【40代編集部長の婚活記#268】なぜ「自信が持てない」?40代独女のコンプレックス
「どうしてそんなに謙遜するの?」
その言葉にハッとして彼を見た。ものすごく真剣な顔をしている。
ジェントル「“私なんか”って、どうしてそんなに自分のことを謙遜するの?」
ちょっと首を傾げて彼は言った。
ジェントル「日本では謙遜が美徳なのかもしれないし、必要な場面もあるかもしれないけど、僕や僕に関わることにあなたが謙遜する必要ないんです。僕たちのお付き合いは、対等な関係でしょう」
対等な関係……。それはそうなんだけど。彼の育ちや経歴と私のそれとは全然違う。ときどき、彼に相応しい人間じゃない気がしてしまっている。
アサミ「謙遜とかじゃなくて。本当に私、何者でもない人間だし」
ジェントル「あなたは立派なキャリアを積んでいるじゃない。編集長だし、ひとつのメディアをゼロから立ち上げているでしょう? 普通の企業で考えたら新規事業や新ブランドの立ち上げと同じことなんですよ」
アサミ「たまたまです」
抜擢なんてものじゃなくて…
ジェントル「新規事業って、誰でも任されることじゃないんです。パイオニア精神がある人じゃないと任せられない。すでにあるものを引き継ぐことと、新しいものを立ち上げることのエネルギーは全然違うから」
アサミ「はい」
確かにそうかもしれないけど、そんな抜擢って感じでもなくて。当時の上司が新しいけどめんどくさそうなことは「アサミから始めて」みたいなことが多かった。
社内で女性ファッション誌の総合Web媒体を立ち上げるときも有無を言わさず「とりあえずアサミのところ、S Cawaii編集部からスタートね」と言われた。たぶん、上司にとって私が言いやすい相手だったからだと思う。
ジェントル「車だって発車するときに一番エネルギーがかかるわけで、走行中はそれほどかからない。スタートってそれだけ大変で、それをやり遂げたあなたはすばらしいんです」
「自信」が持てない
ジェントル「もっと自信を持って。あなたの書いている文章、あなたがスタートさせたOTONA SALONEで励まされている人、笑顔になれている人がたくさんいるんです」
アサミ「はい……」
まったくのゼロから始まったメディアであるOTONA SALONEが月間で数千PVになっているわけだから、確かに読んでくれている人はいる。どう思うかは人それぞれだけれど。
ジェントル「僕は前から不思議に思ってるの」
アサミ「何がですか?」
ジェントル「あなたはこんなにステキなのに、どうしてそんなに自信が持てないのかなって」
アサミ「どうしてって。私は何か特別なこと、できてないもの」
編集者として、編集長として特別優れているわけでもないし、ものすごい実績を作ったわけでもない。美人でもなければ、圧倒的なオーラがあるわけでもない。自信なんて、持てないよ。
ジェントル「キャリアも女性としても、あなたはステキです。あなたにしか出来ないこと、やっているじゃないですか」
アサミ「私にしか出来ない……」
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