
もうマイノリティじゃない!近未来には“おこなしさま”が4割!? 【おこなしさまという生き方Vol.3】
「いい年をして結婚しないなんて、何か欠点があるのよ」
「結婚したのに子どもを欲しがらないなんて、変じゃない?」
マイノリティは、世間から「素晴らしい人たち」という風には、なかなか見てもらえません。何事も少数派は立場が弱く、意見を主張しづらい。なにより大多数と同じでないと、周りからは変わった人物と思われがちです。
やっぱり女の脇道ですか?
皆結婚時代では「結婚できないのは性格が悪いか、よっぽどの変わり者」だと、偏見の眼差しで見られてきました。「結婚できないんじゃなくて、しないんです!」と意志表示をする人たちが増え、統計上の生涯未婚率が上がっていくと、「そういう生き方もありだよね」と認める風潮に変わってきました。
とはいえ、「結婚したくないんじゃなくて、できないんです」や、「子どもをいらないんじゃなくて、産めなかったんです」という方もいらっしゃると思います。そういう方は、少数派チームに入ることに抵抗があったかもしれません。マジョリティは大手を振りながら大通りの真ん中を歩けるけど、マイノリティは脇道を静々と通ることになるからです。
かつて日本では「嫁して三年子なきは去れ」や、子どもを産めない女性のことを「石女(うまずめ)」と呼ぶなど、女性の価値は子どもを産むことにあるとされてきました。現代では、子どもをもたない生き方は稀有ではなくなったものの、まだ堂々とメインストリートを歩けるまでには至っていません。
自虐的発言はプレッシャーの裏返し
不妊治療を特集したNHKの番組「週刊ニュース深読み」(2016年2月13日放送)のなかで、小野文惠アナウンサー(47)が出産経験のない自分たちのことを「子どもを産めなかった我々は社会の捨て石」といった発言が取り上げられ、波紋を呼びました。自虐的な表現で使ったとしても、「捨て石」とまで言わなくても……。時代は変わったのだから、「石」からは脱却させてほしいと思ってしまいました。
こんな発言が出てくるのも、産まないことに対するプレッシャーが以前より強くなってきたことも背景にあるような気がしてなりません。それによって女性自身が欠損感を抱え、せめて「良い捨て石になろう」と自ら言っているように感じるのです。
40代での出産も増えているけれど
厚生労働省が公表した「出生に関する統計」(平成22年度)の「40歳において子を生んでいない割合」は、昭和28年生まれでは10.2%だったが、40年生まれで24.2%、44年生まれで27.0%と世代を追うごとに増加傾向にあります。28年生まれと44年生まれを比較すると約2.6倍増と、一世代前に比べると少数派ではなくなっています。
ただこのデータは、年齢別による「40歳で子どもを産んでいない割合」であり、その時点では産んでいなくても、後に出産される方はおられます。晩婚化の影響で初産年齢が上昇していることと、進化した高度生殖医療によって40代でも妊娠・出産できる可能性が高まり、近年の日本では晩産化が加速している状況です。
女性誌などでも盛んに「40代でも産める」「40代からの妊活」と活字が躍り、自分の周りに40代で出産する女性が現れると、産んでいない“おこなしさま”は気持ちがざわつくこともあります。年齢で諦めるな!と背中をバシバシ叩かれて、高齢で出産した女性に煌びやかなスポットがあたると、思わず「産まなくて、すみません」と視線が下向きになってしまいます。
出産の有無に関するデータは、「出生」からの観点で統計しているものばかりで、「未産で子どもがいない女性」に関するデータは極めて少ないのが実情です。
推測ではママ:おこなしさま=6:4になる?
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」(平成24年推計・中位仮定値)によると、「子どもがいない無子割合」は、1950年生まれで10.6%、1970年生まれで 28.4%、1975年生まれは30.3%、1995年以降生まれだと35.6%と、年代とともに割合は増加。低位仮定値でみると、1995年以降生まれでは 41.2%と推計されています。
他に有識者による見解、各研究機関などが推計するデータを参照してみても、おおむね「生涯無子の割合」は、団塊ジュニア世代が約3割、それ以降の世代は3.5~4割と推測されています。
長らく少数派に属していた“おこなしさま”の割合は徐々に広がり、マイノリティから静かな多数派を意味する「サイレント・マジョリティ」になりつつあります。将来的にも「生涯無子率」が高くなることは明らかですので、もっと社会に対して声を発してもよい立場ともいえるのです。
そろそろ必要かも? 子ども無し支援
それでも「子どもがいる人ばかり優遇されて、ズルい」などと言おうものなら、時速100キロの石が各方面から飛んできそうで、とても口に出来ない。まさに物言わぬサイレント状態で、黙々と仕事をこなす日々。逆に子育て中の女性側からすると、“おこなしさま”が発するチクチクした空気を感じ、いたたまれない思いを味わっているかもしれません。
少子化対策や子育て支援に社会全体が目を向けていますが、その後ろには生涯子どもがいない層が決して低くない割合でいることに気がついてほしい。社会や地域で子育てを支えていくことは重要なことですが、未婚・既婚を問わず「生涯子どもがいない大人」が過去にこれだけ多く存在した例はないでしょう。
子どもがいない人のことまで手が回らないとの見解もありますが、未来に何が必要になるのかを考えていかないと、これから想定外のことが起こり得るかもしれません。何故なら“おこなしさま”は、もうマイノリティではないのですから!
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