「髪が抜ける」ことを体験してはじめて気が付いた。「みんな何か、それぞれ大きなものを抱えている」【円形脱毛症体験記】#12
ヘアロスを受け入れらたら世界が変わる。想像力のある社会へ
店舗でカウンセリングもしているのですが、多くの方が、はっきりとした言葉にはならないんですよね。なんとなく不安、なんとなく視線が気になる、みたいな。嫌なことを言われたり、されたわけではないんだけど、もやっとすることはある。気持ちを明確にして、「なにに対して怖いと思っているのか」を突き詰めていっては、とお話をしたりしていますね。
同じことを言われたとしても、そのときの自分の受け取り方次第なんです。受け取るこちらの状態によって、まったく違うものになるんですよ。「ヘアロス」を自分で受け入れられないときは、普通のことも嫌なんですよね。
脱毛してからママ友と話してるとき、1人遅れてきたんです。彼女は明らかに髪の毛を切ってショートヘアになってるのに、誰もそのことに触れなかったことがあったんです。そのとき、ものすごくいたたまれなくなったんです。でもそれって私の気持ちが「この人たちに私はどう受け止められているんだろう」って思っていたから。でも、今はなんでそんなことで不安だったんだろうと思います。ヘアロスを受け入れたとき、自分のなかに落とし込めたときは、なんでもないことなんですよね。
みんな、なにかしら、どうすることもできないもの、悩みを抱えてますよね。私はヘアロスと別のものもたくさん抱えています。髪に限らず、人の弱さとか、思いやれるような社会になるといいなとすごく思います。私は髪だけど、隣の人はもっと違うものかもしれないし、一緒なのかもしれない……そういう想像力があるとやさしい社会になるかなと思います。
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写真提供:すべて角田真住さん
■角田真住
合同会社アルモニア代表 。37歳のときに多発型円形脱毛症を発症。自身の経験経験を同じ病気に悩む女性のために生かしたいと合同会社Armonia設立。円形脱毛症による脱毛だけでなく、抗がん剤の副作用による脱毛など、治療や疾患で見た目に悩みを持つ方に向けたヘッドスカーフのブランドを立ち上げる。脱毛症への理解を進めるため、講演活動も精力的に行う。ヘッドスカーフブランドHP:LINOLEA (scarf.official.ec)
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