黒豆は「まめに暮らせるように」。数の子にはどんな意味がある?【おせち16種の意味】

2021.12.30 WORK

今年も残り数日で、いよいよ新年を迎える時期となりました。お正月の食卓に欠かせないおせち料理にはたくさんの大切な意味や願いが込められていることはご存知でしょうか。今回はおせち料理のいただき方や、お正月の席に着くたしなみやなどについて(一社)日本プロトコール&マナーズ協会松田玲子先生にお聞きしました。

【連載/気品を身につけるシンプルな教え#27/おせち編】

 

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(一社)日本プロトコール&マナーズ協会

 

お正月にいただくおせち料理とはもともとは神にお供えする食べ物のこと

一般的にお正月にいただく重箱に詰められたお料理のことを「おせち」といいますが、これは「御節供」(おせちく)の略で、もともとは節日(せつにち)に神にお供えする食べ物のことを意味していました。

節日とは、季節の節目となる元日と五節句(人日、上巳、端午、七夕、重陽)のことで、おせちは本来、これらの行事の時にいただくもののことをいいます。
なかでもお正月が最も重要な節日だったことから、次第にお正月に出される料理を指すようになりました。

 

正月三が日主婦が水仕事を控えられるように日持ちの工夫がされているおせち

おせち料理は、正月三が日、主婦が水仕事を控えられるように、日持ちをする工夫が凝らされています。おせち料理をご自身で作っている方はお分かりかと思いますが、手間のかかる料理が多くあり、日常の料理とは異なりますが、私たちの祖先が何代もかけて受け継いできた知恵が詰まっています。

 

黒豆は「まめに働き、まめに暮らせるように」。数の子にはどんな意味がある?

地方によって多少の違いがあると思いますが、新しく始まる一年の五穀豊穣、家族の健康と幸せを願って作られるおせち料理には、一つ一つ意味が込められています。

3種類の共通している代表的な料理があります。これらは「祝い肴三種」や「三つ肴」といわれ、おせち料理にはなくてはならないものとされます。

 

その3種類とは「黒豆」・「数の子」・「田作り」です。それぞれに意味やいわれがあり、縁起物とされています。

まず、黒豆は家族が1年間「まめ」に働けるようにとの意味が込められ、黒は邪気を払って不老長寿をもたらすとされます。

 

ニシンの卵である数の子は子宝に恵まれ、子孫繁栄の願いが込められています。またニシンには語呂あわせで、「二親健在」という意味合いもあります。

 

田作りは地域によって「ごまめ」とも呼ばれますが、田作りとは、田植えの際肥料として使われていた片口イワシが由来ともいわれ、よい米が取れるようにとの願いが込められています。

 

そのほかのおせち料理の縁起物を知っていることも淑女のたしなみ

主に、おせち料理は長寿や繁栄、多幸を願って重箱に詰められます。以下の縁起物を知っておくと、お席でも話題にあげられますね。

 

・たたきごぼう:ごぼうは地中に深く根を張るということから縁起を担がれてきた食材です。
・伊達巻き:大切に扱う巻物に似た形から、知識が増えるという願いが込められています。伊達とは洒落物という意味です。
・栗きんとん:きんとんは金団と書き、黄金にたとえられて豊かな一年であるようにという願いが込められています。
・昆布巻き:喜ぶにかけて、正月飾りにも使われています。
・紅白かまぼこ:紅は魔除け、白は清浄を意味し、神饌の赤米と白米を模しているともいわれています。
・紅白なます:お祝いの水引をかたどったものとされています。
・鯛:尾頭付きの焼いた鯛のことで、恵比須様が釣り上げ、めでたいに通じることから縁起物とされています。
・ぶり:イナダ、ワラサと名前が変わることから出世魚とされています。
・えび:腰を曲げているように見える姿から、長寿祈願が込められています。
・くわい:上から大きな芽が出ることから、めでたい縁起物とされています。
・菊花かぶ:かぶを菊の花に見立てた酢の物で、菊は邪気を祓い、寿命を延ばすといわれています。
・れんこん:穴が開いていることから、将来の見通しが開けるといわれています。
・里芋:子芋がたくさんつくことから子宝、子孫繁栄の願いが込められています。

 

おせち料理を重箱に詰めるのにも意味がある

重箱に詰めたおせち料理を、当たり前にいただく方もいらっしゃるかもしれません。しかし、おせち料理は縁起物なので、「福が重なる」「めでたさが重なる」という意味を込めて重箱に詰めて食べる習慣ができたことも覚えておきましょう。

 

日本文化の意味を知り、大切に思う気持ちが重要

お正月は年神様をお迎えすることで、新しい年の穀物の実りをもたらされ、人々に命を与え、先祖の霊がいつも私たちを見守ってくれていると考えられてきました。つまり、お正月とは、先祖とともに新しい年を迎える日であり、すべてのものが新しくなる大切な日。家族が幸せに健康に暮らせるように皆で祈念する日でもあります。

 

現在の状況では、お正月に家族がそろうことが難しい方もいらっしゃると思いますが、離れていても、家族の幸せや健康を願うという気持ちは通じることと思います。日本文化の意味を知り、大切に思う気持ちが重要です。どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。

 

 

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