「つばきごと」ではありません。「椿事」の読み方、知っていますか?
本記事では意外と読めない漢字のクイズを出題します。本記事でご紹介するのは「椿事」です。
「椿事」の読み方は?
「椿」は植物の「つばき」を表す漢字ですが、「椿事」の読みは「つばきごと」「つばきじ」ではありません。もちろん「椿」に「春」が含まれるからといって「はるじ」と読むのも間違いです。
まずは正解を見てみましょう。
正解は……
「ちんじ」です。
「椿事」とは
珍しいこと。思いがけない出来事。
出典元:チンジ|言葉|漢字ペディア
という意味です。「珍事」とも書きます。一般的には「椿事」よりも「珍事」の方が馴染み深いですね。「椿」は訓読みで「つばき」と読みますが、音読みでは「チン」と読みます。合わせて覚えておきましょう。
“思いがけないこと。変わったできごと(出典元:椿|漢字一字|漢字ペディア)”という意味も持つ「椿」を用いた言葉には「椿事」の他に「珍説・椿説」があります。
「珍説・椿説」は
① めずらしい話。変わった話。珍談。
② めずらしい意見。また、とっぴな意見。論拠のないとっぴな説。出典元:精選版 日本国語大辞典
という意味です。
なぜ「椿」という漢字が“思いがけないこと”を表すのでしょうか。よく見かける説には、中国の古い伝説上の大木「大椿(だいちん)」が3万2000年が人間の1年に当たる非常に長寿な樹木であり、この大椿が花を咲かせることは滅多にない、というところから来ているという説があります。
一方で、「樁事」は中国の小説「這樁事」の助数詞を表す「樁」を「椿」と誤読したことにもとづくという説も目にします。
「這樁事」は日本語では「この件」という意味を表します。「樁」は助数詞(数を表す語の後ろに付けてどのような事物の数量であるかを表すもの)であり、よ〜くみると「春」ではなく、「日」の部分が「臼」になっているのですが、江戸後期の日本で「椿」と読み間違えられ、そのまま誤用が広まったとのこと。
これまでも読めそうで読めない漢字の中には、漢字の由来が漢名(中国での名称)の誤読や誤用というものが多々ありました。間違いが広まって定着する、というのも日本語の面白いところですね。
参考文献
- ヨーロッパで大人気を博した 椿事(珍事)と「ツバキ」の関係 日本自然保護協会自然観察指導員金子昇(富岡西在住) | 金沢区・磯子区 | タウンニュース
- 池上禎造『漢語研究の構想』、岩波書店、1984年
- 『全訳漢辞海』第四版
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