「義母を保証人にしておいてよかった!!」養育費から逃げ回る元夫。美容師の妻(40歳)が「振込復活」にみせた執念とは

養育費、差し押さえづらいのは 役員報酬?個人事業主?

ところで元夫が独立時、自分の会社を立ち上げたのなら、会社から役員報酬を受け取っています。筆者は「役員報酬は会社員の給料と同じように差し押さえることが可能ですよ」と慰めました。具体的には会社が元夫に役員報酬を支払う前に、由羅さんの口座に養育費の分を振り込んでくれます。

 

そこで一般財団法人の民事法務協会が提供する登記情報提供サービスで元夫の名前を検索したところ、残念ながら、会社名(有限会社、株式会社)は表示されませんでした。

 

つまり、元夫の身分は会社役員ではなく個人事業主だったのです。個人事業主の場合、商売と個人のお金に線引きが曖昧です。給料や役員報酬は存在しないので、前もって差し押さえることは難しいです。ここまで進めてみると、もはや万策尽きたように思われます。由羅さんは「もはや手立てはないんでしょうか?」と肩を落とします。

 

ここで効いてきたのは離婚時、元夫の母親を連帯保証人にしておいたこと。元夫と由羅さんはすでにLINEの友達登録を解除しているし、知っている元夫のメールは携帯電話のアドレス。携帯会社を乗り換えたらアドレスは変更されているでしょう。一方、離婚したからといって元妻以外の人間関係を考えると携帯番号を変更するのは面倒です。そのため、ショートメール(SMSメール)なら届くのではないか。そんな一縷の望みをかけて由羅さんは「このまま逃げ回るなら、義母さんに養育費を請求するよ」と送ったのです。

 

そうすると無事、元夫の携帯にメッセージが届いたようです。しかし、また意味不明な持論を展開。「払えたら払うって言っただろ?今は余裕がなくて厳しいんだ」と。そのため、由羅さんは「あなたはどうだろうと、毎月、子どもにお金がかかることに変わりはないの。いい大人なんだから言い訳をしないで!」と。

 

しばらく返事がなかったので「このままフェイドアウトするなら、義母さんの財産を差し押さえるから。よろしく!」と追撃したのです。そうすると元夫はかなり焦った感じで「お前、馬鹿か!そんなことしたら母ちゃんが生活できなくなるだろ」と返してきたのです。義母とは元夫を女手一つで育て上げた人物。特別な資格もないので、パートの仕事を掛け持ちした苦労人。おそらく国民年金しか受給しておらず、家賃が毎月2万円の県営住宅に暮らしています。

 

元夫が「わかった、払えばいいんだろ?!とにかく母ちゃんはやめてくれ!」と懇願するので、由羅さんは「過去の分はとりあえずいいから、その月の分はちゃんと払って」と念押しすると、ようやくその月の養育費は振り込まれてきたのです。

 

ここまで由羅さんが何回、元夫に裏切られても、途中であきらめず、何度も養育費の回収に漕ぎつける様子を紹介してきました。上記の統計によると母子家庭のうち、養育費を受け取っていない理由として相手に支払う意思がないと思った(15%)、相手に支払う能力がないと思った(14%)以上に相手と関わりたくない(34%)が最多です。

 

一度、支払が止まった養育費を復活させるには元夫との間で何らかの接点が生まれます。もちろん、結婚生活のなかで悩み、苦しみ、傷つけられた相手です。一切、関わりたくないとう気持ちも分かります。しかし、大人の事情で子どもに貧しい思いをさせるのはあまりにも不憫です。子どもを守るために奮起し、過去のトラウマと戦いつつも、最後まで戦い抜いて欲しいですし、強い母親の姿を子どもに見せることを期待します。

 

 

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