
美元「初潮・出産、女性ホルモンにまつわる体験のたび思います。私たち、自分の体のことをほとんど知らないんだなって」#3
女優・モデル・ビューティ&ウェルネスコーチの美元(みをん)さん。
考えられないほどの強いバッシングを受けながらも、これまでほぼ弁明をすることはありませんでした。『これからは、自分の経験を伝えて誰かの力になりたい』と言う彼女に、オトナサローネはシンガポールでの新しい暮らしと娘さんに伝えたいこと」をうかがいました。
離婚騒動の背景を伺った『44歳、モデル美元が語る「あの離婚騒動の背景にあった」事実』、子ども時代のお話を伺った『「ネグレクト、いじめ、不登校」の壮絶な子ども時代』に続いて、「お母さまの更年期のお話と、ご自身の更年期の備え」について。
当時の母と同じ年ごろになってわかった。きっと母は、更年期にも苦しんでいたと思う
美元さんが9歳のとき、お母さまは45歳。寝込んでいることが多かったというその姿を振り返ります。
「当時、患っていた病気の治療で手術が必要といわれていたのですが、祖母も闘病中で、父も留守がち。小学生だった兄と私を心配して、結果的に母は入院を先のばしにしていました。処方されていた薬の副作用で母乳が出るほどホルモンバランスが崩れ、うつ状態にもなりました。いま思えば、母には更年期障害もあったと思います。その頃は『うつ』という言葉が一般的に使われていなかったので、カルテには『ホルモンのアンバランス』と書かれていました」
今ではうつ病は心の風邪と言われるほど一般に知られるようになりましたが、そんな認識もなかった当時、お母さまがどれだけ大変で不安だったか。年齢が近づいてきたことで、以前よりもその気持ちをおもんぱかれるようになってきたと言います。
「今は薬やサプリがいろいろあることがとても心強い一方で、母を見てきた経験から、それらの副作用は決して軽んじてはならないと感じます。きちんと効能・副作用の理解をしたうえで、医師の診断に基づき、適切な治療をするのが大事だと思っています」
これから迎える更年期への対策として、ストレスへの免疫を上げる「心の体力の鍛え方」も重要だと感じるものの、更年期はもとより、初潮、妊娠、出産、振り返れば女性ホルモンに関わる体の変化はどれも、事前に十分な知識を得る機会がなかったと感じるそう。同世代の女性にほぼ共通するのではないでしょうか。
「というのも、私は女性としての体の変化にあとから慌てることばかりだったんです。小学生のときに生理がくることは学校で習いましたが、生理痛がどのような痛みなのかはわからない。成長するにつれて胸が大きくなるというのは知っているけれど、成長痛がどういう痛みなのかもわからない。体に痛みが出るたびに、母がいなくて聞ける人がいない私は、もしかして病気なのかもと不安になっていました」
女性の体の変化の情報を、私たちはやっと得ることができるようになってきた
その後の妊娠出産でも、女性特有の体の変化は女性であっても実際にはよくわからないまま経験することが多いのだなと感じました。
「子どもを待ち望んでいたので、妊娠出産にまつわるできごとはそれなりに調べて学んでいました。それでも驚くことだらけでした。あれだけつわりが長期間続くことや、不調に大きな個人差があることなど、自分が経験して初めて実感しました」
美元さんは出産の際、自宅で横になっている間にベッドがぬれていることに気づきました。破水かと疑ったものの、実際の破水がどのように起こるのかはわからず判断に戸惑ったそう。
「夫とネットで必死に調べてもわからなかったので、夫はシンガポールの病院に、私は日本の助産師さんに電話で聞いて。『やっぱり破水だ!』と気づいて、慌てて入院したんです」
皆さんもご経験があるかもしれません。どれだけ事前に調べても、わからないことがたくさん出てくるもの。
「出産後も、母乳が1か所から出ると思っていたので、シャワーのように出ると知ったときは驚きました。そして、女性でありながら女性の体のことを全然知らないのだなとつくづく感じました」
