45歳、突然に生理周期が変化して【100人の更年期#2】

一般に、閉経の前後5年を更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は50歳なので、45-55歳の世代は更年期に当たる人が多いもの。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。

初潮を迎えた人ならば必ず誰しも迎えるのが閉経、そして更年期。なのに、親しい友人と生理の話はできても、「更年期の具合はどう?」とは話しにくものです。私は正常なの?みんなどんな経過なの?この状態、治るの?

主婦の友社オトナサローネ編集部は、ごく普通に日々を暮らす同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材していきます(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)。

 

【100人の更年期#2 47歳・医薬系PR職】

47歳、北海道生まれ。独身、東京郊外の持ち家で一人暮らし。新聞記者の父、専業主婦の母、3歳上の兄と育つ。
薬学部を卒業後、医薬系の業界に勤務し、現在はPR業務に従事。仕事柄、自分の身体状況に関するケアも丁寧に行っている。
主訴・月経周期がどんどん短くなっていき、貧血気味に。備えがない日に突然くるのも本当に困る。

 

重く不順な月経に振り回され続けた10~30代。漢方が救った

私の場合は、まだいわゆる更年期障害の「症状」はそんなに大変ではありません。でも、ずっとずっと、若いころから月経に苦しめられ続けています。

 

10代20代はとにかく月経周期が安定しませんでした。量もやたら多くて、高校大学のときはよく学校で倒れてました。

 

量が多いのは今も変わらないけれど、それこそ当時は夜用ナプキンを1時間に1回交換し続けていたし、30代後半まではまる1週間以上続いていました。

 

最初と終わりが2日ずつくらいあるでしょう、その間が4日くらい重い。よく3日目が重いと言いますが、私の場合は3日目の状態がそのまんま6日目まで続くんです。しかも不順。

 

でも、34歳のとき、仕事で漢方に関わって出会った先生に生薬を処方してもらって1年ほど飲んだら、28-30日周期に整いました。お世話になったのは、銀座の玄和堂診療所の寺師先生。1~2ヶ月に1回くらいのペースで通って、診断に合わせてちょっとずつ処方を変えてもらうんです。

 

私は漢方で言う「瘀血」のタイプで、当帰芍薬散を先生の独自調整で処方してもらってました。

 

それもね、おもしろいの。

 

「これ、トリカブトが入っていて、ぼーんと熱が出るよ、爆発力があるよ」と言われて、恐る恐る飲んで、次に行くと「うーんまだ冷えてるね、トリカブト2倍にしよう!」って言われて。

 

「えっ、先生、トリカブト2倍なんて大丈夫なんですか?」「大丈夫!」。

 

また次に行くと「うーんまだ冷えてるね!じゃあ2倍にしよう!」「ええっ、先生、前2倍にしましたよ?」…

 

なんてふうに処方をいただいていたら、あるときどろっと黒い経血が出て、そのあと順調になりました。

 

冷えも改善されてよかったんですが、生薬は煎じるのがめんどくさいのと、その後しばらくしたら月経不順が治ったのと、あとやっぱり毎日続けるにはちょっと高くて。フェイドアウトしてしまいました。人によりますが、自費診療なので、診断と処方で月3万円から4万円くらいがひとつの目安だと思います。

 

月経が整って始めて判明した、私のPMS

それまで本当に「いつくるかわからない」不順ぷりだったのですが、漢方である程度月経周期が安定してきて、やっと周期にあわせてナプキンを用意できる状態になりました。

 

ちょうどそのころ、婦人科系の仕事を担当して、月経前症候群、PMSのことを知りました。ああ、自分はこれだと気づきました。思えば、36歳から37歳のころ、職場にいた気がきかないおっさんにしょっちゅうキレていたんですが、ふと気がついたら月の後半になるといつも怒ってるな、そのころって月経だなと。

 

これは私の転機でした。

 

そういえばいつも月の後半に我慢ができなくなる。自分でも、そういえば怒りのしつこさが違うな、腹のたち具合が違うなとちょっとずつ理解して、やっとこれはPMSなんだな気がついたんです。

 

それからは、月経前には飲み会を入れない、よほど急ぎの仕事以外は月末にヤマを作らない、難しい仕事は月中か月初に入れてもらうようにして、おっさんのこともるべく見ないようにしました(笑)。

 

で、40歳になるころには、この対策が板について、慣れも出てきて、なんとかなるようになりました。

 

45歳、突然月経が減ってサイクルが早まって…

その後、45歳くらいから、月経の重い日が少なくなってきました。動けなくなるのは2日くらい、前後を足しても4日くらいになりました。量も減り、ドカンと重い日が減った。

 

46歳からは周期が早くなってきて、28-30日周期だったのが3日くらいずつ早くなって、25日周期くらいになって、そのうち20日周期に。いまは20日周期のまま1年半くらいたっていて、ここのところもっと早くなってきました。

 

この周期だと、月によっては月初と月末に始まって、「あらまたすぐいらっしゃっちゃったわね」ってなるんです。で、旅行はね、温泉ならタンポンも使えるんですが、ずっと通っていた整体に行けなくなってしまって。月末に月経で安定していた頃は、月の上旬に整体に行って、中旬に鍼灸に行っていたんですが、血がドバドバでているときは整体どころじゃないでしょ。キャンセルしないとならない。これはいまとっても困っています。

 

私はPMSの精神安定に瞑想が効きました

ちょっとディープなスピリチュアル系の話ですが、この2年ほどは毎朝30分ほどマントラ系の瞑想をやっています。師匠はお仕事でお世話になる機会があったヨグマタの相川先生や、瞑想ティーチャーの渡邉先生。PMSの頃からそうですが、信仰とかではなく、「きょうも1日私の中のけものを飼いならせますように」と、平穏を求めてやっています。

