40代の恋愛「心地いい」距離のお手本は親…?病気にかかってはじめて気づいたこと

イトウウミ44歳。結婚予定の彼に逃げられたのは1年前の冬。婚活を再開するも苦戦、2度目の寒い冬を過ごしている。もっぱら膝の上にくる猫様たちが恋人だ。

これは、結婚目前でふりだしに戻った私が「どうして今婚活をしているのか」――振り返りながら書いている「セルフ自伝」です。

 

風邪をこじらせてしまった。まさか流行りのインフルにやられるとは…。出勤停止を命ぜられ、自宅療養すること1週間。「やったぁ、休みだ!」と喜ぶ元気なんぞなく、ひたすら死体のように眠っていた。

 

“恋人ナシ”の未婚単身者が病気になると悲惨だ。買い物や料理はもちろん、食器や顔洗うのさえ面倒に。家は散らかり放題、放送事故レベルの汚さに絶句してしまう。しんどさMAXでもやらないと…あぁ猫様の手も借りたい!

 

――“独居老人”になったら? 猫たちの世話は? 老後資金…認知症…介護…孤独死…遺言状…お墓……――

 

将来を案じたのは、熱にうかされたからだろうか。「おひとりさま」ならではの不安が過った。

 

「高熱・腹痛・寝たきり」三重苦の私に来た救いのメール

それは、20年来の友人S君(第6話参照)からだった。

 

「久しぶりに飲みに行かない?」

 

うれしい!…けど、なんというバッドタイミング。とことんついていない。

 

「ごめんなさい。ひどい風邪で…。あらためさせてください。S君も風邪に気をつけてね」

 

と返信したが、それっきり音沙汰ない。

 

えっ…!? 「お大事に」もナシ!? これで終わり!?

弱りきっていた私はショックでふて寝した。

 

「大丈夫?」「お大事に」――相手を心配し、思いやる言葉だ。一方で、男性は女性ほど頻繁に使わない気がする。特に、恋人や家族ではない男女間において。勘違いされやすい微妙な言葉だから、プライベートでは本当に大切な人にしか使わないのか。気のない相手には期待をさせないようスルーするのか?

 

携帯が鳴った。もしかして!? 期待していた彼からのメール?

ではなく、Kさんからだった。Kさんは3歳上の独身理系男子。聡明で優しい方だが、「理系男子あるある」の不器用さがゆえ、時々こじらせてしまう。そんな彼とは趣味のイベントで知り合った。そういや、イベントに行く約束をしていたっけ…。

 

「ごめんなさい。風邪なので、詳細はまた改めて連絡しますね」

 

「ええ…! 大丈夫ですか!? 」

「しっかり食べて治してくださいね」

「風邪には○○効くみたいですよ」

「あ、あと温かくしてください。水分補給も!」

 

と、メッセージ連投。

心配してもらえるのはうれしい。でも、イマイチ返信する気力が湧かない。それは熱のせい? いや…正直なところ寝かせてほしかったのだ。

 

そして迎えた当日。病み上がりの私は話すのが億劫だった。そのため、一足お先にイベントを失礼することに。

 

「送りますよ」とKさん。

「だ…だいじょうぶです」

「危ないので駅まで」

「あ…(本当は一人になりたい)」

 

結局Kさんの押しに負けた私。気を遣いすぎて疲れが倍増したのは言うまでもない。

 

お願い……わかって! 心地よい距離感は「これぐらい」

S君もKさんも決して悪い人ではない。二人とも一流企業勤務・高収入で学歴もあるエリート独身。性格も問題ない。むしろ、もったいないくらい条件の良い方々だ。

 

だが、結婚相手としては、残念ながら二人とも対象外。なぜなら、我慢をする場面が多そうだからだ。贅沢を言える立場じゃないのは重々承知。でも、体力的にも精神的にも弱っているときにこそ、ワガママだが人に優しくされたい。優しくされることで、自分のなかにある「不安」を減らしたいのだ。

 

「大丈夫?」「お大事にね」――その一言だけで「元気になろう」って思える。そんな強さを与えてくれるポジティブワードも思いやりの一つ。

一方的な優しさの押し売り――ではなくて、相手の気持ちを忖度して放っておくのも愛情の一つ。

 

優しさの「さじ加減」を見極めるのは難しい。お互いの価値観と環境の違いに因る部分があるからだろう。しかし、歳を重ねるにつれ、病気とのお付き合いが増えてしまうのは避けられない。ならば、弱っているときにこそ心地いい距離感を保てるお相手のほうが、ストレスも少ないのでは。結婚が遅い分、お互い長生きして少しでも長く結婚生活を楽しみたい、そう思ってしまう。

 

究極の優しさの形って、もしかしたら……

「ただいま」

 

めずらしくはやく帰ってきた?

あれっ…ももがたくさんのゼリー! おっきなプリンもある!

 

「冷蔵庫に入っているから」

「薬はちゃんと飲んでから寝なさいね」

 

“仲良い親子”とは決して言えなかった。でも、私が病気のときは必ず、お菓子をお土産に早く帰ってきた母親。べったりじゃないけれどもさりげない、母の気持ちがひしひし伝わってくる。それは、いつもより大きなサイズのお菓子にも表れていたと思う。

 

「たくさん食べれば、早く治るって」

 

そんな心地よさを求めているのかもしれない。

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