年収400万なら年間58万円払ってる!? 話題の「FIRE」よりオトクな仮面のススメ

会社に依存せず、達観できる!

仮面FIREについて、私の実体験をもとにメリットについて考えてみましょう。この本を執筆している時点は、2020年末、
「コロナ不況」の真っただ中です。12月といえば多くの会社員が楽しみにしているボーナス期ですが、私が在籍する会社もコロナ不況のあおりを受け、当初予定されていた「月給2.4か月分のボーナス」は支払われず、実際に振り込まれたボーナスは「月給1か月分」でした。

同僚たちからは「やってられない」「ふざけるな!」という声が聞こえました。しかし仮面FIREをしている私は、そもそも収入を会社に依存していません。確かにボーナス減少は悲しくはありますが、「まぁコロナだし仕方ないよな」と達観することができました。

 

人間関係のストレスが減る!

仮面FIREのもうひとつの魅力は、職場のストレスがどんどん減っていくことです。会社員が職場の人間関係に悩まされる大きな要因は、「ストレスを感じても環境を変えられないから」です。

一方で仮面FIREの状態だと、「いつでも辞められる」という気持ちの余裕があるため、「嫌いな人とはかかわらない」「行きたくない飲み会には行かない」など選択の自由が生まれます。職場の人間関係を一歩引いて見ることができて、「またあの人なんか言っている……(苦笑)」とやり過ごすことができ、おおらかに生活することができます。

このように職場におけるストレスを格段に減らすことができる“仮面FIREの民”である私にとっては、「わざわざ会社を辞める必要がない」「今の職場で仲間と話すのが楽しい」ために、早期リタイアする理由がなくなってしまったのです。

 

 

仮面FIREには「税制上のメリット」が!

あなたが新社会人として働き始めて初任給をもらった時、どのような感想を持ったでしょうか。「初めての給料だ!」と感動した人、「これで親をディナーに連れていくぞ」と思った人、初任給に対する思いはさまざまだったことでしょう。私自身の初任給に対する感想は、「手取りってこんなに減るの⁈」というものでした。ここでは、手取りを減少させる大敵について考えてみましょう。

サラリーマンは、源泉徴収というかたちで所得税・住民税・社会保険料が天引きされています。
たとえば年収400万円の会社員の所得税天引き額は年間9万円、住民税天引き額は18万円、一方、厚生年金や健康保険などの天引き額は年間58万円、給与の多くが社会保険料として引かれています。「手取りの減る原因は税金じゃない⁈ こんなに社会保険料って高いの?」と思った人もいることでしょう。

しかしここで注意したいのは、通常は、会社員であるあなたが払っている社会保険料は半額のみ、残りの半額は会社が負担しているのです。一方、会社に属していないフリーランスや自営業者は、会社員に比べて2倍の社会保険料を支払っています。

出典『めざせFIRE!知識ゼロから経済的自由を勝ちとる』(ぽんちよ著)

ここで仮面FIREに話を戻しますが、もし副業でしっかり稼ぎ、経済的自由を達成している仮面FIRE会社員が、早期リタイアして今後は副業を本業としてフリーランスの生活を始めると、社会保険料はどのようになるのでしょうか。まず会社に帰属しないため、社会保険料は「会社+自分の折半」ではなく、一人で納める必要があります。

もうひとつ重要なのが、現在の社会保険制度は、「本業の収入から社会保険料を算定」することになっています。「本業20万円+副業50万円」の収入を持つ仮面FIRE民は、「本業20万円に対する社会保険料計算」が適用されます。このような仮面FIRE民が独立した場合、収入は「本業70万円」になり、「70万円に対する社会保険料」を支払う必要があります。このため、会社員時代よりも副業の手取り額が大きく減少します。

このような背景から、副業で大きく稼ぐ仮面FIRE民にとっては、「会社に在籍することで社会保険料を安くするメリット」を享受できるため、会社員の立場というのは「社会保険料の隠れみの」という側面があります。

 

FIREのために必要な資産額って?

FIRE後の働き方に焦点を当て、「完全リタイア〈切り崩し型〉&〈不労所得型〉」「サイドFIRE」「仮面FIRE」を定義しました。ここでは、それぞれのFIREでどのくらいの資産が必要かを計算してみましょう。

まず「完全リタイア〈切り崩し型〉」では、早期退職後は一切の収入源がなくなるため、「退職後の年数×年間生活費」が必要です。仮に毎月の支出が30万円の場合、年間支出は30万円×12か月=360万円、もしあなたが35歳で早期退職したとすれば、退職後の人生を50年と見積もり、360万円×50年=1億8000万円が必要です(計算上、年金受給は除外します)。

参考までに、『ユースフル労働統計2019-労働統計加工指標集-』が発表した大学・大学院を卒業し、フルタイムで60歳まで働いたサラリーマンの生涯賃金は、男性の場合は約2.7億円、女性の場合は約2.2億円です。ここでいう生涯賃金は総支給額であり、手取り換算では20~30%ほど目減りするため、生涯手取り賃金は男性で約2.3億円、女性で約1.6億円となり、「完全リタイア〈切り崩し型〉」の目標である1億8000万円の蓄財がいかに困難かがわかります。

もし「完全リタイア〈切り崩し型〉」を目標にするのであれば、「株で一発当てて大儲け」「事業を当てて、その後に事業売却」など、通常のサラリーマンではなしえないような手段をとるほかありません。

このような再現性のない「完全リタイア〈切り崩し型〉」のFIREは目指しません。私がおすすめするFIREは、ふつうのサラリーマンにとって再現性があり、早期退職後も「不労所得」「労働(副業)所得」のいずれか、または、その両方の収入源があるFIRE です。本書の定義では「完全リタイア〈不労所得型〉」「サイドFIRE」「仮面FIRE」がこれに当てはまります。
これらのFIREを実現するために、「株で一発当てる」必要はありません。その代わり、私がFIREに至るまでに行ってきた「投資」「節約」「副業」が必要不可欠なのです。

 

【著者プロフィール】ぽんちよ
大学院を卒業後、 就職。 学生時代に何も挑戦しなかった自分を変えようと思い、 友人にすすめられた投資にチャレンジ。 投資について学ぶうちに経済的自由を達成することが目標になり、 せどり、 ブログ、 YouTube動画配信などの副業に挑戦。 投資系YouTuberとして「経済的自由を目指す人の背中を押す」ことをコンセプトに「【投資家】ぽんちよ」チャンネル( https://www.youtube.com/channel/UCgE9lrN1n1dVKoFKSlgortg ) を運営している。 2021年5月現在、 チャンネル登録者数20万人を突破。

 

書名:めざせFIRE! 知識ゼロから経済的自由を勝ちとる 
著者: ぽんちよ 著
ISBN:9784074477937
出版年月日:2021/05/31
定価:1,540円(税込)
電子書籍あり

 

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