。私の生薬鍋は3年ですでに3つ目です。

 

保険内なので、この生薬が45日分で私の場合でだいたい3500から4000円。プライスだけ言えば顆粒のほうがお手頃ですが、どちらにせよこれだけ手間をかけていただいて申し訳なくなるような手厚さです。

 

最近の悩みは片頭痛。でも、意外に漢方は効いた

47歳のこの春から夏にかけては片頭痛が強く出て、低気圧の通過といっしょに寝込むようになりました。母に聞くと「更年期症状はそれほど強くなかったが、とにかく頭が痛かった」とのことなので、いよいよ本命がきたなと思い、先生に相談してみました。

 

すると、「更年期症状の主症状に頭痛はない。脳に異常があるかもしれないので、切り分けのためにCTを」と言われました。

 

いちど同じ病院内の婦人科にかかりなおし、ホルモン値も見てもらいましたが、ホルモン補充療法の対象になる値ではあるものの、リスク見合いで現在はまだ勧めないとのこと。投与が5年以内なら乳がんリスクはないが、今始めると投与が5年以上になる可能性があるからだそうです。

 

「それより、ホルモン補充療法の対象と言われることでショックを受ける人が多いんだ。だから、僕はあんまり勧めない」と言われました。

 

いや、あんたすでに私に言ってるやん。

 

と真顔で思いましたが、元の先生に「という次第です」と伝えたところ、特にCTにも異常はないのでこのまま漢方で調整しましょうという話になりました。

 

その後、先生がまたなにか処方を調整したようで、3か月後にふと気づくとあれだけ寝込んでいた片頭痛がすっと消えていました。名医はすごいですね。何をどう調整したかわからないところもすごいです。

 

がんばりすぎず、適度にあきらめるように

効いているとはいえ、頭を動かすと遅れてぐらっとくるめまいや、いつでも頭に血が上ったような感覚、耳の詰まり感、目のまぶしさなどは取れませんし、いまこうしてお話していても遠くで火災警報がずっと鳴っているような軽い耳鳴りがあります。あれ、話していて気が付きましたけど、これ典型的な更年期症状ですね。

 

道を歩いても、いま携帯が鳴ってるかな?と勘違いする耳鳴りは取れませんが、

「めまいもするけど仕方ないな」

「耳もまあ、だいたいは聞こえてるしいいか」

「だるいなあ、仕方ないから今日は寝てよう」

「老眼が進んで目がよく見えないけど、そんなに見なくていいってことだよな」

といろいろなことをあきらめられるようになりました。

 

私はひとりだけ高齢出産のため、周囲のママ友はまだ30代後半。こういう不調の話をすると「……エエッ、もう更年期?」と引かれてしまうのですが、いっぽうで同世代の話を聞いていると特に男性が「命にかかわる疾患」で突然倒れていたり、高校や大学時代の友人が若年性認知症や脳血栓を発症していたりで、人生いつ何がどうなるかはわからないなと感じます。

 

そんなに頑張らなくても、いまから倒れるくらいに頑張ったところで人生が飛躍的に開けるということもたぶんないし、客観的にもしんどい時期なんだから、自分に激アマでもいいんじゃないかなと開き直れるようにもなりました。

 

平均的な閉経のくる3年後に向けて運動を始め、生活習慣を整え、しんどいながらもポジティブに備えていこうと思っています。

 

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【100人の更年期】隔週日曜20時連載です。

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