【オーガニックコットンってなんだ?】今更聞けない”素材のギモン”~稲沢朋子のゆるサステナ連載vol.3~
私たちがオーガニックコットンを購入することで、ずばり何に貢献できますか?
編:「なるほど、確かにニーズがなければ農薬を使用することもなくなるわけですね。つまり私たちがオーガニックコットンを求めれば、働く人の健康と環境改善の手助けになるということでしょうか」
原:「その通りです。私たちがオーガニックコットンを買うことで、従事者の健康被害と環境汚染を救うことができるんです。そのために今までより少し割高な金額を払うかどうか、ということですね。
たとえば、1万円で買ったオーガニックコットンの洋服があるとしますよね。この金額の何割かが原料代として農家に入ります。もしこの洋服が売れたら、ブランドは翌年も似たようなものを作りたいとなる。なのでブランドは生地やさんに『今年もオーガニックコットンが欲しい』と発注するわけです。そうすると生地やさんは農家からオーガニックコットンを買うわけです。この流れが毎年毎年起こって、増加していくとどうなるかをぜひ消費者の方々に想像してほしいんです。
おそらくすべて農家が農薬入りのコットンを作らなくなりますよね。なぜならニーズがないから。
逆に今、なぜほとんどが”オーガニックではない、普通のコットン”なのか?理由は簡単です。安いコットンのほうが売れるから=消費者のニーズがあるからなんです」
編:「何気にグサッてきました…。もっと早くに知りたかった…。」
原:「いや、そうですよね(笑)。でも企業の取り組み自体、日本は海外に比べて20年くらい遅れてるから、無自覚な消費者が多いのは当然だと思うんです。
最近、ニューヨークのファッション業界の人と話したんですが、『エシカルなことをするかしないかは選択肢』と彼は言うんです。だから、やらない人を批判するのではなく、自分がやりたいことは何なのか?を明確にし、まず情報を正しくとることが大切なんです。日本はそもそも情報が一般流通されていませんよね。例えば前段お話したようなオーガニックコットンを選んで買うと何が起こるか?ということを把握されてる消費者ってやっぱりまだ少ない。高いか安いかの物差し以外が少ないんですね。
自分は所得が高くないから、オーガニックコットンに対価を払わないという選択。そこまで所得は高くないけど、着るものだけはエシカルなものをという選択。人によって選ぶ自由はあってよいと思うのです。
先ほど話したニューヨークの彼曰く『僕は生産者の顔写真がついてる野菜を買う。多少高い金額を払っても、それが家族を守ることだ』と言います。一方で、彼の会社の下にあるファーストフードに並んでる方々もたくさんいると。でもその並んでる人間も多くの日本人とは違い、おそらく農薬を使っていない野菜が体にいいわけではないことを知りながらも、そこは安い金額で甘んじるという”選択”をしているだけだ、と言います。
なので、今の日本に必要なのは正しい情報や知識とその伝播だと思います」
編:「サステナブルというと、どうしても意識高い系の話になりがちで…。ぶっちゃけ同調圧力を感じるときもあるのですが、”選択”という言葉を聞いて、初心者の私でも主体性を持って取り組める感じがしました」
原:「そうですね。人も環境も経済もすべての指標をクリアすることって難しいというか無理。だからこそ『ここはできなかったけど、ここではエシカルな取り組みをしていこう』というその人なりの自覚が大事だと思うんです。もし本当に環境だけのこと考えたら、移動もCO2を排出しないよう、電車やガソリン車は乗らずに、江戸時代みたいに籠で運ぶのが一番いいですよね(笑)。でもそれはもう現実的じゃない。なので、優先順位を各自がつけていくのが最初の一歩なんじゃないかなと」
ぶっちゃけこれはNGというオーガニックコットンってあります?
編:「テーマのオーガニックコットンに戻りまして…、いやしい消費者目線みたいでアレですが、オーガニックコットンってうたってるけど実はこれは違う!などありますか?」
原:「オーガニックコットンが肌に優しいとか優しくないとか、そういった観点だとおそらくOK・NGとか出てくるんでしょうけど、今までお話した通り”肌ざわり”はオーガニックかどうかではなく、品種によります。なので、ここではあくまで環境汚染や働く人の健康被害という意味でお答えしますが、1%でもオーガニックコットン混であれば、それはOKだと思います。ゼロでなければそれは少なからず農薬の減少に寄与したということで、人や地球を救うことに寄与できるからです。100%に越したことはありませんが、ミックスだからといってダメということはないと思います。
また、アパレル業界に身をおいてるからこそお伝えしたいことでいうと、やはり”消費は投票”なんですね。お客さんはエシカルな取り組みをしてる企業を選ぶことも、そうじゃない企業を選ぶこともできます。
先ほどもお話したように企業努力で価格と環境保全を同時に担保するには、限界があります。どうしても企業は経費負担が発生したら価格にのせざるおえなくなる。そして、その価格が市場に認めてもらえないと安価な方向にシフトしてしまう。つまり企業だけに負荷をかけすぎるのは、結果的に全員の首をしめることになると痛感しています」
編:「選択意識を持つことが、とても大事!ということがわかりました。最後に御社でやってる取り組みはありますか?」
原:「いろいろ言ってきましたが、カーサフラインとして社員に課してることは”ペットボトル”を買わないということくらいです。あまりいろんなことを強制して、イヤってなるのも本望じゃないですしね(笑)。でもたまたまかもしれませんが、従業員の自転車通勤率が高いとか、お弁当率が高いとか、けっこうみんな自主的に各自取り組んでくれてるようです」
編:「それなら、私も少しずつできる気がします…!ひとまずマイボトルの携帯から始めてみます。今日はありがとうございました!」
次回は3月24日配信予定です。お楽しみに!
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