「全部、私が悪いのかも」と思い込まされていた。それでもやっぱり「自分は悪くない」と思えるまでの道のりは…

2026.08.01 LIFE

不機嫌と沈黙で相手を支配する夫

言い返せない状況を作ったあと、夫は黙って家を出て、連絡もせず、Aさんを何時間も不安なまま放置しました。怒りをぶつける代わりに、不機嫌や沈黙によって相手を不安にさせ、従わせようとするのです。さらに夫は、母親に自分を正当化し、Aさんを「育て方を否定した嫁」だと信じ込ませました。その結果、義母がAさんを責め、自分は直接文句を言わなくても、Aさんが苦しむ状況を作り出したのです。

 

「なぜAさんは、はっきり言い返さなかったのか」と疑問に思う方もいるかもしれません。

Aさんは、結婚してからずっと夫から「Aさんの受け取り方がおかしい」という形で否定され続けていました。夫は大声で怒鳴ることはありません。「言ったのに君が悪い」「君が母親の悪口を言った」と、あくまでも自分を被害者の立場に置き、もっともらしい言い方をするのです。そうしたやり取りを繰り返すうちに、Aさんは「自分が感じた違和感のほうが間違っているのではないか」と思い始めてしまったのです。

「聞こえなかった私が悪いのかもしれない」
「先回りできなかった私が至らないのかもしれない」

Aさんだけではありません。このように、同じ形で否定され続けると、人は自分の感覚よりも、相手の言葉を信じるようになっていきます。さらに、味方だと思っていた義母までもが責める側に回ったことで、Aさんは「もう誰にも分かってもらえない」という孤立感を深めていきました。

 

これは、Aさんの意志が弱いからではありません。長い時間をかけて「自分の感覚は信用できない」と思わされ続けた結果、何が正しいのか、自分では判断できなくなってしまうのです。さらに、このようなタイプの夫は、決して怒り続けるわけではありません。責めるだけ責めたあと、何事もなかったかのように話しかけてきたり、以前の優しかった頃を思わせる笑顔を見せたりすることもあります。そうした瞬間があるからこそ、Aさんの中には「今度こそ分かってくれるかもしれない」という期待が生まれます。そして、離れる決心をするよりも、「もう少し様子を見よう」という気持ちのほうが強くなってしまうのです。

 

自己否定から抜け出せたきっかけ 次ページ

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