あなたの品質、劣化してない?「上質な体」を作る原材料とは|50歳までにやめること
オトナサローネの読者のみなさん、こんにちは。「予防医療」のスペシャリストで、医師の桐村里紗です。
私は、幼い頃から病気で苦しむ母親の姿をみて、人生を思う存分に謳歌する為には、健康な心身を維持することが不可欠だと痛感し、医師人生を通して日常でできるヘルスケアを啓蒙するようになりました。
この連載では、人生100年時代の折り返し地点、50歳になる前にやめたい悪習慣についてお伝えしていきます。
今回は、50代になる前に、質の悪いモノとはサヨナラしたいというお話。
【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」#8】
洋服の質にこだわるなら「体の質」にもこだわりたい
40代になると、プチプラなファストファッションばかりで身をかためるコーデではちょっぴり辛いものがあります。
質の良い素材を使って丁寧に作られた服は、大切に扱えば長持ちしますし、質の良いものに身を包むと、自分自身も大切なもののように感じられますね。
逆に、1シーズンで毛羽立ちやほつれが目立ち使い物にならなくなる服よりも、長期的に見るとコスパも高いかも知れません。
そんな風に、洋服の質にもこだわりたい皆さま!
一方で、ご自分の体の質について、考えたことはありますか?
いくつになっても使い物になる美BODYを保つには、質の悪い原材料の供給をやめることをオススメしたいのです。
体の質の良し悪しは食べ物の質で決まる
体の原材料は、言わずもがな、食べ物です。
栄養療法の分野では、「You are what you eat.(あなたはあなたの食べたものでできている)」と言われます。
食べ物が消化されると栄養素が抽出され、その栄養素が体を作る原材料になります。
食べ物の質が悪いと、作られる体の質も劣化して当たり前ですね。
気づかずに食べている劣化した油
特に、普段気づかないうちに、取り入れてしまっている質の悪い原材料の代表格が、油です。
「いえいえ、私、揚げ物とか食べないから、大丈夫」
と思った方こそ、大丈夫ですか?
このセリフは、しばしば、女性から聞くセリフなのですが、その代わり食べているのが、パンや洋菓子、加工食品。
実は、これらには、揚げ物並みに油が練りこまれているものもあります。デニッシュやクロワッサンを食べるなら、揚げ物以上かも知れません。
しかも、質の悪い油がひっそりと練りこまれている可能性が大なのですよ。
美肌にも記憶力にもホルモンバランスにも
油は、カロリーになるイメージですが、それだけではありません。
実は、全身の細胞の大切な原材料です。油の質が劣化すれば、細胞の質が劣化すると考えましょう。
皮膚の細胞も、脳の細胞も、内臓の細胞も、全て油の質が重要です。
美肌にも記憶力にも、そしてホルモンバランスにも関係します。
亜麻仁油やえごま油などの「オメガ3の油が美容に良い」と聞いたことがあるのではないでしょうか。
細胞の原材料になる油は、オメガ3系とオメガ6系、2種類の脂肪酸です。
今回、オフしたいのは、オメガ6系の方。
いずれも、原材料として栄養的には欠かせず、毎日食事から摂取すべき油には違いないのですが、現代人はオメガ6系を摂り過ぎてアンバランスなのです。
多くの食品に使われていますが、摂り過ぎると細胞の質の劣化の元凶になります。
加工食品は原材料までチェックしたい
オメガ6系脂肪酸を多く含むのが、いわゆるサラダ油、コーン油、ひまわり油、大豆油、紅花油など。ご家庭でもよく使う油ではないでしょうか。
それに、加工食品は、パッケージの表ではなく、クルンと後ろを向けて、「原材料表示」を必ず見て頂きたいのです。チェックポイントは、「植物性油脂」「加工油脂」「マーガリン」「ショートニング」。
これらが含まれているならば、細胞を老化させる可能性のある油を含むと考えましょう。
実は、オメガ6系脂肪酸は、酸化・劣化しやすく、実は加熱には向きません。
でも、加熱して使うことも多いですよね。
すると、過酸化脂質という細胞を酸化・劣化させる油に変化します。
調理されて時間がたった食品の中の油も、酸素に触れると過酸化脂質に変化していきます。
これだけはやめたい悪魔の油
オメガ6系脂肪酸を含む油をゼロにする必要はありません。
こちらも、体に必須の脂肪酸であることには間違いがないので、バランスを考えることが大切です。
理想的には、オメガ3:オメガ6=4:1程度の比率で摂りたいところなのですが、現代人は、10:1〜30:1とも言われています。
これが、細胞を劣化させ、老化させ、炎症を起こすとアレルギーを引き起こす原因になっています。
ただし、パンや洋菓子などに良く使われるマーガリンやショートニングには、悪魔の油とも呼ばれ、ネズミも寄り付かないとされるトランス脂肪酸という強力に老化を促進する油が入っている可能性があります。
実は、食品メーカーも努力をしてくれていて、農林水産省などの調査では、食パンは10年前の約4割、マーガリンは1割強の含有量となっているそうです。
ただし、これらを含むものばかり食べているとチリツモになる可能性もあります。
最近では、大手のメーカーから「トランス脂肪酸低減」「部分水素添加油脂不使用」などと表示された商品も出ていますので、選ぶならこちらを。
(注:部分水素添加油脂=ショートニングの意味)
一生涯長持ちする体を維持するのに、超重要な油。
絶対悪という訳ではありませんが、バランスを考えて、なるべく質にこだわりたいですね。
次回は、具体的な油の選び方についても詳しくお伝えします。
【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」、週1回、土曜の夕方に配信!】
文/内科医・認定産業医 桐村里紗
tenrai代表取締役医師。1980年岡山県生まれ。2004年愛媛大学医学部医学科卒。内科医・認定産業医。治療よりも予防を重視し、最新の分子整合栄養医学や生命科学、常在細菌学、意識科学、物理学などをもとに、執筆、webメディア、講演活動などで、新しい時代のライフスタイルとヘルスケア情報を発信。著書『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)ほか。
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