やっと別居したのに、夫の怒鳴り声が頭から消えない。妻を苦しめたモラハラの“後遺症”
やっと夫と離れられたのに、今も暴言がよみがえる
「夫と別居すれば、自由と希望が手に入ると思っていました。もう夫の支配下にいなくてもいい。自分がやりたいと思うことをやり、夫の顔色をうかがわずに、自分の好きなことができる。そう思って希望に満ちていたのですが、それは甘い考えでした。
私は夫から解放されたのではなく、夫の影にとらわれたままでした」
Sさんは夫との別居後も、夫の怒りに満ちた表情や怒鳴り声、暴言、そして自分をにらむ目つきが、頭の中でよみがえってくるといいます。
「夫から逃げたつもりでした。でも、夫は私の心の中に住み着いていました。
街中で大きな声を聞くと、心臓がぎゅっとして恐怖を感じます。夫と同じ車や、同じ色のスーツを見ると、動悸が激しくなります。
ドラマの中で『これもできないの?』という言葉を聞くだけで、怒りに満ちた夫の顔が浮かび上がり、恐怖でいっぱいになってしまうのです」
夫と離れたあとも、過去に浴びせられた罵声や暴言がよみがえり、苦しさが続くことがあります。こうした反応は、強い恐怖やつらい体験によって心に深い傷が残っているために起こる場合があります。
PTSD、心的外傷後ストレス障害とは、命の危険を感じたり、自分ではどうすることもできない圧倒的な力に直面したりするような、強い恐怖を伴う体験をしたあとに起こることがある症状です。
ふとしたきっかけで、そのときの記憶が突然よみがえったり、フラッシュバックや悪夢が起きたりすることがあります。つらい体験の記憶は断片的に残ることもあり、一部を思い出しただけで、関連する場面や感情が次々によみがえってしまうこともあります。
そのため、実際にはもうその場を離れていても、まるで今も被害が続いているかのように感じ、不安や緊張が消えないことがあります。ときには、つらさから心を守るために、現実感が薄れたり、ぼんやりしたり、記憶の一部が抜け落ちたりすることもあります。
心に残った大きな傷を無視しないで 次ページ
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