いまこの症状が出たら「風邪」より「コロナ」を疑ってほしい理由
こんにちは。「予防医療」のスペシャリストで、医師の桐村里紗です。
新型コロナウイルスの流行が続いていますが、意識の持ち方は人によって大きく乖離しています。
風邪と区別のつきにくい新型コロナウイルス感染症ですが、どのように考えて、対処すれば良いのでしょう。
現状、風邪症状が出たら「新型コロナ」を疑ってほしい
最近ちょっと聞きずてならないな、と感じているのが、鼻水や咽頭痛、咳などの症状がある際の、「風邪をひいた」という何気ないセリフです。
新型コロナウイルスが原因なのか、はたまた、従来型のコロナウイルスなどの一般的な風邪を引き起こすウイルスが原因なのか。これは、症状だけでは全く分からないのです。
厚労省も「風邪の一種」と表現しているが
実は、厚生労働省が一般向けに発表した「新型コロナウイルスを防ぐには」という文書にも、「新型コロナウイルスは、ウイルス性の風邪の一種です」と書かれています。
新型コロナウイルスの場合は、感染した人次第で症状が変わります。
8~9割の人たちにとっては、一般的な風邪症状が起こる程度です。が、残り1~2割の人たち、特に基礎疾患がある人達を中心に重症化して肺炎などを引き起こし、致命的になる場合があります。
多くの一般人にとっては、いわゆる「風邪」と症状だけで区別をすることはできません。検査をして、確定診断を受けない限りは、全く区別がつかないのです。
改めて知りたい「入院するか、自主隔離か」のボーダー
でも、風邪程度の症状しか起こさないケースで、専門病院を受診していては病院がパンクしかねません。
病院は、重症者のためにベッドを開けておく必要があります。
軽症者は、拡大させないように自主隔離しながら、自宅で静養することです。重症化の兆しがない限り、「新型コロナかも知れない!大変だ!」とパニックになる必要もありません。
風邪症状が出たら、慌てずに、まずは、ガイドラインを確認しましょう。
【受診すべき状態】
- 37.5度以上の熱が4日間(基礎疾患ありや高齢者の場合2日間)がある場合
- 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合
この段階になれば、専門病院での検査や治療が必要になる為、各都道府県に設置されている「帰国者・接触者センター」に相談して、受診先を紹介してもらってください。
【自主隔離の状態】
上記を満たさない場合は、まず、やるべきは、自主隔離と自宅安静です。
- 出社など人との接触をまず控える
- 外出を控える
- 自宅内での感染防止対策をする
家族とも食事を共にせず寝室を分け、症状がある側は必ずマスクを着用し、触った部分を消毒する
「自宅安静って何をすればいい?」実は風邪対策と同じ
自宅安静は、風邪の際の対策と同じです。現状、新型コロナウイルスについては、インフルエンザのように一般の病院で気軽に診断を受けて特効薬が処方できる段階ではありません。
一般的な風邪においても、自然な経過で自分の免疫がウイルスに打ち勝つのを待つことしかありませんが、軽症の新型コロナウイルス感染症についても同様です。
- 消化に負担をかける食べ物を控え、消化に良い温かいものを中心に食べる
- 体が冷えないよう温かく保つ
- 労働や運動は控えて、安静に省エネで過ごす
免疫力を維持するためには、ビタミンCやビタミンD、またミネラル類、アミノ酸(タンパク質)などを不足させないことも大切です。
これらは、免疫細胞がウイルスに感染した細胞を攻撃する働きなどに不可欠な栄養素です。
普段、食事のバランスが悪い人は、サプリメントやプロテインなどで補うことも一つの手かと思います。
新型コロナと風邪の「症状」の区別
区別はつきにくいとは言え、一般的な風邪よりも新型コロナウイルス感染症を疑うのは、以下のような症状です。
- 高熱(38度以上)の持続
風邪の場合は、高熱よりも微熱程度です。インフルエンザは区別がつきません。 - 咳の持続
風邪の経過では鼻や喉の症状から始まり、最終的に咳となって終わることが多いですが、
新型コロナウイルスの場合は、鼻や喉の症状を経ずにいきなり気管支に炎症を起こして咳が続く傾向があります。 - 味覚や嗅覚の異常
風邪でもこれらの異常が出ることがありますが、特に新型コロナウイルスで多く報告されています。 - 呼吸困難
肺炎を疑う症状ですので、この場合は直ちに受診の相談を。
これらの症状があり、条件を満たすのであれば、各都道府県に設置されている「帰国者・接触者センター」に連絡をして、受診の相談をしてください。
油断せず恐れすぎず
新型コロナウイルスについては、風邪と区別がつきにくいことがほとんどです。
免疫の弱い方や高齢者にうつして重症化させないために、「疑わしきは罰せよ」の心持ちでいながらも、怖がりすぎずに風邪と同じように自己管理することで、概ねの人は乗り切ることができます。
油断せず、かつ、恐れすぎずに、やるべきことをやりましょう。
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