絶対風邪をひけない医師が普段「やらない」風邪対策とは?フルーツやゼリーはNG

オトナサローネの読者のみなさん、こんにちは。「予防医療」のスペシャリストで、医師の桐村里紗です。

この連載では、人生100年時代の折り返し地点、50歳になる前にやめたい悪習慣についてお伝えしていきます。

風邪の本番シーズンに、結構やってしまいがちなNG対処が、風邪を拗らせるばかりか、体の害になるかも知れません。

【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」#12

風邪の特効薬はこの世にない

恥ずかしながら、久しぶりにしっかりと風邪をひきました。

1年以上風邪をひいていないことを誇っていたのですが、「医者の不養生」と言われても仕方がないと反省しております。

 

単純に油断したものですが、ものの試しにチャレンジしてみた「VIOハイジニーナ脱毛」で、下の方が寒くて風邪をひいたのだと、周りにはうそぶいておりますよ。

 

風邪は、もちろん地味ながら症状は案外辛いです。

 

「たかが風邪でしょ」なんて言われて、たいして労われもせず、社会人にもなると仕事も休めません。子どもや非協力的な夫がいたら、家事も休めません。一方で、独り身であれば、精神的にも結構落ち込みます。

 

少しでも早く終わりたい気持ちから、「何か薬を!」と思われるかも知れませんが、残念ながら、風邪には特効薬はありません。

 

インフルエンザと同じ、ウイルス性ではあるのですが、インフルエンザに対する特効薬はある一方で、風邪のウイルスに対する特効薬はこの世の中に存在しないのです。

 

風邪のNG対処①:抗生物質は害悪

病院に行き、もし風邪に対して「抗生物質を下さい!」と医師に言おうものなら、今どきは、きっぱりと断られるでしょう。

 

抗生物質が効果を発揮するのは、感染症の中でも細菌に対してです。

 

膿を伴う扁桃炎や肺炎であれば、必要なシーンもありますが、ウイルス性である風邪には全く効果がありません。

 

そればかりか、抗生剤の効かない耐性菌を生み出す上に、大事な大事な腸の中のビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌なども殺してしまう為、むしろ害悪になります。

 

強過ぎる抗生物質を使うことで、長ければ数年間、腸内環境が戻らない場合もあります。

 

その昔は、このNG処方がまかり通っていたものの、最近は厚生労働省もNG勧告を出しているほどです。

 

風邪のNG対処②:解熱剤は不要

少々の熱であれば、解熱剤(消炎鎮痛剤)も不要です。

 

風邪の際の熱は、体の兵隊である免疫細胞がウイルスと戦ってくれている証拠です。免疫細胞の頑張りを抑えてしまう薬が解熱剤(消炎鎮痛剤)です。

 

ドラッグストアなどで販売されている「感冒薬」にもこの成分は配合されています。

 

症状の緩和にはなるものの、私自身は使わないように努めています。

 

よほどの高熱であまりにも辛い時に「泣く泣く使うもの」という位置付けにしています。

風邪のNG対処③:食べて栄養をつける

 

また、風邪の時にやりがちなのが、「たくさん栄養をつなければ!」とがっつりした高カロリー・高糖質・高脂肪・高たんぱく質食事をすること。

 

実は、消化には膨大なエネルギーを使います。

 

本来、風邪の時には、ウイルスとの戦いのために免疫細胞がエネルギーを使いたいのに、消化に無駄なエネルギーを回してしまうと、免疫の働きは鈍ります。

 

消化に負担のかかる食事は避けたほうが無難。

風邪のNG対処④:ゼリーやフルーツを食べる

風邪の時、喉越しが良いからと、砂糖たっぷりのゼリーやプリン、ショ糖と果糖の多いフルーツを食べがちです。

 

東洋医学的に、風邪は、体が緩んで冷えた時に入り込むと考えられていますが、砂糖やショ糖・果糖は体を緩め、究極に冷やす食材です。

 

例えば、すごく緊張するシーンが続き、ふっと緩んだ瞬間に風邪をひくという経験があると思います。自律神経が、リラックスする副交感神経モードになると、ウイルスに対する免疫が弱まりますので、東洋医学の考えは理にかなっています。

治癒力を高める風邪の乗り切り方

では、どうすれば良いのか!?

 

風邪を引き起こすウイルスが一度入り込んだら、体の治癒力・免疫力を落とさない生活をしながら静かに過ごすのが一番です。

 

▪️ビタミン・ミネラルを補給〜ビタミンCよりDを

「風邪にはビタミンC」とよく言われますが、実は、ビタミンCよりもビタミンDの方が免疫には必要です。栄養療法に従事する医師であれば、まずビタミンDの補給をお勧めします。

 

日照が減る冬は、ビタミンDの血中濃度が低下する季節です。

 

私自身、今回ビタミンDが切れたまま、油断して飲んでいなかったのも敗因の一つかと考えています。

 

その他の必須ビタミン・必須ミネラルも免疫には不可欠ですから、マルチビタミン・ミネラルを補給するのもお勧めです。

 

▪️砂糖よりも塩気

砂糖は体を緩めて冷やしますが、塩は体を引き締めて温める食材です。

 

風邪の時は、梅干し粥や味噌汁など塩気のある日本の伝統食材がお勧めです。

 

生姜や根菜類など、体を温める食材を使うといいですね。

 

▪️極力省エネモードで頑張らない

無駄なエネルギーを使わず、免疫細胞にエネルギーを回すことに集中するのが効果的です。

 

休めるならば、休む。甘えられるならば、甘える。

 

仕事や家事で休めない場合も、極力省エネモードで活動を控えるように努めて下さい。

風邪心と体のデトックスと休眠

そんな風に過ごして、一連の風邪のプロセスが終わった時には、驚くほど体も心も軽くスッキリしているものです。

 

風邪は、発熱や発汗によって体内に溜まった余分なものを排除する働きもありますし、無理をし過ぎて悲鳴をあげていた体を強制終了してくれる大事なリセットボタンとしての働きもあります。

 

体や心のデトックスと休眠期間と考えたら、地味に辛い症状にも若干のありがたさを感じられる、かも?

 

でも、風邪は、気が緩むと入り込みます。

 

どうか皆さん、私のように油断なされませんように!

 

【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」、週1回、土曜の夕方に配信!】

文/内科医・認定産業医 桐村里紗

tenrai代表取締役医師。1980年岡山県生まれ。2004年愛媛大学医学部医学科卒。内科医・認定産業医。治療よりも予防を重視し、最新の分子整合栄養医学や生命科学、常在細菌学、意識科学、物理学などをもとに、執筆、webメディア、講演活動などで、新しい時代のライフスタイルとヘルスケア情報を発信。著書『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)ほか。

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