「自覚症状なし」父の「すい臓がん」が発覚したのは、母だけが気づいた「ある症状」がきっかけだった。親が突然「がん」になったらどうすべき?
「基準値の約10倍」思わず目を疑った数値が示すもの
玄関先でいつものように出迎えてくれた父は、顔色こそ少し黄色味を帯びていましたが、普段とあまり変わらないように見えました。しかし、長年連れ添った母には何か感じるものがあったのか、その表情から不安の色が消えることはなく……。
そして病院で、その不安は見事に的中することになります。「ご家族も一緒に」と診察室に呼ばれ、画面に表示されている血液検査の結果を見てみると、「総ビリルビン(T-Bil)」(肝臓や胆道の異常を調べるための指標)の欄に「10.43 mg/dL」という数字がありました。基準値は「0.2〜1.1mg/dL」と書かれているので、この数値が深刻な状況を示しているのは一目瞭然です。
※基準値は検査機関によって異なることがあります。
「総ビリルビンの数値が高いと、肝炎や肝硬変など肝臓の病気が疑われる」「今回の数値は基準値の約10倍なので、一刻も早く原因を突き止める必要がある」「すぐに紹介状を書くので、明日の朝一番で(消化器内科のある)総合病院へ行ってほしい」と医師。
基準値の10倍? 肝臓の病気? もしかして?
一瞬にして、あらゆる思いが頭をかけめぐりました。同時に私が心配だったのは、この状況を父がどう感じたかということ。何と声をかけるべきか悩んでいると、「明日から入院かもしれないね。どうせなら、新しいパジャマを持っていきたいなぁ」と、何とも呑気な言葉。
父は、とても優しい人。このときも、間違いなく自分が一番不安なはずなのに、私や母のことを気遣って明るく振る舞ったに違いありません。そこで、私たちにも“スイッチ”が入ります。
私:「じゃあ、私が帰りに新しいパジャマを買うよ。何色がいい?」
母:「帰ったら、さっそく準備しないとね」
まるで旅行の準備をするかのようなテンションで、入院に必要な荷物を揃え始める父と母。私も「まずは明日のことだけを考えよう」と気持ちを切り替えて、帰路に就きました。
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