「過不足」は「かぶそく」ではない!ありがちな濁点がらみの誤読5つ

新年号が「令和」に決まりましたね。清音か濁音かという間違いがない熟語で良かったです。「平成」に元号が変わった時は、「へいぜい」ではなく「へいせい」でいいの?のような話もありました。「平生(へいぜい)」という熟語もありますし、「平城(へいぜい)天皇」という平安初期の天皇もいらっしゃいましたので。

 

AI技術の進歩により、スマホやPCの文字入力では、多少打ち間違いがあっても「予測」して変換してくれるようになりました。読み間違えている言葉も、使用者が何度も間違えると、それを学習して勝手に変換してくれますし、クラウドで集められた情報を蓄積して候補を構成している場合は、間違える人が多いほど、その言葉への変換率が高くなります。なので、「ワープロで出てきたから」という理由では正しい読みかどうなのかは分からないのです。今日は清濁が要の誤読を6つ確認しましょう。

 

1・過不足

読み間違いの例

かぶそく

正しい読み

かふそく

意味

過ぎたことと足りないこと。多すぎることと足りないこと。過不及。

用例

過不足(かふそく)ない説明が求められる。

説明

小学校の漢字テストでよく出題されます。「過」は5年生で習う漢字で、私も作問しています(笑)。
○○不足という時は濁る時が多いですよね。「説明不足」「水不足」「食料不足」などです。この「○○不足」の場合は「○○が不足している」という意味です。このときは「ふそく」が濁って「ぶそく」となるようです。しかし「過不足」は「過」が「不足している」という意味ではなく、「過」+「不足」なのです。ですから、濁りません。

 

2・既存

読み間違いの例

きぞん

正しい読み

きそん

意味

すでに存在すること。

用例

既存(きそん)のルールを適用します。

説明

今では「きそん」「きぞん」両方を対等に扱うという意見が主流になってきました。両方で掲載している辞書もあります。間違った慣用読みが市民権を得た代表例ですね。でも元々は「きそん」だったということを覚えておきましょう。年配の方と話す時は「きそん」と読んだ方が印象が良いでしょう。
なお「依存」も同じで、本来は「いそん」です。「依存症」は「いそんしょう」が元々の正しい読みです。

 

3・年俸

読み間違いの例

ねんぼう

正しい読み

ねんぽう

意味

年ごとに定めた俸給(ほうきゅう)。一年分の俸給。

用例

年俸(ねんぽう)アップを要求した。

説明

これは、誤字も多い熟語。「年棒」と書いている人も多いのでは?「俸」は「きへん」ではなく「にんべん」です。おそらく「年俸」を「ねんぼう」と誤読してしまうことからの誤字だと推測されます。

 

4・舌鼓

読み間違いの例

したづつみ

正しい読み

したつづみ

意味

食物を賞美する時などに、下を鳴らすこと。

用例

あまりのおいしさに舌鼓(したつづみ)をうった。

説明

女性の表現ではあまり出てきませんが、上の用例「あまりのおいしさに舌鼓を打った」のように使います。もともと「つづみ」という和楽器があります。舌でつづみを打っているような様子を表しているので「したつづみ」となります。

 

5・茨城

読み間違いの例

いばらぎ

正しい読み

いばらき

意味

関東地方北東部の県。

用例

昨日、茨城(いばらき)に行きました。

説明

「茨城」を「いばらぎ」と読むと、茨城の人に十中八九叱られます。県名なので、ルールも何もありません。廃藩置県の時から「いばらき」です。

 

言葉は変化します。ただその時に、「いやいや、元々の意味が変わってしまうから」と流れをせき止める人は必要ですね。

 

参考文献

放送用語委員会(東京) ことばの読みについて(連濁の語を中心に) ~『NHK日本語発音アクセント辞典』改訂にあたって~
文中「意味」は「広辞苑第6版」に掲載されているものから現代に通じるものを選びました。

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