キャサリン妃の好感度を『エチケット3原則』から紐解くと【気品を身につけるシンプルな教え#11】
国際標準のマナーともいえる「プロトコール」については毎回お伝えしておりますが、「プロトコール」はフランスとイギリスの王侯貴族と外交関係者らが中心となって作られました。国や時代が異なっていても変わることのない「人としての心のあり方と振る舞い方」をうたっています。そのような精神概念として、『プロトコールのエチケット3原則』があることを(一社)日本プロトコール&マナーズ協会主任講師の松田玲子先生にお聞きしました。8月24日より開幕する東京パラリンピックでも『ユニバーサルプロトコール』に基づいて「すべての人にやさしく」が適用するように、その精神概念は同じです。ぜひ、心に留めておきましょう。【連載/気品を身につけるシンプルな教え#11】
*連載一覧
(一社)日本プロトコール&マナーズ協会
エチケットの三原則1:『人に好感を与えること』
温顔でチャーミングであることを忘れない
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この写真は、キャサリン妃自身が共同会長を務めるロンドン北西部のノーソルトで活動するスカウトグループを訪問されたときのものです。彼らがパンデミック中に、どのように活動をしてきたかの話を聞きに行かれたのです。英国スカウト協会は、6歳から25歳までのあらゆる背景を持つ50万人近くの人々を支援し、将来に必要なスキルを向上させる手助けを目的としており、国内最大の男女共学青年運動となっています。
『人に好感を与えること』というのは、会話、訪問、装い、礼儀作法すべてにおいて「好感を与える」という考え方を基本としています。それは、相手に媚びを売るというような乏しい発想ではありません。「自分はたくさんの人に支えられている」ということをわきまえ、謙虚な心で物事を見つめましょう・・・・・・という意味です。
キャサリン妃が誰に対しても温顔を欠かさず、「チャーミングであることを忘れない」ことからもわかりますね。「温顔」は「笑顔」とは異なります。「笑顔」は作ることができますが、「温顔」は内面から自然とにじみ出てくるやさしく温かなほほえみです。キャサリン妃の温顔は、いつも気持ちに余裕があるからに違いありません。思いやりを含めた品性を磨く努力をしているからこそのお顔です。
また、次のような例で覚えておくといいでしょう。
乗り物の中で足を踏まれたとしましょう。足を踏んだ人が「ごめんなさい」とおっしゃった時、足を踏まれた人も「こちらこそ、ごめんなさい」という言葉が瞬時に出るような、謙虚な心をもつことなのです。『人に好感を与える』の本当の意味は、このような自然ににじみ出る謙虚な心のことをいうのです。
エチケットの三原則2:『人に迷惑をかけないこと』
キャサリン妃ファミリーのTPOが完璧!
https://www.instagram.com/p/Byc5la9Fn2A/
こちらの写真は、エリザベス女王含め、ウィリアム王子とキャサリン妃、ハリー王子など、総勢30名以上の王室メンバーが勢揃いし、“Trooping the Colour(トゥルーピング・ザ・カラー)”で知られる女王の誕生日を記念したセレモニーに参加されたときのものです。空ではイギリス空軍の航空機が祝賀飛行を行いました。この「トルーピング・ザ・カラー」は、260年以上も続く伝統行事です。毎年6月に1400名以上の兵士、約300頭の馬、そして400名ほどの音楽隊が集結し、バッキンガム宮殿から行進を行ったのです。
エリザベス女王の公式誕生日といったら、それはハレのイベントですからTPOに徹した装いは必須です。このような日は、決して着回しはせず、新しい服をあつらえ、帽子も普段は小さいキャサリン妃ですが、つばを広くしてレースやリボンなどの装飾も大きめにして華やかにして女王への敬意を表しています。
私たちも、TPOをわきまえることは大切です。それは「自分もその場の空間を作る一員」だから。
たとえば、一流ホテルや高級レストランの入り口に「ジーンズお断り」「ジャケット着用」と表示されていることがあります。そのような場所にカジュアルな服装やサンダルで行ったら他のお客様はどのように感じるでしょうか?
優雅な雰囲気の中で熟練のシェフによる料理を堪能したり、非日常を楽しみにしているお客様に失礼に当たります。
「カジュアルだっていいじゃない」と、思う方もいるかもしれませんが、TPOに合わせた服装や行動ができる女性こそ、自律し、洗練されたエレガントな女性だということを忘れないでおきましょう。
エチケットの三原則3:『人を尊敬すること』
障害をお持ちの方、高齢者の方への配慮ができるように
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こちらの写真は、ウイリアム王子とキャサリン妃が首都カーディフにある高齢者のケアホームであるシャイアホールを直接再訪されたときの写真です。コロナ禍でロックダウンの間ずっとシャイアホールを安全に保つために、スタッフや居住者が行った素晴らしい仕事を直接見ることとなったそうで、ウイリアム王子もキャサリン妃も喜ばれました。
原則の3つ目は『人を尊敬すること』ですが、自分を下に置いたり、卑下したりすることではありません。「自他への敬いの心」は、「すべての命は等しく尊い」ということへの理解から、自ずと生まれてくる素直な心で愛情や慈しみを伴うような温かい気持ちのことです。
たとえばおつきあいする男性のことや、友だちについて、その方の学歴や肩書き、性格などばかりに気がいくことはないですか?
そうではなく、やさしい気持ちで相手と向き合って、表面に出ている事柄の向こう側にある努力や背景についても想像してみてください。高齢者に対しても、長く生きている間のその方の努力に対する敬老心を持ちましょう。
これから始まる東京パラリンピックもそうです。パラリンピックも、プロトコールの精神概念が取り入れられ、『ユニバーサルプロトコール』として「すべての人にやさしく」をうたい、工業デザインの専門家たちが障害を持つ人にとってやさしいデザインを適用しています。会場設定や接遇などでも、『ユニバーサルプロトコール』という視点からバリアフリーの取り組みを考えられています。聴力に障害がある方には手話通訳や字幕モニターによって情報を共有できるように、視力に障害がある方には会場までのガイドポストなどを備えるなどの配慮をおこなうなどがあります。
ウイリアム王子やキャサリン妃などの王室の方々は必ず身につけるプロトコール。それは献身的で必要な場所では援助の手を貸すという精神。このプロトコールの精神概念は世代を超えて共鳴できます。
ぜひ、『エチケット3原則』を身につけて内面からの美しさを出していきたいですね。
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