瀬戸内寂聴さんの心と体がいつまでも「青春」している8つの理由

今も人を元気にする魅力的な笑顔を失わない瀬戸内寂聴さん。

「“今”を大切に生き、好きなことをすればニコニコ顔でいられます」

という言葉に、軽やかな心と体の秘訣がありそうです。

 

Profile せとうち・じゃくちょう 1922年、徳島県生まれ。51歳で出家し、京都に寂庵を結ぶ。
87~2005年岩手県の天台寺住職。『田村俊子』(田村俊子賞)、『夏の終り』(女流文学賞)
『花に問え』(谷崎潤一郎賞)『白道』(芸術選奨文部大臣賞)『場所』(野間文芸賞)など著書多数。
99年『瀬戸内寂聴訳・源氏物語(10巻)』、02年、『瀬藤寂聴全集(20巻)』を完結。06年文化勲章受章。

理由➀

”元気で長生き”の秘訣は、丈夫な足腰と体が欲するものを食べること

 

「元気で長生きの秘訣は足腰から」と思って、足踏み運動を日課にしています。菜食が流行のようですが、私は毎日、少しでもお肉を食べています。私にとって肉は体と脳の活力のもと。少しでいいから食べなければ小説が書けません。丈夫な足腰をつくり、体の声を聞いて体が欲するものを食べる。私の唯一の健康法です。

 

理由②

柔軟な心と体で新しいことを面白がる

 

人間は死ぬまで青春。そう思って怖れずに新しいことに挑戦し、変化を楽しみましょう。私も雑誌を作ったり、ケータイ小説を書いたり、「面白そう」と思うと即実行。源氏物語千年紀のマークを描く田んぼアートで田植えもしました。考えの違う若い人と話すのも楽しい。引っ越しも年の数ほどしています。新しいことや新しい環境、新しい出会いはワクワクドキドキのもと。毎日が楽しくなるし、パワーをもらえるし、世界も自分も広がる。心が若くなります。

 

理由③

更年期は誰もが通る道。ことさらに恐れる必要も、とらわれる必要もない

 

更年期をことさら恐れたり、「更年期だから」と深刻になったり、これでは心も体も辛くなるばかり。今の時代は更年期にとらわれすぎです。私も出家に理由をアレコレ聞かれ、面倒になって「51歳での出家は更年期のヒステリー」と言ったら皆が納得してくれて(笑)。「世間はそんなに更年期を深刻に考えているのか」とびっくりしました。更年期は単なる現象です。この世に女が生まれてから、すべての女性が更年期を経ている。だけど、更年期で死んだ人はいません。「もうこれで女が終わる」と嘆く人もいますが、更年期で自分が枯れるわけでも変わるわけでもない。妊娠の心配がなくなる更年期以降のほうが、かえってSEXも楽しめるんですよ。

 

理由④

自分の魅力を発見して自分自身に手をかける

 

「私なんて……」と魅力に気づかず、自信をもてない人は多いのですが、まったく魅力のない人なんていません。優しさも魅力だし、ホクロがチャーミングかもしれない。「赤が似合うね」などほめ言葉は素直に受け取って、自分で魅力をみつけ、化粧を工夫したり、似合う服を着るなど魅力を強調するべきです。若いときより、今こそ自分に手をかけるとき。自分に自信をもてれば、前向きになります。

 

理由⑤

楽しいことで気分転換し凝り固まった心に風を入れる

 

何かを思いつめたり、落ち込んでいるときこそ気分転換しなくては。おいしものを食べたり、人の話を聴いたり、コンサートに行くなど好きなことをするもよし。私のリフレッシュ法はお風呂。どんなに悲しくてもぬるめの湯につかっていると気持ちよくて涙が止まる。模様替えなど環境を変えるのもいいわね。カーテンを新しくするだけで気分がガラリと変わりますよ。小さなことでいいの。無心になれる時間や今とは違う環境に身を置くことで、凝り固まった石綿のような心に風が入って心が解放される。「まぁ、いいわ」と悩みが軽くなったり、「子どものことで心がいっぱいだったけれど、所詮、子どもと私は別人格」と考えの方向が変わったりします。

 

 

理由⑥

年齢への思い込みを捨て、自由に幸せになる

 

「人にどう思われるか」「夫婦はこうあるべき」「50代になって派手な服は恥ずかしい」……。世間の価値観に縛られて自分の欲求を押し殺すのはストレスのもと。ストレスはうつ気分につながります。年齢にとらわれる必要もないですよ。人は「もう50代」と思った瞬間に、その年代に対する世間の思い込みに合わせた服装や行動になってしまうもの。つまり若く元気にいたければ世間や年齢から自由になり、自分がやりたいことをやればいい。自由に生きることは幸せに生きること。それは周りにも影響を与えます。「家族を幸せにしたい」と思っても自分が暗ければドンヨリ。ます時分が自由に幸せになれば、その幸せオーラに家族も笑顔になりますよ。

 

理由⑦

どうにもならないことは“あなたまかせ”でいい

 

人生にはどうにもならないことがあります。誰かの死も「定められた定命。体は滅びても魂は残る」と信じれば悲しみは薄れる。病気になっても「今、病気になったほうがいいと仏様が思っている」と考えれば落ち込みません。八方塞がりのときは「仏様が何とかしてくれるわ」。どうにもならないことは「自分がなんとかせねば」ではなく、「あなた(仏様)まかせ」も必要。生きるのがラクになります。

 

理由⑧

世は無常なり、辛いときは人生が好転する日を待つ

 

辛いときは気分転換が必要ですが、その気力すら湧かないほど辛いときもあります。私も、ただ泣き暮らしたことがありました。でも「世は無常」というのは、同じ状態は続かないということ。雨はやむし、どん底景気もいずれ上向く。人生も同じで、いいときも悪いときも続きません。辛いときも笑顔で自分を元気づけ、「いつまでも悪いことばかり続かない」と信じて辛抱。そのうち好転します。

(「ゆうゆう」2009年2月号掲載 撮影/藤本賢一)

 

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