
更年期に「変えたらよかった」超意外なものって?オカルトと言うなかれ
閉経の前後5年を一般に、更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は50歳なので、45~55歳の世代は更年期に当たる人が多いもの。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。
私ってもう更年期なの? みんなはどうなの?
オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)
【100人の更年期#52】
プロフィール
Sさん 61歳、独身。東京都在住。40歳から実業の世界に転身。レストラン2店鋪、美容サロン、法律事務所など多角的に経営する企業オーナー。
「男じゃない」と私を否定する父。私は生まれると同時に捨てられた
小さい頃から父親との間に溝を感じていたというSさん。
「父は私のことを実は嫌っていたんだと思います。
理由は男の子じゃなかったから。
後から母に聞いた話ですが、生まれた時に、なんだ女かと言われたそうです」
厳格すぎて近寄りがたい雰囲気の父親に、
優しく接してもらった記憶はありませんでした。
40歳、父をついで経営の道に。プレッシャーで生理が止まりました
大学卒業後、就職するタイミングで実家を出て会社勤務を続けていたSさん。ちょうど40歳になった時に、父親が経営していた法律事務所を引き継ぐことになりました。
「父が病気になり、長女の私が相続することになったんです。
覚悟はありましたが、改めて何十年も勤めてくれている従業員や、法律家の先生をまとめていくのは本当に大変でした」
それまでの平穏なサラリーマン生活から一転、
突如として誰も自分の言うことを聞いてくれない日々が始まりました。
情けないのを通り越して、滑稽にすら思えたと振り返ります。
重たいストレスを抱えて仕事をしていた数ヶ月後、生理が来ていないことに気がつきました。
「慌てて婦人科に行き、調べると閉経していると言われて。
うそでしょ、私また40歳なのに?って愕然としました。
でも、今から20年前の当時は、レディースクリニックなんてまだあまり見かけなくて。
近所の産婦人科に行ったので妊娠以外の身体の不調をあまり調べてもらえませんでした。
自分でも早すぎると思ったのですが、仕事が忙しくてそれどころではなく、結局閉経を受け入れたんです」
尿もれ、抜け毛…「やっぱり私は更年期なんだな」と向き合わされる
反発心もあり、独立してからはほとんど父親と交流していなかったSさん。
「そんな父でも、事務所を継いで欲しいと話してくれた時には嬉しかった。認められたようで。
だから、なんとしてでも事務所を続け、さらに拡大すると心に決めたんです」
ですが、やはり更年期だなと思うことが増えていきます。
例えば抜け毛。
「朝起きると枕にごっそりと髪の毛が付いていてびっくりしました。
そして一番悩まされたのは尿もれです。
出産経験もないし、なぜ?と思いました。
長引く会議などで同じ姿勢を取っていると、次に動いた時に、あっ!ということが増えていって」
まだ尿パッドも手に入りにくい時代。生理用のナプキンを敷いて凌ぐ毎日でした。
家でトイレに間に合わずにそのままじわじわともらしてしまったこともあります。
「あとになれば、尿もれは実はありふれたことなんだよ、仕方ないよと言ってあげられるけど、
当時はそういう情報も少なくて。失禁って尊厳に関わるんですね、本当に情けない気分でした」
身体のこわばりもだんだん感じるようになりました。
足先や指先がガチガチに固まって、書類にサインをするのも大変なほど。
でも、20年前はまだ冗談でも更年期でと自分から言い出すのはタブーな時代でした。
「更年期って、イライラしている女性を陰で揶揄する言葉でした。あの人更年期だからねと。
ましてや私は法律家や大企業など保守的なお客さんを相手にしています。
とにかく舐められないようにと根性だけで乗り切りました」
50年に渡る父の呪縛。「逃れる」ために変えた意外なものとは
法律事務所を継いで10年、必死に毎日を生きてきたSさんは50歳を迎えます。
「何とかひとりで事務所を回せるようになってきた……そんな時に父が急逝しました。
やっとまとまりかけていた事務所ですが、父という求心力を失ったことでまた和が乱れてしまったんです」
長く勤めてくれていた事務のメンバーが辞めてしまい、法律家も代替わりすることに。
「私だってこんなに頑張ってきたのに、なんでこうなっちゃうんだろう……。
そんな時に、女性経営者の会の友人から著名な占い師を紹介してもらったんです。
経営に占いなんてと思うかもしれませんが、結構多いんですよ、八卦や占星術、四柱推命、算命学に頼る経営者って」
その占いの先生曰く、Sさんの名前はとにかく経営に向いていないとのこと。
「あなたのお父様は男の子が欲しかったのね、でもあなたが女の子だったからがっかりして、適当に名前をつけてしまったのねと言われて。見抜かれた!と思いました」
同時に、そうだったのかと、自分の長年の思いに説明をつけてもらえて、ストンと腑に落ちたと言います。
「占いの結果とは関係なく、そもそも私が空回りしちゃうのは父の呪縛だなと気づけました。
私は私らしく淡々と仕事をすればいいのに、私を否定した父になんとか自分を認めさせようとして、
ありもしない目線を意識して頑張ってしまう。
そんな父の呪縛から逃れるにはどうすればいいですか?と先生に聞いたら、
新しい名前をつけて自分を生まれ変わらせたらどう?って。
意外な提案でしたが、私はスッと受け入れられた。
そういうタイミングだったんでしょうね。
なので先生に名前をいただいて、対外的にはその名前を使うことにしたんです」
気持ちを切り替え、フィールドを変えることで乗り切れることもある
「更年期の話なのに、なんだかスピリチュアルな話になっちゃってごめんなさいね。
でも、私はこれをきっかけに改めて自分の人生について考えるようになったんです。
自分でできること、自分がやりたいことって何だろうと」
考え抜いた末、苦手な法律事務所は父親の右腕だった人に任せることにしました。
そして、継承した事業の中でやりがいを見いだせたレストラン経営と美容サロン、結婚相談所に集中することに決めます。
「また目が回るほど忙しくなりましたが、不思議なことに、その頃には更年期にある症状はピタリと収まっていました。
あれ?そういえば疲れているのに身体は楽だな、と実感する日が増えてきたんです」
人よりも早く閉経したので、その分更年期も早く卒業できたのかもしれません。
自分にとっての更年期が終わった50歳より後の人生は、40代より快調だったとSさんは振り返ります。
更年期は身体も心もクタクタになる時期。他人の助けをアテにして
ただ、メンタルは快調ないっぽう、更年期が終わったら免疫力の低下を実感したそうです。
「それまで風邪をひかないのが自慢だったのに、
毎年インフルエンザにかかったり、マイコプラズマ肺炎になったり……
50代に入ってからは急に何かしら、免疫力低下と関連する病気にかかるようになりました」
更年期が終わっても油断せず、免疫力は上げておいたほうがいいとSさん。
今はコロナもあるのでとにかく家から出ないように、なるべくリモートで仕事をしています。
「更年期を卒業した私から言えることは、更年期真っ只中の女性って弱音を吐かないんです。
これは私にも当てはまります。
でも、男性以上に結果を出さなければ認めてもらえなかった20年前とはもう違います。
いまはもっと、気軽に他人に甘えていいと思います」
今まで仕事も、家族のことも1人で頑張りすぎたなと振り返るSさん。
これから自宅で母親の介護が始まるそうです。
ヘルパーさんやケアマネージャーの助けを借りて、今度はゆったりと過ごしていきたいと語りました。
【編集部より】あなたの更年期はどうですか?悩み、困りごとや、行っている対策を教えてください。回答はこちらから
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