 

いま、私は「究極の瞑想」というアプリを愛用中。これは渡邉先生の作です。瞑想は流派がいろいろあって、入門すると自分のマントラを授けてもらうことが多いんですが、渡邉先生の場合は汎用性の高い「アーハム」と「ソーハム」を使っているので、ちょっと自学もできます。

 

瞑想を続けて、私はおだやかになったと思います。すごくカッとなりやすいから、カーッとなっている自分を抑えられないと毎日が本当にすごいことになっちゃう。瞑想を始めてからはカーッとなりにくくなって、腹が立つ前に「まあ、いっか」と思えるようになりました。これは長い目で見て更年期対策としてもいいと思っています。

 

周囲の先輩たちの経緯もそれぞれ。鬱になる人も

私の母は50歳くらいで閉経しましたが、更年期障害はあまりなかったと言っていました。なので、仕事で接触する先輩がたにはいろいろな話を積極的に聞いています。

 

ある人は、私みたいにどんどん周期が近くなって、あるときから逆に間遠になって、50歳で閉経して、そのあとからホットフラッシュが始まったんですって。こればかりは実際になってみないとわからないですね。私は症状が強くなってきたらまた漢方の先生に駆け込もうと思っています。

 

かつての上司には「私、更年期障害なかったわよ」という人もいました。体質もあるんですよね、元気な体質の人はそのまま元気なんじゃないかな。私の印象では、体を動かす趣味を持っている人は軽い傾向を感じます。

 

でも、怖い症状もありますよね。知り合いには心臓の動悸が激しくなる症状が出た人もいます。心臓はやっぱり、大丈夫だとわかっていても、このまま呼吸がとまったらどうしようって不安になるでしょう? それで、怖くて一時期外に出られなくなったそう。

 

私自身、仕事で知り合う医師にホルモン補充療法を勧められることもありますが、個人的な考えがあってそれを選んでいません。辛いならやったほうがいいし、トラブルが出て、たとえば外に出ることすら怖くなっている人なら、閉経を延ばしてソフトランディングしたほうがいいですよね。

 

思えば、私は30代後半のPMSの飼いならしの頃からそのソフトランディングを始めていて、本当に長い旅です。でも、その困難を補ってあまりあるくらいに女性ホルモンにはご加護があるんですね。

 

外に出られなくなった人は、外に出ないことで一時期鬱になりましたが、でも更年期障害は必ず終わるんですね。症状が収まってきてちょっとずつ出られるようになって鬱も収まってきたそうです。

 

「私もイライラしてるの」って言い出せない人たちも、これは自分のせいじゃなくて、ホルモンのせいだからって考えて、自分を責めないでほしいなと思います。

 

50歳目前、いまの疑問は「このあと60代までの性」

なかなか人に聞けないのが、これから60代へ向けて私たちの性欲がどうなっていくのか。かつて作家の森瑤子さんが「30代がいちばん強かったと」言っていた記憶がありますが、40代に入ると極端にときめきが少なくなってきませんか?

 

これから先の恋愛や性がどうなるのか、まだいけるのか。

 

たとえば、作家の三松真由美さんは「アラ還に近いほうが行為が深くなっていい」と書いてました。でね、私はシングルですが、これから彼氏ができたときに、何というか、めくるめく夜がまだ味わえるのかな?と。味わえないのであれば、もう彼氏なんていなくていいのかなって思うんです。オトコの人って場所とるでしょ? うちに夜きてもらって何もなくて、ただ場所だけとられても困るなと。今後、まだ三松さんみたいに深くて楽しいなら、彼氏を探そうかなって思うけれど、そうじゃないならちょっとどうしよっかな…って思います。

 

こういう話、実は親しい友人ともストレートにはしにくいですよね。

 

恋愛のドキドキする気持ちの部分より、フィジカル的に自分の機能がどのくらい「大丈夫」なのか。本当にこのあと、楽しくなれるのかしら。そんなにできなくなるという感じなら、いま頑張って「肉活」しないとね、なんて思います。

 

というのも、最近年下婚をした同じ年の友人(女)が、「お相手は若い人じゃなきゃ」と言うの。私たちの感覚だと、自分が年をとっていくなら相手の男性も年をとっていき、たとえば60歳のときの彼氏は70歳だったりするのかな…?って思うけど、そうじゃない、相手は若いほうがいいって。

 

40代に入ったら、まずあれだけ旺盛だった食欲が減りましたよね。胃もたれするようになって、体力だって落ちた。でも性欲だけが元気ということはきっとない気がするんです。とはいえ、周囲には、もう60歳近いのにずっと恋愛にアクティブだった先輩もいるし、私たち東洋人は若く見えると言うから外人という手もあるのかな、もしフィジカルに楽しめる要素が体にあるなら、私はそれを楽しみたいなって思います。

 

だって、もうメンタル的に、よくわかんないオトコにいちいち怒られたくないし、ダメ出しもされたくないでしょう? 別に新しい世界を教えてほしくもない。じゃあ、私が教えたいかというと、そんなめんどくさいこともいやだ、教えたくもない。お互いの思いやりが少しだけ介在して、好意を持ってフィジカルな部分を楽しめるのならそれも素敵ですよね。

 

もしそんなめくるめく世界が待っているなら、60歳過ぎてから敢えて熟女バーでも開いて、怒られにくる若い男の子を叱ってあげようと思っています。

 

ポジティブですねって? いえ、私はこうして自分の中のケモノを飼いならしてきたんだなって思います。まだまだ旅は続きます。

 

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【100人の更年期】隔週日曜20時連載です。

#1 54歳、「太った」のは更年期のせい?

#2 45歳、突然に生理周期が変化して

#3 44歳、「めまいとだるさ」を救ってくれたのは

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