こうしたホルモンにまつわる情報そのものが昨今では格段に増えたことに加え、現在暮らす多民族国家のシンガポールでは、そこに住む人がそれぞれ自分のルーツに応じた選択肢を持っています。東洋医学、西洋医学、アーユルヴェーダのアプローチなど。そこには「こうあるべき」という決めつけや正解はなく、各自が情報を集め、自分に合わせた取捨選択を行うそう。
「更年期の不調が出た時には、それらを教えてもらいながら、自分に合うものを見つけて乗り越えていきたいと思っています。周囲の、特に家族に不調を理解してもらえることはとっても重要ですよね」
自分が更年期だと周囲に共有できて、イライラしたり落ち込んだりしていても、家族が「今は、そういう時期だから」と本当に理解したうえでサポートしてくれるのが理想と語ります。
「日本でウォーキングを指導していたときに、更年期に悩む生徒さんが、前向きになれたと涙を流して話してくださったことがありました。私自身も、困難にぶつかったとき、夢を叶えるときに、笑顔・歩き方・ファッションによって、外見・マインド・未来を切り開いてきました。自分が学んできたことを伝えたいと考えています」
現在、美元さんはビューティ&ウェルネスコーチとしてアカデミーを開校して、『強く愉しく美しく』という言葉をモットーにウォーキングをはじめとするさまざまな美容健康法を指導しています。
つづき▶共感を呼ぶ理由は何なのか?美元が過ごす等身大の毎日とその背景にある「洞察」とは
撮影/畠山あかり ヘア&メイク/kanagon。
スポンサーリンク
【注目の記事】
- 【熱中症搬送数激増中】実は6月下旬からの「高湿度」が最も危険!「さぼると熱中症リスク激増」の意外すぎる習慣とは?
- 「私の老化度、本当に54歳ぶんなのかな?」更年期以降は全員が気にしたい「自分の生物学的年齢」を計ってみたら衝撃的すぎる結果に
- 「体温が1℃下がると太りやすくなる」問題が、更年期世代の女性にとって特に深刻なのはなぜか?「お風呂に入る前たった1分でできるヤセ習慣」とは?【石原新菜先生が解説】
- 超激務ヘアメイク藤原美智子さんが「42歳で思い切って変えたこと」その顛末は?「顔も体も片側だけ引き攣った状態になるまで」働いて
- 更年期後に「消える症状」と「そのまま残る症状」って?7万人のデータが教えてくれる「更年期の真実と、これからの人生」
- 「猫背・巻き肩の54歳がびっくり」着るだけで理想的なS字姿勢が身につく話題のインナーウエアをご存じかしら
- 更年期、どうやって乗り越える?運動、食事、サプリ、そして注目成分「ゲニステイン」まで、更年期の専門医が教えます
- 今の生活が「しんどい」なら「命の前借り」をしている証拠。知らずに「疲れを溜めてしまう」生活習慣とは【医師監修】
- 【徹底検証Hip Fit】はいて1日23分、ながらで使える手軽なヒップトレーニング!SIXPADの女性向けショーツタイプEMSで「ヒップから健康」は叶う?
- 「1年で約6倍」老化スピードが速い人と遅い人、その違いは?美人女医が伝えたい老化を早める3つの原因【医師監修】
- 「一度使ったらやめられない」人気スタイリストも40代編集もリピ買い中の『涼ブラ』って?「滝汗でも不快感なし」「つけ心地がラクなのに~」続々と魅了される理由とは?
- このままでは日本人が絶滅する!?男性更年期、ED、セックスレス…男性医療の第一人者が語る「本当のヤバさ」
- 更年期世代も「まだ恋愛をする」理由とは?脳の仕組みから考える「極めて明快な理由」【脳科学者・黒川伊保子先生に聞く】
- 更年期に向けて「準備しておいた方が良い」ことって?【宋美玄先生に聞く 更年期のこと、私たちの体のこと】#1
- 「この国の崖っぷちっぷり」東工大・益学長が指摘する「いま女子枠を設置しないと、30年に加えてもう10年失う」これだけの理由
- ゲッターズ飯田「引っ越すときに確認すべきたった一つの大切なこと」とは?運気を上げる心構えの基本は
- 57歳「更年期が終わったあと」には何が起きますか?美容ジャーナリスト・小田ユイコさんの場合は
- もしかして更年期は「45歳スタート」ではない?閉経平均年齢を「50.54歳から52.1歳に」認識変更すべきこれだけの理由