6割超の女性が「熟睡できない」と回答!更年期の「不眠」の原因と、放置すると危険な理由とは【専門医が解説】
「夜中に何度も目が覚める」「十分寝たはずなのに疲れが残る」──そんな睡眠の悩みを抱えていませんか? 実は、更年期には眠りの質が変化し、不眠に悩む女性が少なくありません。
なぜ更年期になると眠れなくなるのでしょうか。また、その背景にはどのような原因があるのでしょうか。本記事では、更年期医療のスペシャリスト・寺内公一氏の著書から、更年期の不眠の特徴や原因について紹介します。
※本記事は書籍『「更年期かな?」と思ったら最初に読む本』(寺内公一:著、たかはしみき:マンガ/主婦と生活社)から一部抜粋・編集したものです
※イラスト/岡本典子
眠れない人はどれくらいいる?
更年期に不眠を訴える人は多くいます
よく眠れないという悩みは、QOL(生活の質)や日中のパフォーマンスにも大きく影響するので、気になる人は多いのではないでしょうか。
私たちが診療している更年期外来でも、「途中で目が覚める」「睡眠の質が落ちた」という悩みをよく聴きます。
更年期外来の患者さんを対象に不眠について調べたところ、週1回以上「寝つけないで困る」と訴えた人は5割を超え、「熟睡感がなくて困る」人は6割を超えました(※1)。
私たちの別の調査で不眠の程度について分析したところ、中等度以上の不眠があり日常生活に支障が出ている人は5割を超え、そのうちの4割近くに重度のうつが見られました(下図参照)(※2)。
日本でも欧米でも、一般の人を対象にした調査では、不眠がある人は1〜3割程度です。そのことを考えると、更年期に不眠でつらい思いをしている人の割合は、かなり高いといえます。
更年期外来を受診した人の不眠の程度
※1 Terauchi, et al. Evid Based ComplementAlternat Med. 2014:2014:593560.
※2 Terauchi, et al. Climacteric. 2010Oct;13(5):479-86.
更年期特有の眠れない理由
不眠症は睡眠障害の一つで、「入眠障害(なかなか眠れない)」「中途覚醒(途中で目が覚める)」「早朝覚醒(予定より相当早く目が覚める)」といった睡眠の問題が1か月以上続き、日中に眠気などの不調が現れる病気です。
「入眠障害」「中途覚醒」「早朝覚醒」の中で、更年期と特に関連すると考えられているのは「中途覚醒」です。
アメリカの研究によると、「更年期にエストロゲンが急激に減少し、ホットフラッシュ(ほてり・のぼせに発汗をともなう「血管運動神経症状」)の症状が強く現れると、夜中でも大量の汗をかいて起きることが増えて不眠症状が重症化する」ことが報告されています(※1)。
診療の場でも、「夜中に大量の汗をかくので、服を着替えなければならない」「一度目が覚めると再びスムーズに眠れない」といった話はよく聴きます。
しかし意外なことに、本人はホットフラッシュのために「ぐっすり眠った気がしない」と感じていても、睡眠ポリグラフ検査(睡眠中の脳波や呼吸、心拍数などを測定する検査)では「眠れている」という結果になる報告もあります(※2)。
なぜ患者さんの実感と検査結果の間にズレが生じるのか、詳しいメカニズムはわかっていません。
ただ、たとえ検査上はよく眠れていても、本人が眠れていないと感じているのですから、つらい状況にあることに変わりありません。
私たちの研究においても、不眠を訴える更年期女性を対象に、リストバンド型生活モニタ(※3)を用いて睡眠時間のデータを取ると、睡眠効率(布団にいた時間に対して実際に眠った時間の割合)が低下し、疲労感が増加することがわかっています(※4)。
ですから、ホットフラッシュ以外に何が不眠を引き起こしているのか、患者さんのお話をよく聴いて探ることが大事だと考えています。
それで要因がわかることもありますが、仮にわからなくても、誰かに悩みを打ち明けること自体に心理的負担を減らす効果があります。その意味でも、診療の場での対話が不眠症状の軽減につながると考えています。
※1 Ohayon Arch Intern Med. 2006 Jun 26;166(12):1262-8.
※2 Polo-Kantola, et al. Obstet Gynecol. 1999 Aug;94(2):219-24.
※3 運動量や睡眠時間、歩行数などの行動状況や生活リズムをグラフ化及び可視化できる装置
※4 Hirose, Terauchi, et al. Climacteric. 2016 Aug;19(4):369-74.
ここまでの記事では、更年期の不眠の特徴や原因について紹介しました。つづく関連記事では、更年期と白髪・薄毛の関係をお届けします。
つづき>>閉経後は「頭の中央の分け目」から薄毛が始まる⁉ 更年期の髪の悩み、原因を専門医が解説
◆関連記事◆
■【更年期と自律神経】イライラ・多汗・不眠…更年期の不調は我慢不要!自分に合う「セルフケア」の取り入れ方
■貧血、めまい、不眠…「カラダの血液が足りてない」人に飲んでほしい、体を整える「薬膳おみそ汁」。漢方と味噌のエキスパートが贈る、身近なのに意外な食材でつくるレシピ3選
■著者:寺内公一(てらうち・まさかず)
東京科学大学(旧東京医科歯科大学) 教授。医学博士。産婦人科医。長年にわたり更年期障害や骨粗鬆症など「ゆらぎ世代」の女性の診療に従事。日本に数少ない更年期医療のスペシャリスト。中高年女性特有の「うつ・不安・不眠」といった心の不調から、加齢に伴う体の変化、さらに食事やサプリメントが女性の体に与える影響まで、心と体の両面から多角的な研究・診療を行っている。最新の科学的エビデンスに基づきながらも、一人ひとりの悩みに優しく寄り添うわかりやすい解説に定評がある。
続きを読む
スポンサーリンク
スポンサーリンク


















